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どうして大戦中の日本空母はカタパルトを実用化できなかったのでしょうか?水上艦艇には火薬式カタパルトが使われておりこれを改造して載せるてはいけないのでしょうか? ロックマン |
基本的には大型魚雷を搭載した攻撃機までカタパルト射出しようとしたことに問題があったと私は思います。
BUN
BUNさま。すみません、もう少し教えて下さい。↑これは、攻撃機の要求した最大離陸重量自体が過大すぎたからでしょうか?それとも、射出時のショックで、航空魚雷が攻撃機からはずれてしまうからでしょうか?後者だとすると、米英の空母のカタパルトでは、どう対応しているのでしょうか?カタパルト長を延長して加速度を減らす以外にはなさそうに思います。それとも、魚雷をとりつけるメカニズムになにか特別な工夫がなされているのでしょうか?
少年タイフーン
ですから、ご心配の魚雷の懸吊の件は問題になっていません。しかし、こうした問題は重装備の攻撃機の射出に関して出来している訳であって、射出機種を甲板上の配列の最前列を構成する艦上戦闘機程度に限定すれば当時達成できていた水準の射出機で射出能力に関してはまだ何とかなったのではないか、と考えています。
そして海軍が当初構想していた母艦上射出機は滑走車を用いない米軍同様の形態の空気式の機構を持っていましたので、比較的重量の軽い日本の艦上戦闘機であれば実運用まで漕ぎ着けられる可能性があったかもしれません。滑走車の使用という特異な形態を必要とした背景は攻撃機の射出という問題が大きく関与していたようだ、ということです。
ただ、完成したシステムを全空母に搭載することは当時の事情から見て非常に困難な課題であったことは確かです。
BUN
1)実用化されたカタパルトの滑走車には、単フロート用と双フロート用などがあったと聞いております。たぶん滑走車は、そんなに複雑なものではないと思いますので、攻撃機の尾部と滑走車の干渉など、いくつか簡単に試作して解決できそうに思うのですが、いかがでしょうか?
2)そもそも、自分でちゃんと発艦もできない性能の大型艦上機を、カタパルトをつかってむりやり空母から運用するという考え方自体が、なにか間違っているように思います。たとえば米国海軍でも、空母から大型の航空機をムリにでも発艦させた際には、カタパルトみたいな邪道(?)な助けをかりず、自力でちゃんと発艦させておりました。例として以下が見つかりました:
1942年4月、B-25ミッチェル16機、USSホーネット(CV-8)より発艦:
http://www.history.navy.mil/photos/sh-usn/usnsh-h/cv8.htm
1950年2月、P2V-3Cネプチューン、USSフランクリンDルーズベルトより発艦:
http://www.history.navy.mil/branches/avchr7.htm
http://www.history.navy.mil/faqs/faq77-1.htm
1963年8月、U-2C、USSキティーホークより発艦:
http://www.history.navy.mil/faqs/faq77-1.htm
1963年10月、KC-130Fハーキュリーズ、USSフォレスタルより発艦:
http://www.TheAviationZone.com/facts/forrestal.htm
BUNさまのおっしゃるとおり、潜水艦用の圧縮空気によるカタパルトを改良して、飛行甲板最前列にならばせた艦上戦闘機の滑走距離短縮へ目的をしぼれば、当時の技術でも空母用のカタパルトは実用になったのではないかと思われます。(これからのBUNさまの資料をワクワクして待っております。)
少年タイフーン
うーん、伊400搭載のカタパルトを積んでみたかった。
まなかじ
http://vectorsite.tripod.com/avp2v.html
でした。ごめんなさい。
少年タイフーン
坂井さんの著書の中に『敵艦隊の攻撃用として待機していた零戦、九九艦爆、九七艦攻各、計三六機が飛行甲板上から全機発艦するのに要する時間は、手間取ったとしても、わずか六〜七分弱で済む』という記述があり、この数字から考えると、機数が多くなればなる程、カタパルトを使うよりも直接発艦した方が速いのではないかと思えるのですが、合成風速を作る必要が無いという点以外に、当時のカタパルトに、飛行甲板を持つ空母にわざわざ装備する程のメリットがあったのでしょうか?
