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下の設問を見て気づいたのですが、1970年代までSSMは一般的な兵器で なかったようですが、1950年代からの二十年間の艦対艦兵器の主力は 何だったのでしょうか? また当時の航空機の主力対艦兵器は何だったのでしょうか? taka |
- ニュース速報的レス
たしか、米国なんかの空母機動部隊に対抗するために、最初にソ連で対艦ミサイルが発達したんじゃなかったのかな。
そして第三次中東戦争でソ連製の対艦ミサイルがイスラエル駆逐艦を撃沈したもんだから、西側が対抗して対艦ミサイルの開発を始めたという経緯だったような記憶が。
米国を始めとする西側諸国は、ターターなんかにある程度の対艦能力があることや、米国空母機動部隊の圧倒的航空戦力があれば爆弾やロケット弾でどうにかなると思っていたのでは。
余談
海上自衛隊に関しては、予算上の関係からなかなかミサイル系の武器に手が出せなかったという事情もあるみたいなんで、もし対艦ミサイルあってもなかなか搭載できなったかも。
(「あまつかぜ」と「たちかぜ」の間は、結構長いですもんね。。)
資料なく記憶カキコのつぎはぎなので修正よろしくお願いします。
SAW
- 簡単に言ってしまうと、砲/魚雷が主に主力と考えて良いと思います。
まあ、流れとしてはこんな所で。
・アメリカ
アメリカがミサイルの開発に着手したのは1945年1月、1953年にはテリア、1985年にはタロスのSAMを開発しています、その前にドイツのV−1を元にした核誘導ミサイルレギュラスを開発、実戦配備につけていますが、戦略核なんで省きます。
それからかなり間が空きまして、1965年頃からアメリカのマグダネル・ダグラス社が自主的に対艦ミサイルの開発を開始、1967年のエイラート事件以後米海軍も開発に乗り出します、その間RGM−66DスタンダートSSM(スタンダートSAMの発達型)が実用化されますが、これは少数の配備に終わり1977年のハープーンSSM型から本格的な配備が始められます(ハープーンは、元々ASMとして開発されていますが、配備はSSM型の方が早かったようです)、さらに1983年からはトマホークTASM(トマホーク対艦ミサイル型)が導入されています(今現在は、あまり対艦型は使用されていないといった話も聞いた事がありますが)。
それまで、主力の艦対艦兵器として使われていたのは主に砲(5インチ両用砲や重巡の8インチ砲、軽巡の6インチ砲)で、一部では魚雷も有った様ですが、早期に撤去されています(FRAMやらなんやらで)。
主に、航空機の主力対艦兵器としては爆弾/ロケット/ASM(初期の)があったようです、主に空母の搭載機が持つ破壊力は相当なものと考えられていたので、米海軍の危機意識が薄かったのかもしれません。
・ソビエト/東側
米空母機動部隊に対抗するための対艦ミサイルの開発を進めていたソビエトは、まず1957年に空対艦ミサイルAS−1ケルトの開発に成功、同時に開発された艦載型の対艦ミサイルSS−N−1スクラッバーを1958年、駆逐艦に搭載、W型潜水艦にもSS−N−3シャドックが装備されます。
しかし、スクラッバーやシャドックは見通し外距離ミサイルで、自艦センサーでの目標発見ができない事や、中間誘導を必要とする点から有効性を疑問視されていました、しかし、1959年から装備され始めたSS−N−2スティックスが1967年にエイラート事件で名を上げてのち西側海軍にとっての脅威とみなされる様になります。
この様にソビエトは、早くから艦対艦主力兵器をSSMにシフトしつつありました、無論、航空機も同様です。
・西欧
早期から対艦ミサイルの研究開発に取り組んでいたのはノルウェーで1960年代初めから着手、1972年にはペンギンSSMを実用化しています、100トン前後の小型艇に装備する事を検討していた為小型ですが、色々な特徴があるミサイルです、エクゾセの開発もそれよりやや遅いぐらい、あとイタリアのオトマートやも70年代半ばには開発に着手しています。
イスラエルは独自にSSMの開発に乗り出し1970年代初めにはガブリエルSSMを完成、実戦に投入しています。
空対艦兵器についてはアメリカと同様ロケット乃至は爆弾が主で、1970年代頃からASMの導入が始まっています。
・日本
エイラート事件後、海上自衛隊もミサイル艇の導入を検討していたが諸々の事情から見送られ、技研が国産の対艦ミサイルの研究に着手しだしたのは1973年から、1980年には開発を完了しASM−1として量産が開始された、その後ファミリーを増やしつつ生産は継続されています。
海上自衛隊はDEいしかりからハープーンの導入を開始、更に艦対艦型のSSM−1Bも導入されるまでに至ります。
