ヘンシェル様は、おそらく○研の歴史群像 No.42 をお読みになった上での質問と思いますので、同誌に記載されている部分は省略します。

理由は判りませんが、パラグアイのロペス大統領は、ヨーロッパへ発注していた数隻の装甲艦の完成を待たずに戦争を始めています。このため、パラグアイ軍には装甲軍艦はなく、開戦劈頭に制河権の確保を狙って行われたリアチュエロの戦いでは、ほとんど全力を投入しながら大敗北を喫し、大半の軍艦を失いました。

この時の軍艦には明確な資料がなく、「数百トン級の外輪船」、「古くて状態の悪い蒸気船」といった表現があるだけです。おそらくは河川運用の商船に武装を施しただけのものだろうと思われます。つまり、渡し舟やハシケに大砲を据え付けたわけです。まあ、当時の河川用商船がどういうものだったか、イメージしていただくのは困難ですが。

Conway の大書に唯一名前の載っているのは「タクアリ」 Tacuari だけしかなく、それも1854年製の外輪商船で、1864年11月に6門の砲を積んだとしか判らず、要目の記載はありません。

一応、戦争が始まったのは1864年ということになっています。終わったのは1870年で、一説によれば133万の人口が22万あまりに減り、成人男性は老人まで含めても3万に満たなかったと言います。前述の雑誌では、また違った数字が採られており、定説はないらしいのですが。
志郎