MITTU
つまり、米空母ですらカタパルトを使うよりも直接発艦した方が速いのですが、なにせ、飛行甲板の前の方まで駐機させると、発艦に必要な離陸滑走距離がとれないため、しかたがなくカタパルトを使用したようです。ですから、飛行甲板上の機数が多くなればなるほど、前方に駐機した艦上機にはカタパルトで短くなった滑走距離を補ってやらなければならなかったそうです。別に使わなくてもよい装備など、軍艦にあるはずはありません。
少年タイフーン
ささき
BUN
なんでしょうか。
KEN
tomo
米国の大型空母として話を進めますが。従前の「世界の艦船」の定説では、
米国大型空母に搭載されているC−13型蒸気カタパルトは1分間に1機を射
出可能、つまりカタパルトを4基装備しているフォレスタル級以降のフネでは
1分毎に4機射出可能、という要目だと思っていたのですが。同誌1998/
3月号の解説では「作動サイクルは20秒、4基をフル稼働させれば5秒間隔
で搭載機を射出できる」となっています。
この違いは一体・・・謎です。単純なミスなんでしょうか。
さて、蒸気カタパルト(忘れてましたが現代の米大型空母は蒸気式カタパル
トで搭載機を射出します)を動かすには推進用のボイラーが造る蒸気を用いる
のですが、最大限連続して作動させた場合には原子力空母以外では機関が造り
出す蒸気の20%程度を消費してしまうらしいです。
従って、通常型の空母の場合には高速で航行中等は連続しての射出が出来な
い場合もあるかもしれません。
tackow
US、NAVYで、元々は、タンカー改造で飛行甲板も短く、速力20Ktも出ない
”護衛空母”が成り立ったのもカタパルト実用化のおかげですよね!!
こんな発想で戦時中100隻以上造ちゃうアメリカの力はすごいです。
奇跡の発動機?誉
搭載機数程の戦力にはなりえなかったわけだ。
勝井
カタパルトにより射出するメリットとして、もう一つ、灯火管制があげられます。つまり、真っ暗な飛行甲板からでもエヴィエーターは前を見ずに発艦できるということです。
>13
米国海軍公式サイトにある機関誌オール・ハンズの記事によると:
http://www.chinfo.navy.mil/navpalib/allhands/ah0197/pg08-09.html#cats
ニミッツ級空母では、昼間では37秒ごとに2機の発艦と1機の着艦が可能で、夜間では1分ごとに1機だそうです。でもこれは公式発表の数字ですので、実際のことはわかりません。他のサイト:
http://www.techreview.com/articles/july97/pool.html
には、約50秒との数字もありました。猛訓練で短縮できると思われます。
以前のブライドルを使用していた時代と、現在のロンチバーとでは、どのくらい射出間隔が短くなったのか、正確な数字を見たことはありません。しかしながら、ブライドルを使っていたころは、ちょっとブレーキをかけそこなって、機体がホールドバックを強く引っ張ったなら、かならずテンション・バーを取り替えさせられたそうです。ロンチバーになってからは、射出手順が簡単になっただけでなく、射出のやり直しも少なくなったはずですので、きっと実際の運用でのカタパルトの射出間隔は、かなり短くなっているものと思われます。(フランスは今でもブライドルでしたね)
少年タイフーン
ご回答ありがとうございます。米空母の搭載機数の多さと考え合わせて、深く納得がいきました。
もう一つ便乗質問をお許し下さい。
米空母からの発艦は、1.雷撃機 2.爆撃機 3.戦闘機という順だったそうですが、重くて遅い飛行機から先に飛ばしていくというこの方法は、カタパルトによって可能になったものでしょうか?
それともカタパルトの実用化以前から、この順番だったのでしょうか?
(ミッドウェー海戦でも雷撃機の発艦が先だったようですが、この時期には空母用カタパルトは実用化されていたのでしょうか?)
MITTU
という理由では無いと思います。実際レイテ戦以降ですとF6F/TBM/SB2Cという順番で
並んでいる写真をよく見かけますし、レイテの前だとF6F/SB2C/TBMという並べ方をしている
写真もあります。
なお、ミッドウェイ戦に参加した三空母は全てカタパルトを保有していますが、発艦の際に
カタパルト射出をしている様には見えません。なお、ミッドウェイ海戦の際の発艦は
VB/VS→VT→VFの順でした。
大塚好古