1353 |
アメリカ海軍の潜水艦が推進システムとして ディーゼル・エレクトリック方式を採用した理由は 何だったのでしょうか? 北方不敗 |
- 騒音の元となる減速歯車を使用する事無く、高回転機関が使用出来る点が有利な様です。
また、効率の良い回転数だけを使えるのでUボート\D2型は燃費対策の為にわざわざ
巡航用小型ディーゼル別に積んでディーゼル・エレクトリックで運転してました。
しゃるほ
- 歯車より機関の音の方が大きい気が...
しゃるほ
- まあ、大抵の船でそうなんですが
基本的に機関と推進軸は繋がってます(自動車のそれを思ってください)
普通のディーゼル艦ですと、ディーゼルエンジンと推進軸が繋がってるわけです
でもって、潜水艦は水中では推進軸を電気モーターで回します
この場合は、ディーゼル機関と推進軸の接合を切って
次に電気モータを推進軸に繋ぎなおす手間がかかります
実戦で急速潜航とかやってると手間がかかって仕方が無い訳です
ディ−ゼルエレクトリックの場合、推進軸には電気モータだけ繋がってます
急速潜航する時はディーゼルエンジンだけ切れば良いので運用が楽になります
また二種類の機関を推進軸に接合できるようにする為には結構面倒なレイアウトの手間が要ります
これもディーゼルエレクトリックなら解決します
勿論マイナス面もありますが、こういった利点と
米国は電気推進を戦艦にも採用した実績でも判るように
電気関係が発達していた事が、採用理由では無いかと思われます
SUDO
- 米国のド級戦艦に蒸気電気推進システムを採用したのは、その当時大トルク大馬力の減速歯車ギアを製造するノウハウがそれほど無かったからだと聞いたのですが、、、、。
Navy
- 大の潜水艦好きがいるこのページで私なんぞが出張るのもなんですが。
量産型潜水艦の中で初めてディーゼル・エレクトリックを搭載したP級以前の艦、アルノゴート、ナワール、ドルフィン、キャシュロット級に搭載されたディーゼル機関が揃いも揃って不調続きで、ナワール級は1941年に、ドルフィン級は1936年に機関を丸ごと換装するという大事に至っています。P級建造時点でこれらの事態は既に明らかになっており、水上艦での経験のあるこちらに切り替えたのではないでしょうか?
烈風天駆
- ディーゼルエレクトリックの利点ですが、
◯ ディーゼルを最適な回転数で回せるのでメンテナンス面で有利
◯ 推進軸を短く出来るので、推進軸の捩れや振動問題を考慮せず主機の増戴が可能
◯ ディーゼル/電気推進切換方式だと水上航走時に主機と推進軸の間に二個のクラッチを
繋げて、片一方で推進軸を回し、残りの余剰出力で発電を行うわけですが、この場合
充電能力が水上速度に応じて変化するという欠点があるのに対し、ディーゼルエレクトリックは
発電機を常に一定速度で回せるので水上航走時’シュノーケル航走時)の発電/充電能力に
優れている。
◯ 水上進撃時に、一基乃至それ以上のディーゼル機関を点検のため停止しても、問題なく
巡航速度が出せる。
というところが潜水艦主機としてのメリットでしょう。
米艦船局はこう言ったメリットを1920年代には認識しており、また米潜水艦の場合、WWI戦後に
建造されたVボートの諸艦は専用のディーゼル発電機を持っており、ディーゼルエレクトリック併用
とも言える機関形式でしたが、船型を小型化したV-7(ドルフィン)級で、艦内容積の問題から
これを除いて主機関のディーゼルエレクトリック化する事が機関局から進言されますが、周辺技術が
伴わなかったため通常の型式であるディーゼル/電気推進の切換方式にしたところ、充電能力に
不満が出ることになります。
こういった様な理由から、P級以降の建造艦においては、機関のディーゼルエレクトリック化が
進められますが、完全なディーゼルエレクトリック化に必要な高出力のディーゼル発電機と
モーターの開発が中々旨くいかず、試行錯誤を繰り返した結果、FY37で計画された新S級の最終艦
であるソードフィッシュ以降漸く米艦隊型のディーゼルエレクトリックは完成した形態になります。
>烈風君へ
アーゴノート以降の機関換装は近代化改装のためと発電用補助ディーゼル除去による艦内容積
拡大の方が理由としては大きいです。改装前の機関は、計画出力は出ませんでしたが、それほど
信頼性が悪いものではありません。
大塚好古
- >上
◯ ディーゼルを最適な回転数で回せるのでメンテナンス面で有利
→ ◯ ディーゼルを最適な回転数で回せるので燃費/メンテナンス面で有利
に変更します
大塚好古
- 門外漢が思いつきでお邪魔します。
米戦艦のターボ・エレクトリックは三相交流と資料にあるのですが、潜水艦の電動機は当然直流ですよね。発電は交直どっちでやってたんですか?
