QQCCMMVVGGTT
510 |
希少金属(Ni、Mo等)を使わず戦艦の防御甲板を造ることは可能でしょうか。例えばD鋼にBを入れて焼きを入れるとか。 因みにビスマルクの溶接用の鋼材ってどんな成分なんでしょうか。 あと、D鋼の溶接しにくさって、現代の技術では解決されたんでしょうか。 ひろし
|
- D鋼(低マンガン構造用鋼)は装甲用ではなく、構造材に使われます。また、ボロンを添加して焼き入れを容易にする(深く焼き入れできる=大きな部品、複雑な形状の熱処理が容易)技術は一部を除いて戦後の技術ですので現在自動車などに一般に使用されているB鋼(ボロン鋼)を戦艦の装甲に使用するということは考えられません。また、ビスマルクの装甲板はニッケルクロムモリブデン鋼と思われます。そしてD鋼が溶接しにくいというのは戦前の溶接技術では一般に特殊鋼の溶接が難しかったという問題の一部であり、現在では問題はなく、D鋼は一般に広く使われています。
BUN
- 質問者です。丁寧なお答えありがとうございました。質問の意図は、希少金属を使わずずに戦艦を造ることができれば、航空機も戦艦ももっとバンバン造れたのになーという思いつきから出たものです。それにしても戦艦も航空機もあれだけ造れたアメリカってすごいですねー。
あと話は違うのですが、戦車のの装甲板もやっぱり希少金属が必要だったんですかね。もし大量に必要だとしたら独逸にもそれだけの資源を確保できたということでしょうね。
ひろし
- >2. 何の証拠もないのですが、ドイツ末期の「アニマルシリーズ」駆逐戦車達が無茶苦茶な厚さの装甲を使っているのは、稀少金属の枯渇によって低下した装甲の材質を厚さで補おうとしたのではないか、と私は思っています
ささき
- 私は実際にフランスでタイガーの前面装甲板を「自分の歯で噛んでみた」経験がありますが、どこかほのかにニッケルの味がした、と記憶しています。ミッション回りは「匂いを嗅いで」みましたが、こちらは無ニッケルの代用鋼の匂いがいたしました。
BUN
- ドイツ戦車は希少金属を無駄に使わないように、表面のみ硬い構造の
装甲板でしたっけ?
ほえええぇ
- 初期の三号戦車などの車両には、表面に浸炭処理をした装甲板が使われています。浸炭処理とは低炭素(0.1〜0.2%Cの母体の表面に炭素を浸み込ませて高炭素とし、更にこれを焼き入れして表面を硬くするプロセスです。兵頭二十八氏の様に「爆弾内部が加工できたのは芯まで浸炭されていなかったのか」というように芯まで浸炭することは考えられません。そもそも徹甲爆弾に施されたのは焼き入れ処理であって浸炭ではありませんが、1mmから3mm程度が浸炭処理の実用的な限界の様です。私が噛んだタイガーの装甲はほとんど炭っぽい味はしなかったので、後期の厚い装甲には通常の熱処理のみで、手間のかかる浸炭処理は施されていないのではないでしょうか。
BUN
- 表面硬化処理するプロセスは戦争初期から一貫して使われていて代用鋼の採用とは直接には関係ない、ということです。また、装甲板を「噛んで」その材質を推測する検査法が伝わっているのは日本では我が家系のみですので、真似しないように(特に人が見ている前では)。
BUN
- 先日、鍋で飯を炊いて焦がしてしまったのですが、鍋の底に炭化した米が厚くこびりついていました。この鍋底は浸炭鋼鈑になっているのでしょうか?
Sampon
- 摂氏900度で4時間程焦げ付かせた鍋を急冷すれば、浸炭肌焼きに近いかもしれません。さあ、耐弾効果を試してみましょう!
BUN
- 今更なんですが、終戦近くの我が陸軍の装甲は、無ニッケル浸炭鋼で。
溶接棒の心線は17Cr-16Mn系を主体としており。溶接が非常に困難だっ
た様です。
が、そのせいで溶接技術と溶接棒の被覆剤等の技術は世界でも一級品で
あった模様です。
takukou
Back