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1643の質問を見て質問です。 フランスのアルザス級戦艦(40cm砲搭載プラン)とドイツのH級戦艦はどっちが強いのでしょうか? ベロウ |
- ちょっと難しいです。
何しろ仏艦のデータはほとんど残ってない、ていうか
多分細部を詰める前に敗けちゃったんで。
ただ、仏艦の防御って
意外とドイツとどっこいどっこいなんですね。
リシュリューでも傾斜してるとはいえ、舷側320mmですし。
大きく異なっているのは3点。
まず水平装甲は1層目を厚く、2層目を薄く(独は逆)。
そして砲塔の装甲は独艦よりずっとブ厚いです(つーか独が薄すぎる)。
逆に水雷防御はビス45mmに対してリシュリュー30mmですから、
独艦の方が強力なようです。
勝井
- >1
勝井山
傾斜した舷側装甲320mmより上の装甲を持った艦ってどれだけ実在します?
アイオワ、サウスダコタ、ノースカロライナ、そしてたぶんヴェネトより上ですよ。
上回るのは大和とネルソンだけです。
傾斜していないKGVやヴァンガードは評価が難しいけど大同小異。リシュリューの舷側装甲防御能力は上位だと言ってよいでしょう。
また水平装甲にも誤解がてんこ盛り
別に私が書いた魚雷番外編をみろとは言わないけどね
何処が主要防御部位で、つまりそこから先には突入させない構造になっているのかを見れば宜しい。
リシュリューは舷側装甲で覆った高さより下には突入を基本的に許さない思想と発想です。
敢えて言うならリシュリューの防御構造はネルソンや加賀に似ているといえるでしょう。
確かに舷側装甲の裏に傾斜甲板を設けていますが、そのおき方から考えれば判るように、あくまでも傾斜部分で舷側装甲を貫いた砲弾やその弾片を阻止するためのものです。
同様に二枚目の甲板も一枚目で止まっても弾片等の突入が考えられるのでそれを阻止するためのものだと考えられます。(日英ではこういうものの板までは装甲数値に入れてない。あるのが当然の構造。リシュリューの甲板防御の考え方は大和に近いかな)
つまり、リシュリューは分厚い一枚目(舷側も甲板も)で食い止め、場合によっては突っ込む可能性のある弾片や自装甲の破片を二枚目で阻止するというスタイルです。
翻ってビスマルクの場合、舷側装甲は水線部分だけが厚く、他は薄い。
傾斜もしてないので耐弾性能はリシュリューより最厚部でもかなり低く、その上の上甲板側壁等は貧弱極まりない。
その代わり、下甲板にタートルバック式の甲板装甲を備えるという、下部の甲板装甲で食い止めるスタイル。
敵弾の落角に応じて被弾する個所や威力が異なるので、それぞれの条件に応じた衝立を設置して威力を減じた上で主防御部位である下甲板で阻止するのです。
このあたりは魚雷の番外編で書いたんだけどね。
てなわけで、リシュリューは集中防御を効率よく行い、優れた防御性能を持った優秀な艦であり、ビスマルクは優れた耐久力をもち中々沈まない堅艦ですが戦闘能力保持ではかなり甘い。
両者が殴り合ったら、まあ練度が大差なかったら近距離泥試合ならタフなビスにも勝機あり。中距離以遠ではリシュリューが相当優位ってところでしょうな。
また水中防御は板の厚さだけでは測れません。
リシュリューは液層も持ってたと思うし、最終隔壁の厚さだけでは何ともいえません。
ビスのような構造の場合、魚雷の爆発によって生じるスプリンターをもろに食らいますので、40mmで大丈夫だとは言えません(例えば長門は75mmにしてますな)
また強靭な防御性能を発揮した米戦艦の水中防御隔壁の厚さは合計して30〜40mm程度です。
厚さをどのような形で用いるのかも実は無視できない要素なのです。
そして更にいうなら、例え抜かれなくても、ビスのような構造では隔壁手前の広大な空間がすべて浸水しますので意外と大きい浸水量に繋がります。
