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1554 「ネルソン」では、艦首に主砲を集中しすぎたため、いろいろと問題があったそうですが、「利根」ではその様な事は発生したのでしょうか?
ちはや

  1. ネルソンの問題点は主砲関係が主でした。
    狭い所に16インチ砲9門という出現時世界最強の火力を集中させたため、爆風が半端じゃありませんでした。全主砲を真横から後方に斉射しようとすると艦橋にえらい衝撃がくるらしいです。また新形式の砲塔構造にも関わらず、軽量化が要求されたので不具合が多かったようです。
     ところが利根の場合、もっと小さな8インチ砲8門をネルソンに比べれば長め(主砲口径に対して)なスペースに装備していたので、この点は問題なかったようです。さらに砲塔構造も過去の重巡と同一なので問題無しでした。
    それよりむしろ船体後部の航空機運用スペースをスロープ付きの二段にしてしまったため、搭載機の移動がしづらいなどの問題があったようです。
    戦艦乞食

  2. 前部甲板に主砲を集中して装備している割には散布界が広くなったため、次の最上級では前後振り分け式に戻った、ということだったと記憶しています。
    ほほうてい

  3. >2
     ツッコミ失礼。
     利根型が建造されたのは最上型の後ですよね?
    T216

  4. ↑最上じゃなくて、マル急の伊吹のことですね。
    勝井

  5.  利根型は散布界も小さく10門艦に匹敵するという話がありますが...。
    セミララ

  6. >5
     演習での散布界広さや命中率命中速度は10門艦に勝るとはとてもいえません。
     勿論各艦で状況や条件は異なるのですが、発砲遅延なしの条件で見た場合、散布界広さは上位とはいいがたく。遅延装置併用艦には惨敗。門数で劣るので命中速度等も見劣り、優秀な成績とは言いがたいのではないかと思います。
    (実際には各艦は各種の対策や工夫をしていますのでこれが一概に利根型の性能が問題というわけではありません)
     また発砲遅延装置併用の最上型が優秀な成績であったことが砲術学校の所見で出ております。利根型に遅延装置を組みこんだ場合の成績が不明なので何ともいえませんが、遅延装置無しでの各重巡の成績で見ても利根は上位ではないので(っていうか下位なんです)組み込んだところでも他重巡と実際問題として変化は無いでしょう。となると砲数が少ない分火力で劣るわけです。(それがどれほどの違いになるかは私には判断できませんが)
     伊吹が、火力で勝り死角の無い最上型スタイルになるのは自明の理だったのかもしれません。
    SUDO

  7. また叩かれるのを覚悟の上での問題提議です。
    そしてまたもや遠藤昭氏ソースでのお話です(この時点で終わってるのかも)。
    利根完成後の射撃成績を見ると、散布界縮小は果たせなかったものの、青葉級と同様16%の命中率は達成しました。これは妙高級等の散布界で、着弾点のバラつきが全体に平均している「粗」の状況だったのに対し利根では、大半の弾丸が集中して落下、少数の弾丸のみがバラつく「密」状態だったからと思われます。
    一般には散布界だけが問題にされるため、「利根型のような砲塔集中式によっても散布界対策にならない」と結論のすり替えが巧みに行われ、「大和」の砲塔集中案が葬り去られた、と遠藤氏は説きます。もちろん、同様の理論で利根の次の重巡伊吹も、改最上型とされた・・・
    どうなんでしょうね、この論法は?
    戦艦乞食

  8.  これは難しい問題なのですが、その他の条件を同等とすれば、砲塔を集中的に配置した方が散布界は小さくなります。
     但し、これが本当に大きな問題となるのは目標との体勢が大きい場合であって、同航戦あるいはそれに近い場合、或いは前部(後部)の砲塔群のみで射撃をする場合は、それ程の問題にはならないでしょう。

     従って、利根型の散布界が他の重巡に比べて小さい、とすれば。それ以外の条件が要素としては大きいと思います。

     ちなみに、昭和15年の乙種戦闘射撃に於ける、各戦隊毎の射弾散布の状況を、目標から±50m内の着弾数の百分率で比較すれば。

    4S:27.7%(±50m内に着弾した数/有効射撃弾数×100)
    7S:29.5%
    8S:34.9%
     
     ですから、確かに差はあるのですが、これが本当に砲塔の配置によるものなのかは検討の余地があると思います(散布界の数値は結構変わるので。ちなみに昭和14年の4Sはこの数字が32%でした)。