対艦ミサイルの導入以前の対水上能力は主に砲/魚雷に頼らざるをえず、航空機の対艦兵装も爆弾/ロケット弾が主だったようです
ooi
- >追記
1962年キューバがミサイル艇を配備した事から3Tミサイル(テリア/タロス/ターター)の対空ミサイルに対艦能力が付与されました、しかし主力対艦兵器とみなされていたかと言う点においては疑問符がつきますが。
ooi
- だいぶ重複していますが(off-lineで書いていたもので)
対艦ミサイルについては、1943年9月9日にドイツがヘンシェルHs293「フリッツX」で連合国に降伏するイタリア戦艦ローマを撃沈したのが始めだと思います。その後も英戦艦ウォースパイトなどに使用されたものの、電波妨害装置が開発されて有効性が低下したようです。
戦後、東西対立の時代となったわけですが、東側には有力な海軍が存在しなかったので、西側については対艦戦闘を考慮する必要はあまりなかったと思います。
東側というかソ連では、ドイツから手に入れた技術を用いて、潜水艦の建造とスヴェルドルフ級という第二次大戦型の巡洋艦(16000t,152mm3連装砲4基)を1954年までに14隻(計画では24隻)も建造しています。東側の力を第3世界に見せつけるのに「親善航海」と称して寄港させるのに大型艦が効果的であったということのようです。
西側では第二次大戦中に建造中であった艦などを防空巡洋艦として完成させています。また、1953年に艦隊空ミサイル-テリア、58年にタロスを開発して、第二次大戦中に建造された巡洋艦などを改装して装備しました。また、ソ連の潜水艦に対応するために対潜用艦の建造にも力が注がれています。
米駆逐艦でみると、1955年から就役を開始したフォレスト・シャーマン級までは魚雷発射管を装備していますので、概ね60年代初頭頃までは対艦兵器として魚雷も考慮されていたと思われます。
西側の空母機動部隊(米英仏)を攻撃するためにソ連では、1957年に空対艦ミサイルAS-1ケンネルを開発し、58年には艦載型のSS-N-1スクラッパーをキルディング型駆逐艦に、SS-N-3シャドックをW型潜水艦に搭載しています。
1967年10月21日(第3次中東戦争後です)に、エジプト軍のソ連製コマール型ミサイル艇がイスラエル軍駆逐艦エイラート(前身は英Z級駆逐艦ゼラス)をSS-N-2スティックス3発で撃沈して、対艦ミサイルが注目されました。
イスラエルも68年にはガブリエル・ミサイルを開発して哨戒艇に装備しています。1973年の第4次中東戦争ではシリア軍、エジプト軍のミサイル艇隊に完勝しています。確かこのとき、「流れミサイル」で民間船が10隻だか撃沈されていて、日本の貨物船も含まれていたと思います。
1971年のインド-パキスタン戦争でもスティックス・ミサイルが使われているようです。
西側では、70年代初めにフランスの「エグゾゼ」とノルウェーの「ペンギン」が、70年代半ばに仏伊共同の「オトマート」が開発されています。アメリカではスタンダードSSMが実用化された後、ハープーンの艦対艦型(77年)が開発されています。
航空機の艦対艦兵器ですが、ソ連の場合は先に書きましたように57年に空対艦ミサイルを開発し装備しています。この当時のソ連製ミサイルは艦載型で5t前後、空対艦で10t前後と極めて大型で射程も長い(100海里以上)ものが多く、バックファイア爆撃機とAS-4あるいはAS-6ミサイルの組み合わせから米機動部隊をどう守るかが80年代頃まで議論され、某総理の「浮沈空母」発言などが問題とされたことを記憶しています。
朝鮮戦争、ベトナム戦争で航空機による対艦攻撃がどのように行われたのか判らないのですが、82年のフォークランド紛争では激しい海空戦が行われています。「空戦フォークランド」という江畑謙介氏訳の本に詳しく書かれています。イギリスとアルゼンチンのジャーナリスト2人による共著です。手元にないので15年以上前の記憶ですが、アルゼンチン空軍のダガー攻撃機(ミラージュVのイスラエル製カーボンコピー)は1000ポンド爆弾を超低空で投下(スキップボミング?)したため時限信管の安全装置が解除されず多くが不発弾となってしまっていたと思います。不発弾処理中に爆発したのもあったかと思います。海軍のスカイホークは500ポンド減速爆弾(後部にエアブレーキがあるやつ)を使用したのでかなり戦果を挙げはしたのですが、シーハリアーにバタバタ落とされていたということだったと思います。海軍第2戦闘攻撃エスカドリーラのシェペル・エタンダールのエグゾゼ・ミサイルによる戦果(2隻)はご存知ですよね。エグゾゼは地上発射型も使用されフリゲート1隻を大破させています。また、イギリス側でもヘリコプター搭載のシー・スクエア空対艦ミサイルが使用され潜水艦や哨戒艇を大破させています。
