720 |
いろいろ意見ありましょうがビスマルクは本当に通商破壊のために造られた艦でしょうか?それにしては航続力は8100海里ですから充分とはいえず、洋上で給油艦から給油でも受けるつもりだったのだろうか。アメリカ戦艦のノースカロライナは17000海里、アイオワは15000海里もあるからドイツ海軍が保有していたらたいへん重宝していたと思います。 のらねこ |
防御力では同世代のリシュリューやV・ベネト、KG5よりも劣っており、まとも
な艦隊決戦には望めないでしょう。
欧米や日本のようにアウトレンジから撃ち合いに適さなく、20000M以内なら
まあ、しばらくは浮いていられるでしょう。
K−SYAN
また、独海軍が通商破壊戦を重視していたというのも、間違った認識です。ビスマルクからシュペーまで、あくまで軍艦に対する水上戦闘の為の艦艇と認識すべきでしょう。これは主に第一次大戦の戦訓を反映したことであって、独海軍にとって重要なのは敵の通商破壊ではなくバルト海から北海にかけての自国の短い通商路でした。艦の艤装もそれに合った内容となっています。
BUN
航続距離が不要だとすると、装甲艦が航続力はあるものの高速を発揮し得ないディーゼル機関を採用した理由は何なのでしょうか。
ちりあっくす
それと、戦間期の独海軍の戦略について、ちゃんと考察した書籍等を読むほうが、不十分な個艦のデータから憶測するより、圧倒的に早くて確実です。
BUN
確かに仰るとおりであります。大和級もディーゼル併用でという話があったぐらいですものね。では、装甲艦に関しては計画速力は高かったのに26ノットで我慢したということでしょうか。むしろ、装甲艦建造の際に、沿岸防御用の海防戦艦とドイチュラント型の2プランを提示されて後者を選んだという話ではなかったでしょうか。
ちなみに、福井静夫氏は造船技術者の視点からドイツ戦艦について以下のように記述されております。
[ビスマルク級に関して/世界戦艦物語より]
これらの各戦艦の建造方針よりみて、はっきりとわかることは、決して第一次大戦当時のように、北海において英国艦隊と艦隊決戦を挑むことを目的とせず、むしろその高速戦艦を自由に遠洋に行動させて、広範な通商破壊を行い、かつ、敵の戦艦より成る小艦隊に対しては、個々に小艦隊同士の決戦を企図したことであり、このために巨艦たるドイツ戦艦は、その性能において次のような著しい特色があったのである。
(以下、要旨のみ、ちりあっくすの抜粋)
1.射撃指揮装置完備による遠距離砲戦優位の獲得。
2.ディーゼル推進による大航続距離(これはH型に関して)。
3.巡洋艦/航空攻撃を考慮し、全体防御。
4.前後部喫水線付近の細分化による水密構造。また、喫水線外板の直接防御。
5.通商破壊戦時の長期行動のために上部構造を大きくとっていること。これによって射撃指揮/通信/司令部の居住性/対空兵装が充実。さらに、水偵反復使用の考慮、敵艦処分のための雷装、敵攪乱のための外見の統一化など。
個人的には、戦艦に雷装、という点のみでも艦隊決戦には不向きな気がいたします。危ないではないですか、やはり。
> それと、戦間期の独海軍の戦略について、ちゃんと考察した書籍等を読むほうが、不十分な個艦のデータから憶測するより、圧倒的に早くて確実です。
何か良い書籍などありましたら御紹介ください。実は、私も学生時代に「再建ドイツ海軍は北海・バルト海の制海権奪取を企図していた」という話を助教授から聞いたことがあります。もしかしたら、ビュルクネル総監、ブルクハルト造船官といった人たちは平賀造船官のように自らの信念を曲げようとせず、技術者暴走的に彼女たちを建造したのでしょうか…………。
ちりあっくす
戦艦への雷装については英海軍にしても最後まで計画していますので「北海で戦う戦艦の標準装備」と考えても面白いかもしれませんよ。独海軍の戦略について造詣の深い、貴重な恩師から助言を戴いていたのでしたら、まずは手土産でも持って、訪問するのが一番です。
BUN
ちりあっくす
また、福井静夫氏の筆の滑りとして書かれたと思われる部分を過信されるのも如何かと思います(私は文章の「味」と理解しています)。造船官である福井静夫氏も、造船官でしかない為に間違えることは多々あるんです。資料の少ない時代に活躍された方ですので、ご自分で体験しなかった小艦艇、外国艦についての記述の曖昧さ等など、どうにもならない部分がある、ということです。
しかも、おかしいのは当の帝国海軍が独海軍(海軍は一次大戦の独海軍について大いに研究しています)をそのように評価していないのですから、これは全くの個人的見解ということになります。
そもそもZ計画艦隊の完成した姿が「通商破壊用の戦艦」を筆頭とするような前世紀の趣さえあるものであったとは到底信じ難いことです。更に独海軍自身の見解としては、一次大戦時に特設巡洋艦や、潜水艦、植民地艦隊等が行った通商破壊戦に本国艦隊が全く連動せず、有利な主力艦比率で敵と決戦出来なかったことを悔いています。ですからビスマルクが通商破壊戦の進展に連動して出撃することはあっても、通商破壊艦そのものではないことは残された記録を見ても、地図を眺めても明白な事でしょう。
BUN
ちりあっくす
ちりあっくす
BUN
正確には、『通商破壊のため』作られたのではなく
『通商破壊戦にも対応できた』あたりが答えではないかと思います。
(ちりあっくすさんのおっしゃる間接的な破壊戦も含めて)
ビスマルク自体は艦隊決戦のためのフネと考えられます。
艦隊決戦の定義は『両軍フルメンバーが絶対正面きって決戦する』
とは限りません。
イギリス海軍は低速の戦艦部隊と高速の巡洋戦艦や高速戦艦部隊が
混在しています。
これをわけて運用すると、高速部隊が
高速故に突出した場合、同じく高速のドイツ艦隊にフクロにされて、
戦艦部隊が追いついた頃には、ドイツ艦隊は待避しているという
ケースが考えられます。絵に描いたような、各個撃破ですね。
戦艦・巡洋戦艦部隊を仲良く一緒にした場合は、敵艦隊は一番速度の遅い艦に合わせるので、
(ポケット戦艦を含めても)ドイツ艦隊が優速となります。
優速のドイツ艦隊が決戦を避けて、一定の間合いを保ちながら敵艦隊を引きずり回して燃料切れで
撤退させる事も出来るし、遠距離砲撃を行いながら敵艦隊の様子を見つつ攻めるも引く事も可能です。
燃料不足で反転した所を、追撃などと言う事も考えられます。
また、ビスマルクの砲塔旋回スピードや半薬莢使用による速射性能も短時間で敵に
大きなダメージを与えるのに効果があるでしょう。
ただ、これらのケースは、通商破壊戦にも対応することが出来ます。
(援軍の到着前に商戦隊や護衛隊を壊滅させるワケですから)
追記
アイオワの建造目的には、
『日本の巡洋戦艦が通商破壊に投入された場合の保健』
という意味合いもあったようです。
木