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あまりに漠然とした質問で心苦しいのですが、ホバークラフトについて、その設計・性能の特徴や欠点を調べたく思います。 おすすめの資料本や映像等ございましたら、お教えください。 特に、かてつ英仏海峡(←うろ覚えです…)で運行されておった旅客ホバークラフトに興味があります。 穂積 |
- ホバークラフトの原理は、『船を空気で浮かせて水との抵抗を減らし、より少ないパワーで高速に航行させる』というものです。1955年にイギリスの電気技師クリストファー・コッカレルによって特許が取得されましたが、考案当初は水上を高速浮航できても波を乗り越えられないという問題を抱えていました。その後、船底にスカートと呼ばれるシールドを張って圧力スペースを作り、ここに絶えず空気を送り込んで浮かせることでこの問題を解決し、イギリスで数次の試作と実験航海を経て1960年代に実用化に漕ぎ着けました。
そして現在、ホバークラフトは旅客用、救難用、レジャー用等として各国に普及しています。また、その特性故に軍用としても開発初期から現在に至るまで研究されており、米海軍で強襲揚陸艦の搭載艇として開発されたLCAC(エアークッション型揚陸艇)辺りが代表格となっています。海上自衛隊でも『おおすみ』型輸送艦の搭載艇としてLCACを採用しています。
ホバークラフトの最大の長所として主に挙げられるのは以下の2点です。
1/水の抵抗をほとんど受けないため高速航行が可能
2/(よほど切り立った断崖でもない限り)水上・氷上・地上を問わず浮航できる
3/波や水上浮遊物等の障害物の影響を受けにくい。
また、軍用としては、浮航式のため機雷に引っかかりにくい利点があると聞いたことがありますが、真偽は確認できてません(;^_^A
他方、欠点として以下のようなものがあります。推進・操舵にプロペラを使用する故の問題のようです。
1/操縦性が良くない、小回りが利きにくい
2/騒音がうるさい
3/上記等の欠点のため大型化が難しい(現在世界最大のものでも500tほどだそうな)
イギリスがドーバー海峡横断航路にホバークラフト・カーフェリーを就航させたのは1968年です。現在も運航されているようですが、上で挙げた操縦性の難しさのせいか、結構衝突事故も起こしてるようですね。
なお、日本におけるホバークラフトの現状ですが、昔は旧国鉄宇高航路等いくつかの民間航路に就航していましたが、現在は大分ホーバーフェリー(株)が運航する大分空港−大分航路が唯一となっています。また、旧運輸省(現国土交通省)が進める高速輸送船テクノスーパーライナー(TSL)計画では、ホバークラフト式の実験船として『飛翔』(現静岡県防災船『希望』)が建造されています。
製造メーカーですが、民間向け大型船は三井造船が製造しています。また、レジャー用・業務用等の小型艇の製造ではアクアマリーンやソレックス等が知られています。ちなみに、上で触れた海上自衛隊のLCACはすべてアメリカからの購入品です。
ブラック・タロン
- 詳しいご回答、ありがとうございます。
非常に参考になりました。
ドーバー海峡のはまま衝突事故をおこしておるのですか(^^;
素人考えだと、どこかにブチ当たると、そのまま船体が跳ね返って、あらぬ方向に進んでいきそうな気が(^^;;;
話が、やや逸れますが、先日、エアフィックスから出ている、ドーバー海峡の旅客ホバークラフトの存在を知りましたが、結構なプレミア価格がついておりました。
穂積
- こんなサイトがあります
<ACV研究会>
http://wwwacv.arsp.sojo-u.ac.jp/index.html
当たって見ては如何でしょうか。
>「希望」
「希望」はSESで、ホバークラフトとはちょっと違います(はずです)。
双胴の船体の間に空気を送りこんで水との抵抗を減らすのですが、両側の船体がホバークラフトと違い水面より離れたりはしないのです。
ooi
- SESにはエアクッションは必要ないですよ。本来のものには。
あれは乗り心地のためです。SES船体そのものだと波に刺さりますんで(笑)
ウェーブピアサーにはもってこい?
sorya
- 兄がホバークラフトで英仏海峡を横断しましたが「物凄くやかましくて物凄く揺れる乗り物だった」と言っておりました。
ささき
- >4
SESはACVのスカートの側壁を固定化し、浮揚効率と航行性の高上を図ったものではないのですか?
(N)
- ホバークラフトって、そんなに揺れるんですか…。
大型バスのような乗り心地かなぁ、と想像しておりました(^^;
穂積
- >>(N)氏
あれはSES「形式」の船があのような設計になっているだけであって、純粋なSES「船体」と一緒にはできません。
sorya
- >8.
「あれ」とは双胴船とかSWATHの事を言ってるのですか?
(N)
- ごみレスです。
「ホバークラフト・トータルガイド」 著作・三野正洋
という一人乗り用ホバークラフトの製作マニュアルが販売されています。お探しの旅客ホバーとは異なりますが、安易な解説で纏められていますので、一度お読みになられてはいかがでしょうか。
能登
- 重ねて、お礼もうしあげます。
なんとかして、その本を入手したく思います。
ところで、更に質問があるのですが、ホバークラフトは、波や渦潮やウネリの影響は受けるのでしょうか?
また受けるとすれば、航行に支障があったりするのでしょうか?
穂積