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派生質問で申し訳ありませんが、分厚い装甲のタフさについてです。 >大和級のような一層防御の分厚い装甲にいくら爆弾をぶつけても損傷しないので>はと思います というtakaさんの意見が427にありますが、いくら分厚い装甲でもモノコック(?)でない以上リベットで繋ぎ合わせていると思うのですが、貫通できない爆弾でも爆発 によってかなりの衝撃を与える事ができて、何度もぶつければ装甲は変形しないま でもバラバラ(ボロボロ)に繋ぎ目がなってしまって装甲の役目をなさなくなるよ うに思うのですが、こういった事はなかったのでしょうか? また、運悪く初弾から繋ぎ目にジャストミートした場合には装甲というのは装甲 の厚さのどれぐらいの強度を発揮できるものなのでしょうか? #装甲板の真中に当たった場合が一番強度が強いと思っていいんですよね? いつも質問ばかりですみませんが、教えてください。 bluefish |
(出典不明。今学校なんで)
やはり端部は弱点ではあったようですが,この弱点,当然列強は気づいてますから,
それぞれ何らかの対応策をとっていることと思います。
(大和主砲塔天蓋の複雑な形状も,その現れではないかと僕は思っています)
勝井
(早い話3枚重ね)他と同等の強度は有りそうですね
船体の方は資料が無いのでなんとも言えませんが
たぶん有る程度は繋ぎ目に対策はしてあると思います
ただ、リベットが飛べば駄目ダメです
まあ、同一個所に着弾することはまず無いので
最初の被弾に耐えれば、とりあえずは、まあ許容範囲なのでは
SUDO
BUN
やはめ合わせによって接合されていた筈です。
この方法で接合すると、お互いの装甲の弱点(末端部?)を補完す
る働きがあったと言われます(実験で確認したそうです)。
また、舷側の装甲はリベットでは無くねじで取り付けられていたそ
うです。
↑ 師匠、それは「ダブテール」と呼ばれる方法でしょうか?
takukou
質問後半の繋ぎ目の問題は工夫されていたようだというのはなんとなく掴めたの
ですが、前半部分の質問の分厚い装甲でも同じ場所に被弾した場合には役目を果
たすのかについて、もう少し教えてください。
なんとなく、装甲が外れ落ちるとか、内側にめり込んで用を成さなくなるような
妄想にとらわれてます(^^;
#まぁ、そうそう同じ場所に当たらないというのが現実でしょうが。
bluefish
1)甲鉄の縁の影響
実験の結果甲鉄の縁は耐弾力がすこぶる低下し,内部へ行くほど回復し,弾丸直径の約2.5倍中央へ入ると計算通りの耐弾力となる。大和の場合これは115cm程なので,甲鉄の幅が2m以下なら全面積が計算以下の耐弾力になってしまう。実際水平装甲はほぼこの状態で,舷側装甲でも1枚が幅3.6m,高さ5.9mなので計算通りの耐弾力を持つのは全面積の21.6%に過ぎない。
2)甲鉄相互の継ぎ目
上述の耐弾力低下は戦艦土佐の設計時に関連実験から明らかになった。低下の原因は縁部に弾丸が命中すると甲鉄が曲がりやすいためであった。大和の設計時,これを補うための種々の接手が工夫され,優秀な耐弾力を示す方法(詳細不明)も見出されたが,工業生産や実用の面で難点があった。
実際に取られた対策は
1.接手を支える背面の船体構造を強くして甲鉄の曲がりを防ぐ。
2.甲鉄相互のつなぎをはめ込み式にしたり,つづみ形のくさびを打ち込んで,縁が曲がるのを隣の甲鉄が支えるようにした。
3)甲鉄面積の増大
縁の影響を減らすには甲鉄1枚の面積を大きくすることが大切で,特に装甲厚が非常に厚い大和の場合,1枚の仕上がり重量をそれまで通りとすると1枚の面積は逆に小さくなってしまう。そのため仕上がり重量の大きな装甲を製造できるよう次の設備を導入した。
1.ドイツのHydraulik社から15,000tの水圧機を1台購入。
2.70tの酸性平炉4基を設け,3基の湯を合わせ,最大200tの大型鋼塊を製造可能とした。
3.鋼鉄圧延機を幅広薄板用のものを補強して,幅5m,長さ10mのものまでできるようにした。
これらの結果舷側甲鉄の仕上がり重量・表面積とも著しく増加した。土佐との比較では以下の通り。
高さm 幅m 厚さm 重さt 表面積 平米
土佐: 5.3 2.4 0.275 27.5 12.4
大和: 5.9 3.6 0.410 68.5 21.2(↑の71%増)
<以上>
2)に関連して,大和船体横断面図などを見ると,水平装甲接合部がはめ込み式になっていたり,舷側の水線下の装甲接合部がテーパー状に重ね合わせてあるのが確認できます。重要な砲塔部では装甲を重ね合わせているのもこの縁部の耐弾性低下対策だと思います。
これらの接合法は装甲を「曲がりにくくする(鈑面に垂直な力を支える)」ためのもので,鈑面に平行な力を支えることはできない(装甲鈑に船体強度を受け持たせることはできない)という点に注意が必要だと思います。装甲鈑自体を支えるのも,船体強度を支えるのも背後の船体構造です。
装甲は背後の構造にボルトで取り付けられているようです。したがって装甲に砲弾・爆弾が命中するとかなりのボルトがちぎれ飛び,再度命中すれば装甲が押し込まれたりはずれたりする危険は大きいと思います。特に徹甲弾だと装甲鈑自体にかなりのダメージを受け,次回は折損する可能性もあると思います。ただ通常爆弾や500ポンド程度の徹甲爆弾なら,大和の水平装甲なら2回くらい命中しても持つのではないでしょうか(憶測)。
isi
で、大和に関して言えば、例の魚雷命中での装甲板の一時的な
移動がありますね。
とはいっても魚雷と通常爆弾ではその効果がかなり異なるので
しょうが?
