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737 戦艦は敵艦に対して側面を見せながら戦うと全砲門を活かせるので良い・・・とよく言われますが、
前面を見せながらなら、撃てる砲は半分になりますが、被弾面積は5分の1くらいになります。
ということは、正面を見せながら戦った方が良いのではないですか?
さn

  1. 戦車のような直接照準で、ほぼ直線の弾道を描くならその理論が成り立ちますが、戦艦の主砲弾は山なりの弾道を描きますから、よほど接近していない限り、前面投影面積で被弾確率が左右されるわけでもありません。
    これは彼我ともに言えますから、確率的に手数を増やした方が有効なので、全門を使える舷側を見せながらの戦いになるわけです。
    また、前面を見せるということは最短距離・最高速度で接近するわけですから、すれちがうまでの時間が短く、有効打を与えぬままに逃げられる(^_^;)可能性もあります。
    tac

  2. ネタ元は「ヒストリーチャンネル・日本海海戦」ですか。
    ちょうど昨日TV(有線)で見ました。
    ガンヘッド

  3.  ビスマルク追撃戦時の英艦隊のように、正面を向けて砲撃戦を行うケースもあります。仰るように投影面積の減少を計り、なおかつ敵艦との距離を詰めるには良い作戦だと思います。また、ダンケルク級などは、設計当初から正面を向けての砲戦を前提にしていたのではないでしょうか。
    sharman

  4. ダンケルク級は、ドイツのポケット戦艦相手に、
    追撃しつつの全門斉射を可能とするための前方集中配置だったってのを
    読んだことがあります。
    無論他にも理由はありましょうし、異論もあるでしょうが、
    まあ一つの説だってことで。
    勝井

  5. 砲の門数もそうですけど、やっぱり命中率ではないでしょうか?前の人も言っていますが直接標準じゃない限り弾丸は山なりに飛んで落下します。その際、風、重力、砲弾の特性などなどで落下地点に誤差がでます。これを「散布界」といいます。その形が射撃方向に細長い楕円となります。
     目標艦が側面なら艦首部分、艦尾部分は散布界からはみ出ちゃいますが前面だとすっぽりと散布界に収まってしまいます。よって被弾する確立は単純に倍以上と言われています。ですからT時戦法は相手の砲撃を減殺しこちらの砲撃力を高めるのでむちゃくちゃ有利です。海戦のセオリーでしょうね。




    白熊

  6. ↑きれちゃった。
    ですから通常、「体当たり」とか「舷舷相見える(アボルダージ?)」以外、極力敵に対しては側面を見せたと考えます。
    白熊

  7. 水上砲戦というものは観測機の支援があったとしても基本的には直接照準なのではありませんか?また、散布界の形まで考えられてはいないのでは?
    BUN

  8.  確かに命中の確率は多少は上がるかもしれませんが、実質的に戦闘等で用いる
    散布界(戦闘公誤)は我が海軍の場合で60〜70m程度(勿論遠近方向)なの
    で、命中界を考えれば艦の向きはそれ程問題ではないかとも思います。直進方向
    には照準をつけ辛いというハナシもありますし、、実際はケースバイケースでし
    ょうけども。

     他国の海軍については判りかねますが。我が海軍の場合、砲戦運動を実施する
    際には極力砲力を発揮できるような運動を実施する事が重用視されており、砲戦
    上有利な位置を占位する場合でも「正面を見せながら」接近するのではなく「斜
    めに」接近するように教育されているようです。
     この辺は指揮官の腕の見せ所でもあるのでしょうが、扶桑型あるいは伊勢型等
    の12門艦では当然の事でもあり。8門艦でも極力後部砲塔を用いる様に砲戦運
    動を実施したと推測されます。
    tackow

  9. お互いに腹を見せ合って平走しての射撃でないと、距離が測りにくいというのもありますね。
    正面見せて走ると、距離がグングン縮まる→測定がおいつかない→命中しない→大問題
    となります
    ダンケルクやリシュリュー、ネルソンは、これを承知の上で全部集中したわけですが、特別に距離を図る装置がついているとは聞きませんから命中率の低さを砲門数でカバーしようとしたのではないでしょうか?

    星芋

  10.  帝国海軍やアメリカ海軍の戦艦は遠距離砲撃戦時に攻撃対象となる水平防御を重視していましたが、ドイツ戦艦などは近中距離砲撃戦時に攻撃対象となる垂直防御を重視していました。ビスマルクのイギリス軍38cm砲に対する安全戦闘距離は10〜20km、既に駆逐艦の弾が届く距離です。近距離ではほぼ無敵であったようで(主要部分2層防御のため)、ビスマルクは400発以上の主砲弾を浴びつつも沈まず(当然、戦闘能力は喪失していますが)、敵将をして「砲弾ではビスマルクは撃沈不可能である」と言わしめました。裏返せば、イギリス海軍も近距離で戦う傾向があったということです。事実、アイスランド沖海戦ではフッドが20km、5月27日の海戦でもロドネーは20kmより砲撃開始し、最終的には10kmまで接近しています。この距離になると弾道は水平に近くなりますから、シルエットの大小は被弾確率に多大な影響を与えるのではないでしょうか。
    sharman

