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スリガオ海峡で集中攻撃を受けた「山城」の命中弾数はどのくらいでしょうか?正確な数はわからないと思いますのでおおよそで結構です。 のらねこ |
1944年10月25日の夜戦における戦艦の砲撃記録
上からウエストバージニア、メリーランド、テネシー、カルフォルニア、ミシシッピー、ペンシルバニアの順。
使用徹甲弾数 口径 砲門数 斉射回数 挟叉回数 命中弾数 射撃開始時刻 射撃開始距離(ヤード) 散布界 レーダ型番
93 40cm 08 13 13 03 3:53 22800 300 MK8
48 40cm 08 _? 00 00 3:59 19800 --- MK3
69 36cm 12 13 12 01 3:56 20500 400 MK8
63 36cm 12 09 09 03 3:55 20400 300-400 MK8
12 36cm 12 01 00 00 4:12 19700 --- MK3
00 36cm 12 00 00 00 0:00 ---- --- MK3
平均射撃距離 20880 ヤード
平均射撃速度 41秒
記録されている「散布界」データは、左右散布界か?
MK8レーダーは、39000ヤードで目標捕捉、37500ヤードで射撃諸元を得る。
山城と扶桑には、生存者がほとんどいないため、日本側に正確な資料はありません。
射撃の問題点
ウエストバージニア 射撃中前部MK8レーダー故障。1、3番砲塔揚弾機故障。1、3番砲塔で一門ずつ発火ミス
テネシー 大部分の射撃は前部砲塔6門によって行われた。
カルフォルニア 大部分の射撃は9門によって行われた。1番砲塔で装薬に破損。2、4番砲塔で発火ミス。
ほかの3隻の射撃内容
メリーランド 目標識別できず、ウエストバージニアの水柱(スクリーン上の虚像)を目標に射撃。効果なし
ミシシッピー 目標識別できず。一斉射で終了。
ペンシルバニア目標識別できず、射撃不能。
ISHI
射距離 :2200〜20000ヤード
発射弾数:279発
命中弾数:2発
命中率 :0.72%
となっています。
ついでに巡洋艦はといえば
平均射距離:13000ヤード
発射弾数 :3379発
命中弾数 :23発
命中率 :0.68%
という具合です。
どちらが正しいか、真相は藪の中、といって良いと思います。
ただ、ISHIさんの資料だと、Mk8レーダー装備艦の発射弾数は225
発で命中弾7発ということは命中率は3%に達し、非常に良い(というか良す
ぎる)数値であるのが疑問といえば疑問です。
彼女等は本格的な対艦砲戦訓練を実施していたのか、も気になるトコロであ
り、なんかサバを読んでいる感じもするのですが・・・ただ、「山城」の状態
も不明ですし、それを含めても何とも言えません。
まぁ、2発以上7発以下、とは思いますけども。
あと、散布界ですが、左右ということは無いと思います。左右で300〜4
00ヤードだと劣悪に過ぎます。ただ、レーダーでの測距では方位角の測定は
誤差が多かった模様ですから、「苗頭の切れ」という可能性はあります。
それも含めて、レーダーで水柱の観測が出来るのか?出来たとしてレーダー
で自艦と他艦との水柱の識別は可能なのか?それを正確な射弾の修正に用いる
ことが出来るのか?米海軍に聞いてみたい気がします。
tackow
R・V・ドレクスルト
そうなりますね。砲撃は「介添え」の役割を果たしたのでしょう。
>「米海軍のレーダー射撃恐るべし」と思っていた
いや、暗夜、射距離2万mで少なく見て1%程度、あるいはそれ以上の命中率
を記録するのですから(誇張無しに)44年当時の米海軍のレーダー射撃は恐ろし
いと思いますよ。しかも、陸上砲撃用の艦隊ですから・・・
tackow
一軍の連中はもっと上手かったわけですか?
橘
しかしあれ、本当なんでしょうか?
勝井
そんな具合でバカバカ命中したようです。
バウアー中尉
に修正して行います。斉射弾のほとんどが挟叉弾になっていて、相当に高い精度を持つ
様です。米戦艦からは山城を目視で確認することは困難で、純粋にレーダのみの射撃で
した。レーダ操作員の報告では、他艦の砲撃による水柱と、自艦の砲撃の識別は容易だ
ったそうです。
命中弾の確認は目視によって行われます。時間を計り斉射弾の弾着時と、目標上に閃光
が確認された時間とが一致すれば、「命中」と判定されます。もし不発弾などがあれば
命中弾の確認はできません。
命中弾7発/命中率3%ですが、印象としては”少ない”。ほとんどの斉射弾が挟叉弾
になっているのだから、命中弾はもっと多くても良いはず。考えられることは
1. 散布界が広すぎて、挟叉弾が有っても、命中弾が少ないか?。
2. 確認されないだけで、実際にはもっと多く命中しているか?