浸水量を食い止めつつ、重要区画を防御するというのはかなり困難な事ですが、そういった観点ではリシュリューのほうが数世代進んだ防御構造を持っています。
まあ、耐弾も対魚雷も比較したらフランス海軍に失礼ですよ。全然次元が違います。
SUDO
- 私のような者が口をはさむのもなんですが、ビスマルクの装甲配置についてちょっと。
ビスの舷側装甲は機関部は垂直ですが、弾火薬庫は傾斜式になっています。
第一砲塔17度、第二10度、第三7度、第四8〜10度です。
詳しくは下記のHPを御覧下さい。
http://www.kbismarck.com/proteccioni.html
ただ、上甲板80mmは50mmの間違いと思われます。
整理しますと(フリードリヒ・デア・グロッセはH-39の仮称です)
ビスマルク 弾火薬庫舷側320o/17度+傾斜甲板120o/-68度
弾火薬庫上甲板50mm+装甲甲板95mm
機関部舷側320mm/0度+傾斜甲板110mm/-68度
機関部上甲板50mm+装甲甲板80mm
ティルピッツ弾火薬庫舷側315o/17度+傾斜甲板120o/-68度
弾火薬庫上甲板50mm+装甲甲板100mm
機関部舷側315mm/0度+傾斜甲板110mm/-68度
機関部上甲板50mm+装甲甲板80mm
フリードリヒ弾火薬庫舷側300o/17度?+傾斜甲板120o?/-68度?
弾火薬庫上甲板80mm+装甲甲板100mm?
機関部舷側300mm/0度+傾斜甲板120mm/-68度
機関部上甲板50mm+装甲甲板100mm
リシュリュー弾火薬庫舷側(330o+18mm)/15度+傾斜甲板50o/-35度
弾火薬庫上甲板170mm+装甲甲板40mm
機関部舷側(330o+18mm)/20度+傾斜甲板50mm/-35度
機関部上甲板150mm+装甲甲板40mm
ビスマルク 砲塔前楯360mm砲塔天蓋130mmバーベット340mm
フリードリヒ砲塔前楯385mm砲塔天蓋130mmバーベット365mm
リシュリュー砲塔前楯430mm砲塔天蓋170mmバーベット355+17+17mm
SUDOさんの仰る通り、凶悪な程の舷側防御を除けばリシュリューの圧勝です。
アルザスの装甲はリシュリューと同等か、それ以上でしょうからH-39では対抗するのは難しいと思われます。
水中防御については、奥行きがビスマルク&H-39が5.5m、リシュリューが7m(8.2〜8.3m説あり。さらに戦後完成のジャンバールはバルジ装着で+1.3m)。
隔壁数もリシュリューが多く、エボナイトムースと言うスポンジ状の浮力材?を充填してますし。最強隔壁は勝井さんの仰るとおりビスが45mm、リシュリューが30mmですが、リシュリューの場合弾火薬庫は50mmなんで、やはりリシュリューの勝ちです。
戦艦乞食
- 独戦艦は比較的砲塔装甲が薄いのが問題ではないかと思いますが。
リシュリューとビスマルクの比較でも16000m切るぐらいで無いとビスマルクは
リシュリューの攻撃力を奪えないのに対しリシュリューは殆どの距離で
ビスマルクの砲塔装甲を貫徹できます。
沈まなくても反撃能力を失ってしまうのは大問題だと思いますけれど。
ルージュ
- 最近、ドイツ戦艦の防御について結構評価に困ってるんですよ。
結局、旧式理論で十分な耐弾力を与えた結果が
同世代艦より1回り以上でっかい図体なのかな? とか。
もひとつ困っちゃったのが、
舷側 傾斜部 水平 水雷
シャルンホルスト 350mm 105mm 30+50mm 45mm
ビスマルク 320mm 100mm 50+80mm 45mm
H 300mm 120mm 50+100mm 45mm
H41 300mm 150mm 50+150mm 45mm
H42 300mm 150mm 50+140+130mm 45mm
