1769 |
インチ法で考えると、WW1〜WW2の間において世界各国の中口径以上のメジャーな艦載砲口径(試作や計画も含めて)は下から「3、5、6、8、12、14、15、16、18、20」の各インチだと思うのですが、反対に「4、7、9、11、13、17、19」らはあまり(ほとんど)採用、計画の実績がないように思えます。印象として後者は妙に奇数が多いのですが、何かの因縁でしょうか? 素人考えとして、例えば「7インチ砲は6インチよりパンチ力があり8インチより発射速度を稼げる」ような趣向も考えられるのですが・・・。 紀伊国屋 |
- >「3、5、6、8、12・・・・・
10インチ(254mm)が抜かっておりました。
質問者です
- 4インチ(102mm)はそれなりにメジャーですよ、5インチに比べて少ないだけで、イギリスとかで高角砲で採用されていたはずだし、今でもフランスでは使っているではないですか。
ooi
- たぶん認識に偏りがあると思います。
WW1時ですと、英国戦艦には13.5インチがかなり多く、また巡洋艦の主砲は9.2インチが主流でした。
そしてドイツは11インチを多用しています。
7インチが少ないのは、このサイズですと人力装填が困難になるからです。
機力装填を導入するのでしたら、もう少し大きい大砲でも構わない訳ですし、6インチはなんといっても人力でも賄えるので、重量が軽く押さえられるのです(人力限界の一つの目安がこの6インチ級で、各国で多用された原因の一つといえます)
また、5,6,8,14,16は条約における制限サイズの一つの目安でもあったので、各国の建造艦艇はこの制限に近いサイズを選ぶ事が多くなったというのもあげられるでしょう。
既に指摘されていますが4インチは結構数が多く出ていますので、充分にメジャーな口径だったのではないでしょうか。
SUDO
- んでもって追加ね
>例えば「7インチ砲は6インチよりパンチ力があり8インチより発射速度を稼げる」ような趣向
に関していうと
駆逐艦・軽巡洋艦の備砲(4−5−6インチ)でこういった競争が第一次大戦時にありました。
結果を述べると、公算射撃に必要な門数以上で、最大口径こそが正解という事になりました。
これは、例えば4インチと6インチでは、射程距離がかなり違った事が原因です。
公算射撃以前では、有効射程距離は照準技術の方が限界が小さく、数千m程度の交戦になったので
その距離で、敵の装甲を撃ちぬける程度の威力があって、射撃速度が高いものが望ましかった訳です。
(例えば英国装甲巡洋艦の9.2インチや独戦艦11インチはこういう方向)
この観点では、非装甲艦艇を叩く場合、単位時間あたりの投射量に優れる小口径砲は魅力的です。
ただし、3インチ以下になると、照準機材の持つ限度よりも有効戦闘距離が短くなる事もありました。
よって、無難なのは(最低限の射程を持つ)4インチ〜(人力限界の目安)6インチ程度の大砲という事になります。
第一次大戦世代の艦の場合、駆逐艦で4インチ砲、軽巡洋艦で4と6の混載(威力と手数の妥協)というのが比較的多かったのです。
ところが照準技術の発展等で4インチは威力と射程の両面で厳しいと言うのが判明してしまいました。
この結果、第一次大戦後半の世代から駆逐艦の主砲は4.5〜5インチ級へと大型化するのです(6インチに挑戦した艦も居ますが大砲の数や駆逐艦の大きさから厳しい)
軽巡洋艦でも同様で、二種類の口径の大砲を混載すると弾着観測に不都合が有るという事から、4インチか6インチに統一する事が望まれました。
そして、第一次大戦の幾つもの海戦で4インチ艦は6インチ艦にアウトレンジされてしまったのです。
予想以上に交戦距離は長く、15km近い距離でも射撃戦が(効果的ではないけど)行える6インチ艦は4インチ艦に圧勝だったのです(そしてこれは5インチ艦でもアウトレンジされかねない)
これは、少しでも大口径の大砲を、公算射撃が成立する数量積むのが、基本的に一番有利であるという事でもありました(またマトモに弾着観測をして射撃をすると、射撃速度の差はあまり出てこないのです)
つまり、8インチと7インチが選べるなら、8インチで必要充分な6門以上が乗るなら7インチを選択する意味は無いのです。
この事は水上戦闘主体の中口径以上の艦艇・艦砲の基本原則の一つです。
戦艦主砲級の場合は、これに加えて設計製造能力の限界や条約等による政治的な制限が加わりますが、その時選べる限りもっともでかい大砲を選ぶのが基本になっています。
SUDO
- 誠に納得のいく答えです。説得力効きまくりです!! ありがとうございました。
質問者です
- お尋ねの7インチ砲は、準ド級戦艦時代にアメリカ戦艦が装備しましたが、弾丸が重くて6インチ砲ほどすばやく装填できないのに、8インチ砲より威力が落ちるっていうんで見捨てられました。人力装填だったんですよ。日本では6インチ砲弾でも重くて、14センチ砲が採用されたというのは有名です。
それぞれの砲弾重量は、75kg、45kg、38kgです。8インチ砲だと100kgくらい。
志郎
- >日本では6インチ砲弾でも重くて、14センチ砲が採用されたというのは有名です。
それで思ったんですが、日本人とさして体格の変わらない中国やその他アジア諸国ではそういった「欧米の一般的な火砲では扱いにくいので自国流にスリム化した」例はあるのでしょうか?
質問者です
- >7
艦砲を自国流にスリム化できる技術力を持ったアジアの国というのは日本だけだっ
たんだと思いますが。
中華民国の巡洋艦「寧海」「平海」の主砲は14cmですがこれは「自国流にスリム
化」したわけではなく、日本の技術で建造されたため、日本で広く使われていた
14cmを採用したという事でしょう。
新参親爺