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潜水艦に使用されている船殻の材質についてなのですが何故自衛隊の 潜水艦には高張力鋼が使われていて米国やロシア、欧州の潜水艦には チタン合金などが使われているのでしょうか。 技術的には日本にもチタン合金を潜水艦の船殻に使用できる技術力が ありそうなものなのですが・・・・。 また潜水艦を作る技術は米国やロシア等には劣らないと思うのですが 実際のところはどの程度の技術レベルなのでしょうか。 トラバント |
- 耐圧船殻をチタンで造っていたのは旧ソ連/ロシアだけで、あとのアメリカやヨーロッパの国々はみな鋼を使っているのですが。
実際には日本の潜水艦の船殻は、高張力鋼の材質、溶接技術ともに世界一流で、アメリカからも羨望の眼差しで見られているとの話まであります。
便利少尉
- 高張力鋼の溶接を除くと、日本の潜水艦建造技術に関しては公表されている情報が余りにも少なく、外国との優劣を論ずるのは困難です。オリジナリティ不足の気がしないでもありませんが。
TO
- シーウルフ(単殻構造)の耐圧部に使われている高張力鋼はHY-130で造られています。
(HY規格は降伏点の平方インチあたりの1000ポンド単位、日本のNS規格は平方センチあたりのkg単位の数値)
HY-130はNS-91相当。
海自の「はるしお」級はNS-90を基本に一部耐圧船殻にNS-110を使われているそうです。「おやしお」級の耐圧殻はNS-110だけだったか…?
どうやら日米共同研究として「先進鋼技術」、NS-120の溶接技術をアメリカさんも欲しがっているよう。
ガンヘッド507
- ガンヘッド様
技本のHPの海外技術動向のコーナーでは
シーウルフはHYー100とあります
私自身の少ない記憶の中にはHY-130がメインで
使用されたとの記述には覚えがありません。
できれば出典を教えていただきたいです。
HYー130は登場から20年以上たっていますが
溶接部位の割れが発生するそうで、
未だ実用段階にないというのが、技本の見方のようです
なおアメリカではHSLAという、
溶接をこれまでより容易とするための鋼材を開発し、
これを耐圧部分以外の場所に使用しているとも
書いてありました。
北方不敗
- 追記
すみません・・
HY-130の使用について触れた文章ありますね。
世艦の96年1月号の143Pに書いてありました。
偉そうなこと言って、反省しております。
修行し直します・・・・
北方不敗
- ロシアは独自のチタン加工技術を開発したからと読んだ事が。
ザイドリッツ
- チタンについて(一般論)
長所は
1、耐熱性、耐食性に優れる
2、軽くて強い
で欠点は
1、高い
2、加工しにくい
です。
でこれらの長所は航空材料としては大変有益です。
ただ高張力鋼にはチタン合金と同程度の引張り強さをもつものもあり、
重量をそれほど気にしない船舶にチタン合金を敢えて使用する必要性が
少ないと考えます。
ただこの話は一般の材料の話ですので、軍用の特殊材料では話が違って
くるのかもしれません。
taka
- >重量をそれほど気にしない船舶に
潜水艦の対深性は耐圧穀の径に比して厚みを増せば向上しますが、重量が増加した
だけの浮力を外殻を広げて賄わなければならず、推進抵抗の増加等を招いたり船体
サイズの割に居住空間が狭くなったりで、素材の軽さは強さと同等に性能に直結し
ます。
しゃるほ
- チタン溶接は酸素の存在下で著しい強度劣化を起こすので、無酸素のチェンバーかアルゴン気中で溶接しないといけなかったんでは?