  11. ……っていうか、元は日露戦争の時のお話?だったんでしょうか。だとすると、砲戦距離は10km以下、砲は砲側照準で弾はほとんど垂直防御に当たりますね。
    sharman

  12. ちょっと言葉が足りなくて誤解されてしまいましたね。お詫びいたします。
    私がいった直接照準(あれ?標準になってた・・・)は至近距離の夜戦となった場合、水平射撃で命中が期待できる事をさしています。

    砲撃戦の最中、散布界まで考えて射撃していたかはちょっとわかりません。ただその艦の命中率、砲撃特性として当然データとして持っていたと思われます。(極秘扱いだろうなぁ・・・)余談ですが「超」前ド級戦艦攝津は散布界が最も長いところで1km!に達したと言われてます。(人づてに聞いた話ですけど)
     
    砲撃戦の最中はただ撃つのみ!ではないです。複雑な微積分がからむ高度な数学的知識(パラメータ20以上)が必要です。こんな複雑な計算をする分、彼我がどんな状態でも砲撃できるんでしょうけど。砲撃戦の最中、各種データから敵の未来位置に弾を叩き込むべく砲の俯角、方位を必死に計算している人がいるんですね。こういうシーン映画で出たことないのでは??

    日本の軍艦(足柄?)がイギリスに行った折、日本海軍の下士官がイギリスの将校に砲撃について説明したそうです。下士官がこんな高度なことを知っている!とむこうのかたは非常に驚かれたそうです。昔、高校の数学教師からこんな話を聞いたことがあります。

    白熊

  13. >sharmanさま
    しろうと臭い質問ですが、そうすると弾が上から降ってくるような長距離砲戦はめったにないわけですか?ユトランドは例外?
    矮鶏

  14. >8
    >10
    近距離戦闘では舷側(バーベット・隔壁含む、垂直装甲)に多くが命中します
    この時、真横に敵を見るのではなく、斜め方向にずらして見た場合
    敵の砲弾もその方向から飛来するので、傾斜した装甲と同じだけの効果を発揮します
    つまり、真正面や真横を敵に晒すのは防御上は美味しくないと言えます

    船首にも装甲が張ってあるなら
     砲弾→<船首
    このように、どっちかの船首舷側に命中して、弾けますが
    集中防御方式の戦闘艦は船首には装甲が無く
    その後方、主要防御帯前端に装甲を張ってあるので
    砲弾→|前方装甲隔壁となり砲弾は装甲に正面衝突しちゃいます
    斜めに突っ込むのは、火力と防御力の双方を満足させる方法の一つですね

    >10、11&13

    遠距離戦闘の有無は状況次第ですのでなんともいえませんが
    第一次大戦以降に建造された戦艦は、基本的に遠距離用です
    ビスマルクやリットリオは、日本戦艦と比較すると薄い甲板装甲が目立ちますが
    彼女たちの主砲の弾道特性から甲板に対する貫徹能力は
    2万mで70mm程度、3万で140mm程度と思われます

    ビスマルクの安全距離はは自己の火力に対してですと
    舷側2万5千以上、甲板3万以内になり、明確な遠距離戦型です
    また米の条約以降の戦艦は安全距離が
    舷側1万8千以上、甲板2万3千以内ぐらい、どちらかと言うと近距離型です

    また、どのぐらいの距離で弾丸が上から降ってくるのかですが
    これは距離ではなく「弾道次第」で
    落角15度以上なら甲板側に当たる率の方が高くなると思います
    これは並の戦艦を横から狙った場合で
    正面からなら、もっと多くが甲板に落ちます

    また、一般的な超弩級戦艦主砲で落角15度を越えるのは
    2万〜1万5千mぐらい
    日露戦争時の艦艇が1万mで発砲した場合でも
    想像ですが2割は「甲板」に落下したのではないでしょうか
    決戦距離5,000でも主砲の1割、副砲の2割は甲板に当たったでしょうね

    SUDO

  15.  せっかくなので、少しデータを調べてみました。出典はNaval Weapons Of The WorldのHPです。

     ビスマルクの搭載した38cm SK C/34砲は800kg徹甲弾を820mps/3200kg平方cmの初速で撃ち出すことができます。
     10000mにおける撃角は5.8度で垂直装甲510mmの貫徹します。
     20000mにおける撃角は16.4度で垂直装甲364mmを貫徹します。
    (水平装甲に対する記述なし)

    対するイギリスの15in/42 MkI砲は879kg徹甲弾(第2次大戦型の新型弾6crh)を749mps/3150kg平方cmの初速で撃ち出すことができます(通常装薬の場合。スーパーチャージができるそうです)。
     9140mにおける撃角は7.3度で垂直装甲422mm/水平装甲32mmの貫徹します。
     ビスマルクの320mm水平装甲を貫通するには、13716m(353mm)程度、近接する必要があります。
     また、18290mにおける撃角は22.3度で垂直装甲297mm/水平装甲72mmを貫徹します。
     ビスマルクの130mm水平装甲を貫通するには、おそらく25000m以上離れることが必要です。