    >「大和」の砲塔集中案が葬り去られた
     でも、利根が戦闘射撃を実施したのは昭和14年以降ですから、既に「大和」は船台の上ですよね・・・というか、大和の起工は利根の竣工前ですけど。

     あと、ここで「誰々の説」を攻撃するのも気が引けますから(笑)議論ボードに書き込むか、戦艦乞食さんも自己紹介の家を建ててみてはいかがでしょうか?
    tackow

  9. tackowさん、いつも御迷惑かけっぱなしですみません(泣)

    うーん、でもtackowさんのお話でなんとなく納得してしまいました。
    あと議論ボードの事ですが、それほどの事かな?とも思いますし、まだまだ私自身あのような高度な議論の場に立てる者じゃないので、ここで無責任な発言をして、皆さんの修正を受ける方が気が楽です・・・

    戦艦乞食

  10. 結局、各艦で安定した好成績をあげるには数年かかるんですよね
    利根もそうですけど。日本重巡は演習でかなり遠距離で撃ってますし
    なんか、それ以外の要因が大きな影響をもたらす居ていると個人的には考えます。
    そいや射弾分布半べそ書きながら模写したのにどっか逝っちゃった(;_;)
    また恵比寿逝ってくるか・・・。
    SUDO

  11. すみません便乗質問です。

    >結局、各艦で安定した好成績をあげるには数年かかるんですよね
    ほとんど同じような艦型で作り続けた米国重巡たちは
    この点(散布界)で有利だったのでしょうか?
    また,米国軽巡などはどのような実力だったのでしょうか。
    個人的には,アトランタなどの防空巡洋艦や15門艦の実力に興味津々です。
    実戦での印象から言うと,我軍の方に軍配があがりそうなのですが…
    ちなみに昔懐かしの,“IRON BOTTOM SOUND”なるボードゲームで
    米軍有利に数値が設定されていて地団駄踏んだ覚えがあります。
    実際どうなのでしょう?どなたかぜひぜひお教え下さい。お願いします。

    MI66

  12.  有名な戦前の演習データや戦訓からは、敵国艦の散布界は相当に広いと考えられます。
     巡洋艦についても同様で、実戦では「狭叉はするが命中しない」といった状況が見られます。
     
     ボードゲームのそれは、単純に散布界等を表現しているのでは無く、雰囲気を出すためのデザイナーの表現方法と受け取るのが良いのではないでしょうか?
     私はルールを変えてやってましたが・・・
    tackow

  13.  私の知っている限りでは、大和型は、砲塔の位置や高さの差まで計算に入れて射撃しているので、集中配備にすると散布界が良くなる事とは関係無いのではないでしょうか?
    ザイドリッツ

  14. あのう、ザイドリッツさんの仰る事がよくわからないのですが。
    大和自身の砲塔測距儀は位置が低すぎて、接近しないと使えません。
    主測距儀の測距結果を各砲塔ごとに微調整するのは大和に限った事では無いと思うのですが、違うのですか?
    戦艦乞食

  15. 思い付きですまんですが、要は、砲塔測距儀の位置を計算に入れているんではなくて、砲塔の位置や砲弾同士の干渉とかを計算に入れているから別に集中配置にしてもそんなに散布界に変わりが無いのでは?と言う事なのでは?

    #そりゃ、私はザイドリッツさんではないから違うとご本人が言われたらそれまでですが。
    ooi

  16. >6
     主砲換装前の最上型の 林立する15本の水柱の伝説? はどうなのでしょうか?
     これも誤った情報?
    セミララ

  17. >16
     改装前に於ける最上型主砲の散布界は確かに小さいのですが、「15本の林立する」という程では無いです。
    tackow

  18.  14> 普通に、大和型が前檣楼の頂上の、方位盤・側距儀で狙っている場合で
        す。
        集中配備にすると散布界が良くなる艦は、集中角(方位盤と砲塔間の水平
        距離による角差)を計算に入れていないと考えたのですが・・・。