takukou
>↑ こういう「一撃本」もあるんだなぁ。
小5の時に母に買い与えられ(同時に福井静夫「日本の軍艦」も),小1の「学研の図鑑 自動車・船」と共に私の原点となりました。
>で、大和に関して言えば、例の魚雷命中での装甲板の一時的な移動がありますね。
>とはいっても魚雷と通常爆弾ではその効果がかなり異なるのでしょうが?
爆発の衝撃波による破壊という点で魚雷と通常爆弾は似ているのではないでしょうか。魚雷と徹甲(爆)弾なら全く異なりますが。
件のめり込みですが,めり込んだのは3番砲塔右舷にある,水線部410mm装甲鈑下端と水線下の270mm装甲鈑(弾薬庫なので機関部より厚い)上端の接合部です。この接合部ははめ込み式になっていません。建造直前に水線下装甲を増厚したため,はめ込み式にするための製造能力上の余裕がなかったようです。また機関部では上部410mm装甲は傾斜20度,下部200mm装甲は14度と角度が違うこともはめ込みを難しくしていたでしょう。両方の接合部の背後をつっかい棒のようにブラケットが支えており,このブラケットがボルトで船体構造に取り付けられています。(ヤヌス・シコルスキー著「戦艦大和図面集」をお持ちの方はp.47をご覧下さい。p.12には解説もあります)
このボルトの強度が不十分だったので,水線下5mで魚雷が爆発した際の爆圧で切断し,装甲鈑の端もろともブラケットが内側に押し込まれました。これが装甲背後の防水壁に小さな穴を横並びに開けてしまい,そこから背後の火薬庫に浸水しました。装甲鈑自体は弾力で元の位置に戻りますが,当然水密は破られています。機関部なら防水壁が2重なので2枚目で防げますが,弾薬庫はスペースの関係で1重なのでそのまま上部弾薬庫に浸水しました。
本来はこの接合部周辺の強度を高め,めり込まないようにすべきですが簡単にはできません。応急処置としてブラケット背後の防水壁の後ろに,斜めに小さな防水壁を裏打ちして三角形の空間を作りました。これは「戦艦大和図面集」のp.46の図を見ると分かります(Aと矢印のある部分)。装甲が押し込まれてブラケットが防水壁を破っても,背後の小さな三角形の区画に浸水するだけで済むようになっています。
isi
ところが、この方法では、損傷した装甲鈑を取り替えようとすると、関連する鈑をパズルのように外していかなければならず、製造価格も高くなることから放棄されました。
個人的には、この問題は最後まで解決されなかったと認識しています。
だいたい、1トンもある鉄の塊を音速の2倍でぶつけて、なんともないような構造なんて作れるもんじゃありません。均衡防御は、砲弾の阻止が装甲鈑自体の破壊と引き換えという構想なのです。
分厚い砲塔前盾にしても、命中すればたとえ貫通されなくても弾片で砲身が傷つき、使えなくなるでしょう。砲身には耐弾能力はないのですから。
志郎
覧し(^^;;とりあえず要所はメモってます。
この上部装甲と下部装甲の接合部に関しては28oのDSを受けにし
て、28oのリベットで止めているのですよね。確かにここは大和級
の弱点と思われ。牧野茂氏は「リベット止めとしたのが弱点」とし、
「棚板の切断面で受け止める」構造とするべきであった。と述べて
おりますね。
爆弾と魚雷の威力の差については何とも言えません。が、「海軍水雷
史」には空気中の爆発よりは水中の爆発の方が「爆発勢力は最小抵
抗部へと向かって逸路を求めんとし、専ら船体内部へ指向されるの
で、その船体破壊力はすこぶる強く」とあり、同重量の炸薬であれ
ば水中爆発の方がより船体に与える影響は大きいと考えたのですが。
しかし
>小5の時に母に買い与えられ
とは、なんと羨ましい家庭環境でありましょうか(^^)
ワタシなぞ、随分前ですが神田は神保町のBUN華堂で見かけたの
ですが、確か二万だか二万五千円だかで、すごすご引き下がった経
験があります(^^;;
takukou