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はじめまして。スクリューの数について質問です。大和級、ニュージャージー級、プリンス・オブ・ウェールズ級のスクリューって4つですよね? けど、同時代のビスマルク級だけは3つしかありません。なぜですか? 塚丼 |
この場合はタービンの数量と密接に関ってます
大和は駆逐艦の主機を4隻分入れて(8基)
2基のタービンで一つの推進軸を回してます
アイオワや、キング・ジョージ5世級はタービン4基で
ビスマルクは3基のタービンで推進しているので3軸になってるのです
手持ちのタービン4基では出力過大、2基では過少の場合
3軸が採用されることがあるようです
また、船体サイズの問題でもあるのですが
船体内に横一列に入りきれば、防御範囲の縮小や全長の圧縮が狙えます
(大和は駆逐艦用の小型タービン8基を横一列に突っ込んでます)
ビスマルクも幅の大きな艦ですから、3軸にまとめれば
機関全長を縮小できたのかもしれません>内部配置見てないから想像です
また、一般にドイツ艦艇は3軸が好きみたいで、意外と多用されてます
SUDO
もう一つ,軸数が奇数と偶数の場合,中央軸の有無があります。水流は船体の摩擦で引きずられ,船体後方では進行方向の速度(伴流)を持っています。推進器が伴流の中に置かれると追い風(水)を受けることになって推進器効率が上がります。これは船体が水に与えた運動エネルギー(=摩擦抵抗損失)の一部を回収したことになります。伴流を最も受けるのが中央軸で,そのため中央軸は推進器効率が高くなります。また船幅の広い船は伴流が強くなるので一般に推進器効率は高くなり,船幅増による抵抗増加ほどには燃費・速力は低下しません。ちなみに戦艦大和は船幅が広いため他の戦艦より推進器効率が高く,最大出力で50%(普通は45〜46%),巡航出力で55〜56%程度でした。
以上両面から,最も望ましい軸数は1軸と言うことになります(軸数最小かつ中央軸)。そのため,最近の大型タンカー・コンテナ船はほとんど全て1軸船です。しかし1軸船では推進器・主機共に大容量となり製造が難しくなりますので,古い(技術レベルが低い)船は軸数を増やさざるを得ません。また軍艦の場合は推進系の冗長性が生残性に直結しますので,最低2軸以上が望ましくなります(米海軍O.H.ペリー級はコスト優先の単軸艦なので批判されています)。
以上の結果,ドイツ戦艦に多い3軸配置は
「軸数減少の必要性」 推進器効率向上(特に中央軸が有効),機関スペース減少,重量低減,
建造性向上,コスト低減(燃料費・調達費の両面)
「軸数増加の必要性」 生残性の向上,機関当たり出力(製造難易度)の抑制,
推進器直径の減少(喫水による制限)
を調和させたうまい選択だと考えます。特に巡航時は効率の良い中央軸のみで航行すると更に燃料節約になります(ただドイツの3軸艦には両舷軸ディーゼル,中央軸タービンとして巡航時は両舷軸で航行するものがありましたが)。英客船オリンピック級(2番船はタイタニック)は経済性を重視した3軸船で,両舷主機を駆動した後の低圧蒸気で中央主機を駆動して,機関効率・推進器効率の両方を上げています。また最近の大型旅客機が皆双発となっている(4発機は無い)のも,同様の理由で大型エンジン少数が好都合だからです。
isi
れば一軸として当然かとも思われるのですが。決定に当たっては相当な
批判があったのでしょうか?
tackow
長門級では4基の主機がそのままでは横1列に収まらないため,中央2機を同じ部屋に入れる3室配置として前後長を短縮しています(中央と舷側機械室を少し前後にずらしたり,縦隔壁を上から見て斜めにしたりしてやりくりしています)。大和級は船幅が広く,1軸の出力も低いため缶−缶−缶−機1系統を横4列にきれいに並べられました。
→3. 根拠は
・Harpoonという海戦シミュレーションのデータベースの「単軸艦の信頼性が厳しい批判に
曝されている」という解説
・単軸艦は1軸を失えば推進不能になる(補助推進器は低速)という物理的事実
・これは命の掛かった乗員にとっては不安なはずという推測
で,本来伝聞形で書くべき内容でした(これまで絶対確実なこと以外は推定形・伝聞形を使うよう心がけて来ましたが,今回ちょっとした理由があり断定形で書いてしまいました)。
設問の本質とも無関係なので単なる傍証のつもりでした。
>O・H・ペリー級は戦後の米海軍のDEが概ね一軸であった流れからす
>れば一軸として当然かとも思われるのですが。
や「それでもペリー級は批判されるべきか」等は非技術的な問題ですので,私は知識も興味もなく回答できません。
isi
プロペラ直径の増大:特に可変ピッチでは大きくなる傾向があり。また、騒音
を考慮すれば低速でプロペラを廻す必要が生じ、なおさら直径を大きくする必
要がある。
プロペラ直径と関連するが、減速装置とプロペラを結ぶ軸の傾きが大きくなり、
なにかと不都合である。
等であると思います。
従って、「乗員の心理」は技術面とは別の要素と思いますが。
私が、「DEの流れ云々」と書いたのは、米国海軍ではO・H・ペリー級にお
いて一軸推進を採用したのは、量産艦としては経済性も重要でしょうが、決し
てそれだけでは無く、ORや運用実績を考慮して一軸推進としたのではないか?