     それとも、これとは関係無く、集中配備にすると散布界が良くなるのでしょうか? その理由は何でしょう?
    ザイドリッツ

  19. >15.18
    ooiさん、ザイドリッツさんお答え有難うございます。
    妙高での散布界過大の原因は当時、長い船体の前後に砲塔群が離れて配置されているためにおこる船体のねじれ現象によるものと推測されました。
    そこで次の高雄型では前後砲塔間の長さを砲塔一個分短縮する事で解決しようとしました。これにより副次効果としてヴァイタルパートが短縮され弾薬庫装甲が1インチ強化できましたが、艦橋構造物が煙突の上にかぶさる形となり外形が肥大化し内外の批判を浴びました。肝心の散布界縮小にも効果がありませんでした。
    次の最上型では三番砲塔と四番砲塔を最上甲板に、二番砲塔と五番砲塔を上甲板にそれぞれ砲塔支筒を強固に固着する事によってねじれを無理矢理押さえつける方法を取りました。しかしこれは船体にかかるゆがみの方が強烈で、砲塔支筒がゆがめられ砲塔が旋回不能になってしまい、結局支筒と甲板の結合を従来艦通り軽い支え合わせにする事で解決しました。もちろん散布界は過大なままでした。
    そして最終的にとられたのが利根型の砲塔集中配置だったのです。
    戦艦乞食

  20. >18
     砲塔の距離が離れている場合、各砲塔間での旋回面の誤差(ずれ)等の影響が、集中して配置した場合に比べて問題になりますが。これはその誤差をあらかじめ測定し、修正する事でどうにかなります。
     問題になるのは8番で書いた様に目標との角度が大きい場合で(斜め前とか斜め後ろを打つ場合)、この場合は発砲する砲塔の中で、一番前の砲塔と一番後ろの砲塔間の距離が効いてきますから(そこまでの制御は当時は不可能でしたので)、集中して配置した方が有利になる訳です。

    >19
    >副次効果としてヴァイタルパートが短縮され弾薬庫装甲が1インチ強化できましたが
     これは逆ではないでしょうか?確かに文献によってはそう書いてある場合がありますが、船体の捻れは測定できますし。仮に捻れが原因としても、どれだけの効果があったかは疑問です(というか、設計する時点で捻れを計測して、砲塔距離の短縮がどれだけの効果があるか検証するのでは?)。

     ちなみに、妙高型で船体の捻れによる散布界への影響を測定したデータによると、精々数m程度であったようです。
    tackow

  21. >20
    tackowさん、毎度御迷惑おかけしております。

    とすると、高雄の砲塔間縮小は装甲強化を目的にしたものと考えてよろしいのですか? 散布界対策であるとは設計主務者の江崎岩吉氏の発言らしいのですが。
    また、主砲を50口径から55口径砲身に換装するためのクリアランス確保と言う説も最近出て来ましたから、これら3点のどれか?と言う事では無くこれら全ての複合目的だったと言う方が良いような気がします。

    また、洋上では波浪などの船体への影響もありますから全て計算できるとは、あの時代特に難しいのではないでしょうか?

    私自身、今だにわからないのは結局散布界過大の原因です。これも複合要因だとは思いますが・・・



    戦艦乞食

  22.  20> ありがとうございます、tackowさん。
    ザイドリッツ

  23. >私自身、今だにわからないのは結局散布界過大の原因です。これも複合要因だとは思いますが・・・

    うろ覚えで恐縮ですが、その複合要因の一つとして、散布界過大の改善を図るために発砲遅延装置が開発されたのではありませんでしたっけか。
    砲弾同士の干渉が、命中率に影響を及ぼすとか言う話でそれを改善する為に開発されたはずだと覚えているのですが、確か福井静夫氏の著作にそう言う記述がありませんでしたっけ?
    ooi

  24. >23
    ooiさん、どうもです。
    確かに飛翔中の弾丸の相互干渉が主原因で98式発砲遅延装置が開発され、かなりの改善を見たとされます。が、昔どこかで「弾丸の相互干渉のみを主原因とし、発砲遅延装置の採用により全ての解決を見たというのは余りにも短絡的で虫の良すぎる話」と言う記述を読んだものでずっと引っ掛かっていたのです。ソースもわからないうろ覚えで申し訳無いのですが・・・
    戦艦乞食

  25. >24
    既に質問内容と懸け離れ(私のせいです)御覧になってる方もいらっしゃらないとは思いますが・・・
    22の私の疑問は丸スペシャル最上/利根の記事の一つで、石橋孝夫氏による「新造時の利根型」の記述からでした。石橋氏御自身も疑義を提示しただけで解答が無い・・・
    とにかくお騒がせしました。
    戦艦乞食


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