志郎
- >志郎閣下
バラオ/テンチ級のうち、ハードヘッド(SS-365)やクゥイルバック(SS-424)が装備していたのは
交流発電機だそうですので、概ね交流発電機装備だと思いますが、米艦隊型は艦によって細かい
差異があるので、全部がそうなのかどうかは断言しかねます。
大塚好古
- 皆さん、丁寧な回答有り難うございます
以下余談
アメリカのディーゼル・エレクトリックの技術の
完成度の高さは初代くろしおの関係者が
水上最高速度20ktを気軽に使えたと
記述している辺りにも窺えます
北方不敗
- >◯ 水上進撃時に、一基乃至それ以上のディーゼル機関を点検のため停止しても、問題なく
> 巡航速度が出せる。
まあ水上電動機航走はディーゼルエレクトリックじゃなくても出来ますけどね。
試運転でついでに発電されるか、空回りするかの違いくらい。
また機関を連続で運転したまま前進後進を切り替えられるってのも。
UボートVII型で多用された燃費を抑えるテクニックに、片舷の主機を経済運転させ
て、スクリュー回しつつ発電してその電力で反対舷の電動機を回す半ディーゼルエ
レクトリック航法ってのが有りましたけど。
水上750tの艦が6ノット無補給で大西洋横断往復してました。
(但し一部の真水タンクに重油入れたりしましたけど)
しゃるほ
- >11
パウケンシュラーク作戦時の燃料積み込み要領は
まさしくそれですね。
北方不敗
- 今日酒飲んで似たような話をしていたらそれを書け、と言われたのでゴミを書きますが。
電動機による水上航走は日本の潜水艦でもやってますが、この場合DEの艦と非DEの艦において
大きな差が出るのは、DEの艦は予定される巡航速度を易々と出せますが、非DE艦は潜航時の
最大モーター出力以上はモーターを回せませんので通常の巡航速度を出せない場合が多いです。
またこの状態での充電速度にも大きな差が出ます。
あとVII型の大西洋横断ですが、似たような水上排水量である海中五型やマッケレル級がやはり
無補給で大西洋を横断/哨戒任務に就けるだけの航続力を持っているというのも確かであり、
決して当時の潜水艦としても傑出した能力では無い、と言うことは覚えていても良いでしょう。
大塚好古
- ↑大塚さまへ
ペーター・クレーマーが著書で述べてますけど
Uボートの場合相当無理してたのが実態のように思います
傑出した能力というより「捻りだしたギリギリの能力」
と考えた方が妥当だと思います。
(あくまでUボートに限っての話です)
北方不敗
- ↑かき忘れました。
上記のことは大西洋横断・哨戒任務についてです
北方不敗
- ああ、ごめんなさい。
VII型の能力についてではなく、一見ディーゼルエレクトリックならでわと思える恩
恵にも、非ディーゼルエレクトリックも工夫次第である程度までは預かる事が出来
るという一例を示したかったのですが。
(単純な一軸航走より効率良く巡航速度も出せるし人手が有ればもう一基はメンテやり放題)
>決して当時の潜水艦としても傑出した能力では無い
勿論承知してます。
カタログでは出来ないはずの事をやっていたという点が面白いです。
向かい風が酷いときはわざわざ潜航して水中航行で航続距離伸ばすなんて事までやってたとか。
しゃるほ
- >大きな差が出るのは、DEの艦は予定される巡航速度を易々と出せますが、非DE艦は潜航時の
>最大モーター出力以上はモーターを回せませんので通常の巡航速度を出せない場合が多いです。
ゴミとされているものに質問で恐縮ですが、非DE電動機は大馬力対応の発電機でも
あり、大出力を得られないのは供給電力の不足の為であって、発電を止めてしまえ
ばのDE電動機もバッテリーの電力次第ではありませんか?
非DEは発電機を別に積んでいない分、重量的に有利ですから、それだけ余計にバッ
テリー積んでも良いのならむしろDEの方が不利に思えるのですが...
しゃるほ
- あー、4基の内の2基を止めるとかいう意味ですね。
やっと解りました。
失礼しました。
しゃるほ
- >18
DEの潜水艦が発電しないで水上航行する、というのはまず考えられない事です。DEの利点は常に
発電・充電しつつ水上航走できる点にありますので、全ディーゼル・発電機を止めてバッテリーのみで
水上航走するとは考え難いものがあります。
例として一般的な米艦隊型の場合、ディーゼル主機四基+補助ディーゼル一〜二基を搭載しており、
最低でも補助ディーゼルによって発電機を動かしながらモーターを回します。ガトー級の場合
主機一基による発電のみでも13kts程度を発揮できますが、これは同級が通常巡航速度として用いる
11〜12ktsより優速であり、またこの状態で充分な水上進撃速度と充電能力を維持する事が可能でした。
また補助発電機のみによる駆動でも、充電能力を維持しつつ水上速度8〜9ktsを発揮する事が出来ます。
実際にH.O.R製の複動式ディーゼルを積んだ艦が哨戒中に全主機が故障した事もありますが、その際にも
補助ディーゼルによって発電機を動かして哨戒区域から離脱、安全水域で主機の一部を修理の後、
真珠湾に帰投しています。
なお、日本潜水艦もやはり補助発電機を搭載しており、これによって低速ながらもDEによって航走する
ことが可能でした。実際に両舷主機が故障した艦が修理中これで自走していた例があります。
あとモーターについて言えば、DE艦は発電機による駆動時と電池駆動時でモーター出力が異なり、
また流せるアンペア数が異なるため、これに対応するようになってますが、非DE艦のモーターは
電池駆動時における許容以上のアンペア数を流す事はまず考えていないため、電池駆動時以上の
出力を出す事は出来ません。また言われる通り電気供給の問題もあって非DE艦が通常の巡航速度を
電気推進使用時に出すのは難しくなっています。
大塚好古