1709 |
こんにちわ 別館真実一路の魚雷は大人になってから番外編2の13章中ほどに 「また一般に高い初速を得るには、砲身を伸ばして装薬のエネルギーを効率よく砲弾に伝えるんだが長い砲身は精度の低下に繋がり易く、特に遠距離での精度が悪化する事があるし沢山の装薬を使う事から砲身が痛み易い、つまり命数が短くなる」 という一文があります。 「長い砲身は精度の低下に繋がり易く、特に遠距離での精度が悪化する事がある」 私の脳みそですと摩擦抵抗が一定以上大きくなる砲身長までは精度が悪化するようには思えません。 多量の装薬を使用することによるデメリットはわかりますがどうも長砲身に限った書き方をしているので。 この部分がいまいち良くわからないのですがどなたかある程度詳しい説明をしていただけないでしょうか。 (装備弾薬に書き込もうと思いましたが大口径の艦載砲に得意な現象かもしれずこちらの方が適切かと思いました) CHACHA |
- 長い砲身はたわむのです。実は釣りざおのように撓っている訳です。
材質や製法の改善で補える要素もありますが、基本的には長いほど不利になりやすいのです。
SUDO
- んー。多分に短い文で無理に取り纏めようとしたために起こった、記述不足に尽き
ると思うけどね。こういうのって。
砲内弾道学における、高砲口エネルギーを得るための要素は三つ。一つ目は大口径
化による初期加速度の増大、二つ目は砲身長の延伸による加速時間の増大、三つ目
は装薬の強装化による初期加速度の増加及び加速度低下率の抑制です。
この要素の中で一番リーズナブルなのは砲身長の延伸ですが、これにも問題があり
ます。というのは、砲身長を延伸化することによる静的変形 (重量的変形、ウィン
ド及びソーラーベント) が大きくなる上に、砲発射時に発生する砲身のモード振動
によって命中精度が落ちる傾向があります。特に大口径遠距離砲においては顕著で
す。絶対に変形しない砲身ならば、そんな事は起こらないのだけどね。
sorya
- 鋼材という物質の特性上、砲身は製造時の精度以外に、艦に搭載された後も温度変化などによってかなりの変形を起こします。
そのため、砲身にぎっしりと鋼線を巻きつけたり(鋼線式)、特殊な製法によって砲身自体に常に縮もうとする応力を与える(自己緊縮式)などの工夫により変形(しなり)をできる限り抑える工夫がされていますが、長砲身ほど自重が重くなるため、より強度を上げねばならないという悪循環に陥り、変形の少ない長砲身砲を製造するには極めて高度な冶金技術を要するのです。
ちなみに太平洋戦争で活躍した日本戦艦の主砲身は全て鋼線式でした。
つね
- 自緊処理って、変形っていうより砲破裂を防ぐために用いるんでわなかろうか?
sorya
- <4
なるほど、自己緊縮式→砲身の肉厚が薄くても強度が上がり砲破裂を防げる→砲身自体が軽量化できてその結果、砲身のしなりも軽減できる。
・・・ということなのでしょうか?僕が聞いた話は、自己緊縮式の砲塔は軽量化できるという話だったので、どうもワンクッション抜けていたようです。
つね
- つまりはそういうことだと思う。
こういう話って材料力学の本でも読めばなんぼでも書いているんだけど、自緊構造
及び被せ二重円筒構造(自緊含む)ってのは、あくまでも内圧に対する破壊許容の拡
大を目指すものなんですわ。つまりは砲身の軽量化です。破壊に至る強度が向上し
ても、弾性率やねじり剛性といった、その材料固有の弾性挙動には余り影響しない
んです。そういう方法では。
劇的に何とかしようとしたら、中空構造等を用いた「嵩」剛性を上げる手段でしか、
今のところ打つ手はないと思って良いです。
小口径機関砲の例を挙げるのは忍びないんだけど(この中で)、例えばブッシュマス
ターの砲身の外側に何故飾りにしか見えない刻みがついているのか?を考えてみれ
ばとても楽しいと思います。
sorya
- 蛇足ですが。
あらゆる加工品に言えることなんですが、大きく長いものほど加工精度が
低下する傾向があります。
これの原因は、1)加工量が大きいこと、2)加工にかかる時間が長いこと
3)材質の均一性が低くなること、などが上げられます。
一方、精度の低下は、品質保証でカバーできます。例えば、砲身などの精密品は、
寸法公差を大口径長砲身砲でも小口径短砲身砲と同等とすることで、カバーできます。
ただし、歩留りの低下から、コストが高騰するという問題が発生します。
#最終的には、費用対効果の観点から、妥協点が決められます。
ある
- ありがとうございました。
見聞が広がりました。
CHACHA