    新型14in/45 MkVII砲は721kg徹甲弾を732mps/3230kg平方cmの初速で撃ち出すことができます(通常装薬)。
     9140mにおける撃角は6.5度で垂直装甲396mm/水平装甲29mmの貫徹します。
     ビスマルクの320mm水平装甲を貫通するには、13716m(335mm)程度、近接する必要があります。
     18290mにおける撃角は18.2度で垂直装甲285mm/水平装甲73mmを貫徹します。
     ビスマルクの装甲を貫通するには実用最大射程である25603mでも無理なようです。

     “狙撃兵”ネルソンの16in/45 MkI砲は929kg徹甲弾を797mps/3355kg平方cmの初速で撃ち出すことができます(MkIIライフリングの場合。ライフリングを削り直しているようです)。
     9140mにおける撃角は5.9度です(貫徹力のデータなし)。
     ビスマルクの320mm水平装甲を貫通するには、13716m(366mm)程度、近接する必要があります。
     18290mにおける撃角は16.5度で垂直装甲310mm/水平装甲72mmを貫徹します。
     ビスマルクの装甲を貫通するには27432m以上離れることが必要です。

     総じて、英戦艦はビスマルクに対して25km以上離れて戦うか、13km以内に近接して戦う必要があるということです。ただし、距離が開けば戦闘は決定的ではなくなりますから、必ずしも決戦を求めなくても良いドイツ側が有利になります(さらにいえば、ビスマルクはたいていの英戦艦より優速です)。したがって、英戦艦がひたすら接近しようとしたのも納得できます。
     もっとも、この表記では水平装甲と垂直装甲が同列ではありません。水平装甲の130mmというのは一段目50mm二段目80mmの合計値であって(合計していいのだろうか)、これを貫通されたら機関や弾薬庫にも損害が出ますが、垂直装甲320mmを貫通されたとしても、その奥の水平に近い中甲板装甲100mmを貫通することはまず不可能です。これが、接近するとビスマルクが浮沈艦となる所以でしょう。
    逆に、英戦艦は水平装甲を重視しているので、ビスマルクは離れて戦うと不利です。クィーン・エリザベス級の127mmはともかく(それでも30km以上離れる必要があります)、キング・ジョージ5世級の178mm、ネルソン級の160mm水平装甲を貫通するには35km程度離れなければなりません。これに対して、垂直防御貫通を狙うならばクィーン・エリザベス級の330mmに対しては21km程度、ネルソン級の358mmに対しては20km程度、キング・ジョージ5世級の391mmに対してもおそらく15km程度でなんとかなるのではないでしょうか。
     このようなことが起こるのは、英戦艦がポスト・ジュトランド型の設計思想であるのに対して、ビスマルクがそうではない手堅い設計であるからですね。
    sharman

  16. >MR sherman
    御教示ありがちうございます。ふむ、それではいつでもどこでもポストジュトランド型が有利、ではないわけですね。状況次第ですか。
    矮鶏

  17. 16.の方に少し追加します。防弾板は100mm一枚と50mm2枚とでは前者の耐弾性が勝ります。ですから80mmと50mmで130mm相当とするのは誤解です。ビスマルクの水平防御甲板は機関部80mmですが弾火薬庫は100mmです。砲塔天蓋が130mmですから、弾火薬庫上部100+50mmが砲塔天蓋130mmの防御力とほぼ同等と考えて良いと思います。
    例外はありますが、多くの戦艦は弾火薬庫の防御最優先で機関部の防御力は一段下げてあります。機関部が破壊されても落伍するだけですが、弾火薬庫に砲弾が飛び込めば数百発分の火薬誘爆により大戦艦も一発の被弾で爆沈しますから。

    ISHI

  18. >17 すいません。やはり、装甲は足してはいけなかったんですか。ちなみに、ビスマルクは弾火薬庫ダメージコントロールに自信を持っていたため、砲塔天蓋に他国のポストジュトランド艦のような水平防御を施さなかったとか。どのみち、直撃を受ければ砲塔は使えなくなるので、これはこれで合理的な考え方だと思います。
    sharman

  19.  単艦での戦闘を考えると、それぞれの艦によって有利な態勢と言う物があると思います。しかし、軍艦が複数艦での行動を基本としていることを考えると、やはり、陣形の維持が容易で、火力を集中できる単従陣を組んで敵艦に舷側を向けるのが基本だと思います。
     仮に、敵艦に艦首を向けるのが基本であれば、戦隊単位での基本戦術は横隊突撃になると思います。これは、陣形維持が非常に困難で、すぐに陣形が乱れる結果になるのではないでしょうか。また、これは単なる想像ですが、単従陣を組んだ敵艦隊に横隊突撃で戦いを挑み、常に敵艦に艦首を向け続けるとすれば、やがては敵艦隊を後方から単従陣で追撃する形になり、やがてはT字戦法に持ち込まれるのではないでしょうか。

    おくたん


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