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はじめて投稿します。なにぶん不慣れなもので失礼があったらごめんなさい。 日露戦争時のロシアのバルチック艦隊の事なのですが、大江志乃夫の「バルチック艦隊」によるとナワーリンとシソイ・ヴェリーキーについての評価が鎮遠 なみの旧式艦とされていました。ナワーリンについては主砲が35口径の短砲身 で低乾舷でみるからに旧式艦だと思いましたが、シソイ・ヴェリーキーについては、さほど旧式とも思えないのですが、どうなんでしょうか。完成年はわかっていますが、ロシア戦艦が各国の新型(マジェスティック型など)の影響を遅れて受けていて、若干旧式なのでしょうか。砲の装填方法、発射速度、機動力等について御教授ねがえれば幸いです。 昔、不沈艦 |
砲撃力は当時の一般戦艦と同等だと思いますよ。速度も16kts近く出たそうですから、設計に
やや旧式な面は見られるものの、当時としては充分な性能を持った戦艦だと私は思います。
大塚好古
昔、不沈艦
シソイの砲については大塚さんに賛成です。装備していたのは12インチ40口径砲で、第1太平洋艦隊の主力だったペトロパブロフスクと同じものでした。スペックでは砲身重量43トン、徹甲弾重量358kg (331.3kgという資料もある) 、初速792m/s、俯仰範囲が+15度から−5度、最大射程14,000mだそうです。
同時期のイギリス製12インチ40口径砲は、それぞれ50.8トン、386kg、782m/s、+13.5度、-5度、15,200mですから、そう遜色はありません。ただ、訓練の問題もあって発射速度は遅かったらしく、最も遅い記述では1分あたり0.3発、つまり3分20秒に1発ということになっています。最も早いもので1分あたり0.7発、=1分半に1発ということです。
ナワリンは確かに旧式ですが、鎮遠と比べるのは可哀想すぎます。ロシア戦艦は設計思想に一貫性が乏しく、どこか垢抜けない印象があるので古臭く見えますが、それなり新機軸も導入していて、けっしてバカにしたものではありません。
機動力については、あれだけ難行苦行をしてきた後ですから、カタログ値は参考にもならないでしょう。当日の海象からすれば、低乾舷のナワリンには戦闘行動すら厳しかったと思います。
志郎
的確なフォロー有難うございます。
大塚好古
的確な回答ありがとうございました。
回答を読んで考えたのですが、ナワリンの低乾舷はバルト海専用艦として
設計された為なんですか。第3太平洋艦隊の海防戦艦もたしか低乾舷
だったと思ったのですが。そうならば、太平洋に配備するのはそもそも
無理がありそうな気がするのですが。記憶違いでなければ、ナワリンは
1度太平洋艦隊に配備され、修理で帰国したとあった気がするのですが。
昔、不沈艦
>低乾舷
いわゆる標準型戦艦の前まで、重装甲艦は洋上でケンカする目的で造られてはいなかったのです。バルト海が静かなのと同様、日本海も内海ですから、季節によっては静かです。実情は、遠いサンクト・ペテルブルグでは認識不充分だったかもしれません。それでも、ウラジオも旅順も内海に面した港で、その周辺で行動するだけなら、あれでも用は足ります。
鎮遠・定遠も同じ事です。大洋のうねりの中で戦闘するのは巡洋艦の役目であり、モニター進化型の重装甲艦は、軽軽しくウロウロしないんです。
必要であれば、東京湾に入ってしまえば低乾舷でも困りません。そこへ到達するまでに阻止されなければ良いわけで、日清戦争前の日本海軍には、その実力が不充分でした。で、海堡になったのでしょう。
志郎
実に頼りになるレスで感心いたしております。
当方は、近代史、中世史を読みふける事を楽しみとしていますが、
軍事にあまり詳しくないもので、史料を鵜呑みにしてしまった事が
多かったと思います。いましめておきます。
またよろしくお願いします。
昔、不沈艦
バウアー中尉
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