H43 380mm 150mm 50+140+130+20mm 45+30mm
H44 380mm 150-200mm 50+140+130+20mm 45+30mm
て感じで、特にシャル〜Hに至るまで、
主砲の威力向上してるくせに舷側装甲薄くなっちゃってること。
まあ逆に水平防御を逐次向上させてるのは正しい判断とは思うけどね。
後、ドイツ艦の水雷防御って、できるだけ
舷側から離れたところに配置しようとしてるっぽいです。
舷側〜防御壁間の距離、段々と開いているんですわ。
なんか機関さえ守れて一定の浮力が確保できたらそれでよし、て感じ。
ついでなんで、ポケ戦や巡戦についても。
舷側 傾斜部 水平 水雷
ドイッチュラント 60mm なし 40mm 45mm
A・シェーア 60mm なし 45mm 40mm
A・G・シュペー 80mm なし 45mm 40mm
P 145mm 110mm 60-75mm 不明
O 180mm なし 50+80mm 45mm
後、1940年頃にA,B2種の主力艦がデザインされてますね。
project studyと銘打たれてるんで、あくまで習作ということらしいですが。
出典は全てBATTLESHIPS AND BATTLE CLUISERS 1905-1970(SIEGFRIED BREYER著)です。
勝井
- ↑うぅ、せっかく半角スペースで揃えたのに
全部ムダになってる…(TT)
見にくくなっちゃったけど勘弁してください。しくしく…
勝井
- >5
勝井山、ドイツのその舷側装甲ってさ、その厚みのある範囲の高さがどれだけあるか考えてごらん。
単に分厚くて広い範囲の装甲を造る能力が無かっただけなんじゃないかとか邪推してしまうんだけどね
SUDO
- ↑基本的に同意。O級なんて水平装甲は実質90mm厚ですからねぇ<190mm部分の範囲が
異様に狭い。
↑2最近の研究だとシャルンホルスト級は舷側最大厚320mmというのが主流になっていますよ。
あとドイツ艦が主舷側装甲を減らして、上部舷側装甲やタートルバックの装甲を増やしたのは、
「水平防御を含めて有効な防御を取るための方策」と独逸の軍艦設計者が証言していますが、
それが旨くいかなかったのはビスマルクやシャルンホルストが身をもって証明してくれていますよね(笑)。
更に水雷防御に関して言えば、あれだけ幅を取ったビスマルクが戦後の英海軍の評価で
「TNT204kg防御」と言われてしまったくらい独逸式は効果が低いです。
ドイツ艦の装甲厚や水雷防御はスペック的には良いですが、実際には有効性の低い物で
しかなかったと考えるべきでしょう。
P.S.
アルザス級はリシリューより装甲厚が増される予定でした。H39あたりではまともに対抗出来ない
可能性すらあったともいえるでしょう(360mm@15.5度傾斜の装甲は恐ろしいものがありますぜい!)
通りすがり2A
- ↑まちげーた、水平でなくて垂直防御の数値ね<O級の190mm装甲
通りすがり1B
- アルザス級戦艦のスペックはどこまで固まってたんでしょうか?『フランス戦艦史』では4通りの説(40cm9門、38cm12門、38cm9門、38cm8門)でしたが。
モーグリ
- ガスコーニュ級(改リシュリュー)2、3番艦として
建造された可能性も高いです。
とりあえず、1940年時点で2隻の建造が承認されてます。
勝井
- ↑10 下記に概算のアルザス級要目が載っております
http://www.warships1.com/FREbb07_Alsace_specs.htm
↑11 Warship1.comだと、ガスコーニュ級の2、3番艦はアルザス級とは別物だとしてますね。
下記ページのSpecificationの項目に掲載されてます。
http://www.warships1.com/FREbb06_Richelieu.htm
桜井家の客人