米戦艦の命中率と散布界ですが、戦前の調査記録があります。始めは米海軍の演習時の
通信を傍受し分析する(野村留吉少佐の分析)。続いて当時駐米武官(山口多聞大佐)
の諜報活動。これにより「米海軍1934年砲術年報」を入手。ただし後に米側に発覚し、
山口大佐は国外退去。
戦後(昭和51年)、永井昇元海将が米海軍大学校で、砲術関係の図書を閲覧し、資料を
コピーして調べた所、これら戦前の調査は正確だったそうです。
そこで、この資料に基づき、米戦艦の砲撃記録を見ると
上からコロラド型(3隻)、カルフォルニア型(2隻)、アリゾナ型(2隻)、ネバダ型(2隻)
主砲 砲門数 平均射距離 平均遠近散布界
40cmL45 08 17700m 630m
36cmL50 12 17600m 660m
36cmL45 12 18100m 800m
36cmL45 10 17300m 830m
また艦上観測時、射距離18000mでの平均命中率は約5%。観測機使用時で平均命中率は
約7-8%でした。
また最新のアイオワ型の散布界データ(戦後調査)も、それほど変わりません。
射距離 遠近散布界 左右散布界
22000m 600m 250m
32000m 800m 310m
レーダーを使い、弾着分布の中心を合わせれば、観測機使用と同じ効果があります。す
ると命中率7−8%は有るはず。もちろん実際に必ず訓練通り、行くわけでは有りませ
ん。しかし目標は巨大で、高速な回避など出来ない鈍重な戦艦ですから、命中率が大き
く変わることもないでしょう。
10割近くが挟叉弾なら、散布界の大きさと目標の大きさとで、命中率の計算が出来ま
す。スガリオ夜戦での米戦艦の散布界が仮に遠近800m、左右300m程度としても、命中弾
数が少ない程です。7発命中では少ないのですが、これは散布界内の弾着分布による物
かも知れません。
ISHI
わー細かいデータお持ちで、面白いです。
しかしながら、いつの世も演習でやるようにうまくいかないのが
実戦ではないでしょうか。どんなに実戦的な訓練、演習をやったとこで
実戦との命中率の差は出てしまうのでは・・・
このことも考えやはり、昼間の激しい戦艦の砲撃戦は10000-20000m
と思ってしまうわけです。
バウアー中尉
な射撃に直結しないのはご存じかと思います。
目標を「散布界内に捉えれば」何時かは命中弾を与えることが可能なのですが、
スリガオ(ですよね)海峡夜戦以前の米海軍の(いわゆる)レーダー射撃は極めて
低い命中率(0.5%以下)を我の数倍の射撃速度でカバーする「射法」でしたの
で、たとえMk8レーダーを用いての射撃とはいえ3%以上に達する命中率は余り
にも高い。と感じた訳です。
Mk8レーダーで水柱を確認出来るかですが、当事者がそう言っているのは承知
しておりますが、当時のレーダーよりも高性能な現用艦船のレーダーでさえ熟練者
をして「可能だが難しい」ということや、Mk13レーダーのマニュアルを見る限
りでは正確な射撃修正に用いるのは疑問に感じました。
それに、いかな交互射撃であるとはいえ、3艦での集中射撃ですから着弾が錯綜
している状態だと思います。その状況下で果たして水柱をレーダーで「見分ける」
事が可能なのでしょうか?
また、米戦艦の演習時に於ける命中率は概ね御指摘の通りで、例えば16インチ
砲艦で約4%程度なのですが、当然ながら実戦に於ける命中率は訓練時の数値より
も悪くなるのは道理で、我が海軍の場合で1/3〜1/5程度まで低下しています
(勿論、これ程までに悪くならない場合もあります)。従って、3%というのは「極めて高い」数値であると考えています。
ただ、私は当時の米海軍の「レーダー測距射撃」の射法や訓練時の命中率等を知
り得ませんので、実際にどうだったのかはなんとも言えないのですが。
tackow
思ったんですけど
射弾の分布中心を目標と重ねるという行為は
つまり敵艦の向こう側にもこちら側にも水柱が立つという事ですから
A:手前側の水柱は見えるのか?
ルックダウンと同じことで
より大きな反応をする背後の敵艦のエコーとの判別が出来るのか
B:敵艦に遮られた向こう側の水柱を観測する事は可能なのか?
この両方が成立しないと
「水柱」から射弾散布中心を敵艦と合わせると言う行為は成立しません
これは当時の電探で出来るとは思えないのですが、実際どうなんでしょう
もし弾着観測を行っていたのだとすると
敵艦の左右に散った砲弾ならば凡そ見分けがつく可能性が有るので
その外れ弾から(当然ですが左右に散ってるので当たらない)
散布界中心を割り出して敵艦と重ね合わせたのでしょうか?
米軍の散布界は広いようですから、意外とこれは可能なのかもしれません
SUDO
ヤード、
大戦中の回想でも80ヤード離れた目標は識別出来る、と豪語してますし、
また戦艦の
主砲弾による水柱は結構巨大な目標ですから米式の射撃指揮は可能である気がしますね。
大塚好古
ちなみに、我が海軍の36センチ砲の場合、水柱が上昇して下降するまで12〜
15秒程度かかります。レーダーで捉えられるとして実際に確認できるのは、この
内10秒程度でしょうか?
ところで、これも我が海軍の場合ですが、36センチ砲の水柱と20センチ砲の
水柱の大きさはさほど変わらないのも事実です。
そこで、仮に3隻の戦艦が集中射撃を実施したとして、余程巧く射撃を調整しな
いと水柱が錯綜してしまいます。
更に、巡洋艦も射撃しているわけですから、どの水柱が自艦のモノか識別するの
は相当難儀するでしょう。レーダーでは色まで識別出来ませんから。
更に、80ヤードの分解能があったとしても、戦艦の主砲弾は(特に散布界の中
心付近では)それ以内に複数の弾が着弾する事も多いですから、肝心な箇所の弾着
が確認出来ない可能性もあるわけです。
確かに80ヤード離れた水柱を識別出来るのかも知れませんが、非常に条件が良
くないと困難だと思うのですが?
ただ、先にも述べたとおり、ソロモンとかでのフィードバックがあり、それをふ
まえた上でレーダーを用いた射法−ソフトウェア−の革新があるのならばハナシは
別なのですが・・・
tackow