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古い文献では近代化改装したエセックス級のことをハンコック級と呼称しますが、この呼び名はどこまでポピュラーなのでしょうか。 当時なされた攻撃空母対潜空母の区別はミッドウェイ級フォレスタル級を最大限に活用するためエセックス(ハンコック)級で運用できる機体を載せない爲の便法だと思うのですが、現在に到るまでの歴代の艦上機の、歴代各級空母に於ける運用可能性(機体、母艦、それぞれ改造等仮定のシチュエーションを含めて)は。 (特に原子力)空母は就役期間が30〜50年と長い(ことが少なくともニミッツ級の建造時には判っていた筈)ため、建造当初には運用できない重さと離陸速度の機体を現在将来運用するためにより強力なカタパルトに換装することはできますか。 litllenimo |
- ハンコック級は米海軍の半公刊書である「アメリカ艦隊の艦と飛行機」とかでも使われている
SCB-27C+SCB-125改装艦に対する割とポピュラーな名称ですが、米海軍のサイトだと
SCB-27A+SCB-125改装艦はエセックス級、SCB-27C+SCB-125改装艦はタイコンデロガ級と
呼んでますね。またSCB-27C+SCB-125改装艦のうちオリスカニーは別級として扱う場合があります。
↓参考までに
http://www.history.navy.mil/photos/usnshtp/cv/scb125cl.htm
因みにCVSがエセックス級の任務とされたのには、CVEやCVLのCVS化が能力不足・対費用
効果劣悪と判定されたためもありますが、SCB-27A+SCB-125改装艦(エセックス等)と
SCB-27C+SCB-125改装艦(タイコンデロガ・オリスカニー)級の能力に差が生じたため、実際に
運用できる艦載機種別に差が生じたのもあります(簡単に言うとSCB-27A+SCB-125改装艦は
カタパルトの能力が低い)。
1960年代にはSCB-27C+SCB-125改装艦に対してFRAMII改装が為されますが、これは
当時最新の艦載機が運用できなくなってきていたSCB-27C+SCB-125改装艦をCVSとして
再生するためのもので、イントレピッドを初めとして数隻がこの改装を受けています(資料が
手持ちに無いので記憶モードですが、確か3隻だったかな?)。
ところで1960年代中期にはF-4やA-6といった最新鋭機を運用できないエセックス改装艦は
既に近い将来における退役が決定していたのもまた事実です。実際TFXの計画開始時点に
おいてSCB-101.66/68改装艦(ミッドウェー級)以前の空母はFRAMII改装CVSを除いて
退役する事が決まっていました。
なお、カタパルト換装に関しては、1980年代に行われた大型空母のSLEPにおいて、C-7/C-11を
装備していた艦のカタパルトをC-13に改めてますので改装工事を実施する事は可能です。
大塚好古
- 上に追記。1960年代初期からSCB-27C+SCB-125改装艦でもCVSとして使われている艦が
ありますが、これはCVSの兵力数を揃えるための措置です。1960年代中期以降にはCVAと
されていた艦のCVSへの転籍が進められますが、これはF-8の退役等搭載できる戦闘用
航空機の退役が進んだ事や、CVAとして大型空母の数量が整備された事が影響しています。
大塚好古
- ↑1 記憶で書くと間違えますね^^;。御詫びの上訂正します。
エセックス級に対するFRAMII改装は1960年代に27A+125改装を行った艦に対して7隻、
27C+125改装艦1隻(イントレピッド)に対して行われています。目的は対潜任務群の
旗艦として必要なデータリンク搭載やそれに伴うCICの更新/ソナーの搭載/その他
艦の搭載する全てのものを対象とした更新もしくはオーバーホールが行われています。
これらFRAMII改装を受けたCVSのうち、イントレピッド以外が改装からさして年月が
立たない1968年から1970年に予備役編入されたのは1969年以降の米海軍の予算緊縮に
よるところが大ですが、この前後に27C+125改装艦CVAがCVSに転籍しています。
これは大型空母の就役やF-8やA-1/A-4の飛行隊減少にともない27C+125A改装艦に
対してCVAとしての空母航空団が数量維持できない状況にあったのも影響していますが、
米海軍はCVSを兵力として一定数量維持したいにも関わらず、CVSとしてみれば遥かに
適性の高いFRAMII艦を差し置いて27C+125改装艦を現役に残した事になります。
この事実は米海軍として事あればCVAとして使用出来る27C+125改装艦を現役に
留めておきたかったからだと推測します。それだけ27A+125改装艦と27C+125改装艦では
空母としての能力が違った艦であった、ということなのでしょう。
大塚好古