という視点からであり。その過程において批判がなされたのか?という疑問で
した。
当然、一軸艦の方が推進力を一撃で失う可能性は高いと思われますが。米海軍
では「一軸のみが機能を失い、残り一軸が機能していた」のは非常に幸運な場
合。という戦訓も考慮してDEの軸数を決定したと記憶していたのですが。こ
の辺の抗湛性は、軸数だけの問題では無く機関配置なども考慮すべき問題と思
います。
もし、「単軸艦の信頼性が厳しい批判に曝されている」のであれば、O・H・
ペリー級はこれほど諸外国で使われることも無かったかと思いますが。
勿論、一軸艦の場合には「繰艦が難しい」という問題もありますが、これは、
また別問題と思いますので言及を避けます。
tackow
分かりました。
それで,あなたが既にご存じのそうした情報を,私に質問するよりご自身で解説なされば,読者の皆さんにとっても有益だと思いますし,私も参考になります。真意を隠した最小限の言質で質問されると返答に窮します。
>私が、「DEの流れ云々」と書いたのは‥‥という疑問でした。
これは3.の質問には書かれておりませんので,私は意図を測れませんでした。邪推すると,御自身は最小限の労力でこちらの(労力のかかる)返答を引き出し,そのアラを探してまた批判する意図ではと感じました(過去にここで経験があります)。
他者の発言に疑問を感じたとき,誘導質問で相手にボロを出させるより,自身で積極的に情報を提示する方が建設的で,このコーナーの主旨にも合うと思います。回答は自発的とはいえ,私にとっては相当のインスピレーション(←偉そうですが必要です。私は知識を集めただけでは書けません)・精神力・時間を要する行為であることをご理解いただけると幸いです。相当な労力をかけた回答に,嫌がらせ(のように思える)返答が付くと意欲を失います(←喜ぶ人は多いかも知れませんが)。
「技術的」は「私が」それに回答する気になれるかと言う意味ですので,「他の方が」それを技術的と考えること,興味を持つこと,回答なさることはご自由です。ただ,質問されても必ず返答する義務は無いと考えます。回答はあくまで自由意思と思いますので。
isi
BUN
>他者の発言に疑問を感じたとき,誘導質問で相手にボロを出させるより,自
>身で積極的に情報を提示する方が建設的で,このコーナーの主旨にも合うと
>思います。
いや、毛頭その様な意図はありません。
>(米海軍O.H.ペリー級はコスト優先の単軸艦なので批判されています)。
という点について素直な気持ちで質問した次第です。
仰るように、設問の本質とも無関係な括弧で括られている発言に対しての再質
問でしたので。新規に設問を作る。という形にした方が良かったかもしれませ
んでした。
回答に対する労力は重々承知している次第です。
不快感を与えたのでしたら、その点お詫びします。
tackow
BUNさん、筆を煩わしてしまい申し訳ありませんでした。
tackow
「3%のために抗堪性を犠牲にしていいのか」と計画時に結構もめたみたいです。海軍が単軸に決定したのは
tackow殿の言われるように「第二次大戦時における駆逐艦の損害状況から見て、この程度の大きさの艦は
魚雷が一発当たれば駄目だから2軸にする必要無し」という分析からです。
…個人的には2軸にした場合FFGでなくDDGと呼称される可能性が高くなりますが、これを海軍が嫌ったんじゃないかと
いう憶測をしているのですが。(DXG/DDG47の計画にモロにぶつかりますからね…)。
大塚好古
8ノット程度を搾り出せる補助スラスターがあると
以前世艦で読みました。
その辺で1軸でも抗堪性が確保されると考えられたってのはいかがでしょう?
勝井
船価の3%ですか〜、30隻で1隻減る(増える)訳ですね。ペリー級の場
合特に「コスト(取得、運用問わず)」について喧しく言われ初めた頃なん
で、3%だと大きいのかも・・(もっと小さいと思ってました)。
確かにブルック級はあの豪華装備にも関わらず一軸でFFGでしたね、そういえ
ば。
>11
そう。でも、スタークは一撃で主機もスラスターもやられちゃったんですよね〜
しかし、あのスラスターで8ノットも出せました??
tackow
見做される同級によって計画中のDLG/DDGの建造計画を阻害されないようにしたフシがなんとなく伺えます。
なお、ペリーのスラスタはShips & Aircraft of the U.S.Fleet(16th)によると6ktsの速度を発揮することが
可能となっていますが、アメリカさんは機関の出力に結構な余裕を持たせますから軽荷状態で根性入れて廻すと
勝井山の言うように8kts位出るのかも(笑)。
大塚好古
塚丼