ええと、余計な事は書いてないよな・・・少しあるかな。
もし、仮に気分を害する文言がありましたら、お許し下さい。(反省、反省)
波タカシ
- 殆どは既に答えが出ていますが
西側でも第二次大戦中から空対艦ミサイルの開発と運用が行われています
例えばコレ
http://www.abs.sdstate.edu/bio/pederses/Research/Military-Bat-Archives/Weapons-Systems/BAT-glidebomb.html
艦艇の対艦装備は未だ戦艦や重巡洋艦が健在でしたので、その巨砲に依存する要素が大きかったのも事実です
また、この時期には誘導魚雷が一定レベルの実用性を示すようになっていますので、これにも大きな期待がかけられています
(ドイツや日本等で魚雷艇が建造されていますね)
西側の場合は空母があり、反対に東側には強烈な大型艦艇が存在しませんでしたから
西側ではそれほどの重装備は必要とされていなかったのが大きいでしょう
よって、より大きな視点で見た場合
東側は潜水艦による攻撃、西側はそれに対する防衛がこの時期の重点だったのではないかと思われます
また航空機搭載武装ですが
この時期は誘導爆弾が未だラジコンみたいな代物でしたので
無誘導のロケット弾や爆弾が大きなウェイトをしめていました
航空自衛隊の支援戦闘機も対艦ミサイルの配備以前は無誘導の爆弾とロケット弾に依存していました
SUDO
- ありがとうございます。対艦ミサイルは対空ミサイルより歴史が浅かったんですね。驚きました、
taka
- 既に、シメが出ておりますが少しだけ訂正。
「ゴランの激戦」高井三郎著 原書房 1982年発行
に第4次中東戦争の海上作戦が3ページほど(図等を除く)にまとめられております。詳細は省略しますが、これより抜粋しますと、
11〜12日夜、ラタキアを攻撃したとき、イスラエル軍のミサイルにより第3国の船舶4隻にも被害が及んだ。
・ギリシャの商船・チメンタルコス/沈没、死者2人、負傷7人
・ソ連の貨物船・サミル・コータ/損傷
・日本の貨物船・山城丸/火災発生後沈没
・ソ連の貨物船・イルヤ・メクニコフ/沈没
(中略)
イスラエルは、海上作戦の結果アラブ側の小艇14隻を撃沈したほか相当数の船に損傷を与えたのに対し、自らの損害は、砲弾による小破が1隻に過ぎないと発表した。しかし米国防省は、ザール型ミサイル艇の損害は、沈没2〜3隻、損傷1〜2隻とみている。一方、ソ連の見積もりによればイスラエルのミサイル艇の沈没数は、5隻である。
波タカシ
- >対艦ミサイルは対空ミサイルより歴史が浅かったんですね。驚きました
ああ、それはですね、ちと早合点です。
4番の書き込みにあると思いますが対艦ミサイルの歴史自体は対空ミサイルよりもむしろ早いです(アメリカやソビエトでの歴史が先の書き込みのように流れていると言うだけで)、ドイツや日本では第二次大戦中に開発に着手されています、ドイツでは第二次大戦中に地対空ミサイルの開発にも着手しています。(実用化はされていないのですが)
詳しい事はmissile.indexとかで調べてみたらどうでしょうか、楽しいですよ。
ooi
- >8
上に張ったurlを見てください
アメリカ海軍の空対艦ミサイルです、ちゃんと第二次大戦中に配備されてます
SUDO
- >8
あ、すいません。西側で本格的に実用化されたミサイルの中でってつもりでした。
taka
- >9
色々勉強になります。ただ、これって「滑空爆弾」ですよね。英語には自信が無いので間違っていたらごめんなさい。
ミサイルという言葉はローマ時代からある言葉で投げ槍とか投石とかの飛び道具全般をさしていたと思います。
誘導装置付きの滑空爆弾をミサイルに含めると話が厄介になりますよね。あ、でも設問は対艦兵器だからいいのかな。
波タカシ
- いけない。誘導爆弾のHs293を私が先に挙げてました。
波タカシ
- >11
ご自身で例に出されたフリッツXも滑空爆弾では無いでしょうか?
まあ、動力の有無をミサイルの条件とするとなると
米軍でも1960年代以降(ブルバップ等)になるようですね
ざっと調べるのでしたらFASをお勧めしますがhttp://www.fas.org/man/index.html
SUDO
- 朝鮮戦争からベトナム戦争までの20年間には、そもそも西側海軍が、特別の艦対艦兵器の開発をせまられた敵対する東側海軍など、洋上どこにも見当たらなかったはずです。絶対的な、沿岸から洋上までの制空権と、水中を含めた制海権があっただけで、十分以上だったはずです。(もし目障りならば、サブロックで???)
豪腕少年タイフーン