なんか耐圧船殻部品を丸ごと入れておくチェンバーが必要だとか、、、、
Navy
- 9>F−14なんかだと、真空中で電子ビーム溶接してますね。
ザイドリッツ
- 皆様回答有り難うございます。
チタン合金は錆びないし、丈夫だし軽いので潜水艦の船殻にはちょうど
いいと思ったのですが真空中で溶接しなければならなかったとは知りません
でした。
考えてみれば航空機と違い潜水艦はずっと大きいですからコスト的にも
割に合いませんね失念しておりました。
トラバント
- 11>いや、私が例にあげた真空溶接は戦闘機のF−14の場合です。ネット上を調べてみたら、真空溶接はアルゴン気体中で溶接するよりも古い技術ともありますね。蛇足ですが、純チタンの方は錆びないのではなく錆びます。表面だけが錆び、これを酸化皮膜といいます。純チタンが黒いと思われているのはこういう訳です。純チタンを切断して中身を見ると普通の金属と同様の色です。この酸化皮膜があるおかげで純チタンには耐腐食性があるのです。車用のチタン合金も同様です。ロシア潜水艦のチタン合金も同じかどうかは分かりませんが・・・。
ザイドリッツ
- >3、5
「世艦」96年1月号は所持していないので内容は知りませんが、Combat Fleets Of The World と Jane ではシーウルフは HY-100 となっています。
TO
- 関連過去ログもどうぞ
http://www.warbirds.nu/ansq/2/B2000669.html
SUDO
- FASでもHY-100としかないですね。97年の軍事研究誌ではHY-130ってあったのに…情報が古かったのか。これは計画ではHY-130を使用するつもりだった、って事なのでしょうか?
ガンヘッド507
- まあ、一部だけチタンを使ったって、またより強度の高い高張力鋼を使ったって深く潜れるとは限りません、強度の弱い部分にしわ寄せが行く訳ですから。
HY−130を一部に使ったってHY−100が他の主要部分を占めているのであれば、さほど深航能力の上昇が見込める訳でもありませんしね。
とは言えしゃるほさんがおっしゃったように、強度の高い部材を使用する事によって得られるメリット(軽量化その他)がありますので、そういうより強度の高い部材を使用出来るというのは性能を上げる上で大きな利点を持っているといえますが。
ooi
- こっちでも書くか(謎)
SSN-21級/SSN-774級共々使用鋼材はHY-100です。SSN-21が建造中に溶接の問題を起こしたのもHY-100です。
HY-130はSSN-21級の9番艦から使用される見込みでした。
大塚好古
- 一般論で言うけど、同じ耐圧殻であっても内部が圧力が高いものと、外部が圧力が
高いものでは、その設計方針が異なります。
内部圧力が高い状態だと、耐圧殻は引っ張り方向の応力が支配的であるため、厚板
金属板を用いずとも、理論的破壊強度に近い条件まで使用可能ですが、外部圧力が
高い状態だと、前述と違い圧縮方向の応力が支配的になるため、板厚ムラ、強度ム
ラ、真円度ムラが起因する部分圧壊が発生しやすくなり、結果、思った以上の低い
圧力で、構造破壊を引き起こします。これを防ぐためには安全率を高くした構造強
度を設計段階で設定する必要がどうしても生じます。
ですが、比強度の高い材料を用いることが可能であるならば、同じ構造強度であっ
ても、板厚を大きく取ることが可能であり、前述の各種ムラにより発生する部分圧
壊を抑えることが可能であり、ひいては強度安全率を押さえることが可能です。結
局構造は重量を抑えることが可能なわけです。
とはいえ、溶接性の問題から余り板厚を厚くは取れないわけで、実際の耐圧殻構造
では補助材を用いることで、耐圧殻の板厚を抑制するわけですが、それにしても圧
縮応力に耐えるためには板厚が大きくなる材料。要は比強度の高い材料を用いるに
越したことはないわけです。さすがにアルミは機械的ヒステリシスが悪いため、耐
圧殻に用いることはしばらくないでしょうが。(とか言いつつ米では研究中)
そんな訳で、比強度の高さによる構造安全性に一票を投じるワタクシです。
>チタン使用の理由
でも、実際問題としては溶接性の低下、熱処理の難しさから、それほど強度の高い
状態のチタン合金をチョイスしてないとは思うです。α:βが50:50程度、引っ張り
強度的に言うと60〜70kgf/mm^2 程度にチューニングしたチタン合金を用いている
のではないだろうか?と思う次第です@ロシア
>HY130
極めてインコネルに近い、超合金系の材料なので溶接性が最悪です。熱応力サイク
ルに弱いという特徴があり、結局日本との共同研究(という名の別なシロモノ)が発
生したという曰く付きのシロモノだったりします。
sorya
- もうちっと具体的な構造的な違いを示すと、ガスボンベの様な圧力容器だと、ハイ
テン使った薄肉円筒構造。真空容器だと軟鋼板を用いた厚肉円筒構造という感じの
違いですね。同じ圧力差であっても真空容器と圧力容器では設計の仕方が違うです
sorya