922 |
いつも楽しく拝見させて頂いております。二次資料を元にした質問で申し訳ないのですが宜敷御教示下さい。 手元の世界の艦船94年11月号増刊第42集「新版・連合艦隊華やかなりし頃」9頁の写真解説中に「昭和16年8月から10月にかけて行われた連合艦隊の大規模な人事異動により、第1戦隊は幹部士官の大部分が異動し、加えて下士官兵も20パーセント余りが転出したことによって50パーセントに及ぶ配置転換が行われたため、戦力の低下は著しいものがあった。」という一文があります。国際的な緊張感高まるこの時期に練度を落とす一見不合理な人事異動とも思えますが、これは対米英開戦に備えて初期作戦には使用予定のない第一戦隊から、前線進行予定部隊に将兵を移したものと考えて宜しいのでしょうか。平時、一戦隊には海軍でも最優秀の人材を揃えていたと伺っておりますが。 櫻草 |
第一戦隊に限られたものではなく、海軍全般に渡ったものであると認識しております。
ただし、定量的に調べたものではないので、あくまでも文献に記載されたことに基づ
いた上での小生の個人的考えであることを、あらかじめお断りしておきます。
従来、艦隊では一年を基本単位に異動が行われていましたが、昭和14年に山本五十六
がGF長官に親補されて、練度向上及びその維持を目的に艦隊勤務二年制を採り、その
二年目が昭和16年に当っていました。
当然それに伴う定期人事異動も控えていたわけですが、8月15日に出師準備第二作業
の一部着手、9月1日戦時編制の発令があり、艦船就役、部隊新設などに伴い大幅な
異動の必要が迫られていました。人事異動そのものは秋まで続き、第一戦隊のみならず
GF全体の練度の低下が懸念されましたが、第一航空艦隊の搭乗員や潜水艦乗組員の人
事異動は、練度維持のために最小限にされたと言われます。
「一見不合理」はある意味で正しいですが、国際的緊迫感が高まればそれだけ戦備作業
を進捗させる必要性も高まるわけで、この人事異動が必ずしも第一戦隊に限られたもの
ではなく、またそれが故に当面の主要作戦に充当する予定がないことを前提に第一戦隊
の人員を他隊に配員したわけでは、必ずしもないのではないと邪推いたします。
今泉 淳
御丁寧な御回答、有り難うございました。長い事この写真解説文が気になっており、質問させて頂きました。今後とも宜敷御願い致します。
櫻草