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437 も一つ質問です。大神海軍工廠って計画ではどのようなものになる予定だったのでしょうか。超大和級2番艦の建造が予定されていたとは聞きましたが……。
tomo

  1. 大神海軍工廠は、昭和16〜17年度に建設予算が承認され、
    24億円(参考までに、D計画の全費用が44億円)という巨費を投じて建設が予定された、
    呉・横須賀にも匹敵する一大造船施設となることを約束されていた工廠です。

    主要設備は船台2(空母用1、潜水艦2隻同時建造用1)、
    ドック3(戦艦用1、重巡用1、潜水艦2隻同時建造用1)。
    造船能力は、戦艦3年に1隻、空母3年に1隻(又は重巡2年に1隻)など。
    加えて戦艦・空母1隻ずつの特定修理能力。
    これらの造船・修理用装備品の生産の他、
    さらに造機部で主機械タービン1700t、主機械ディーゼル10台、
    缶24缶、補機200台。
    造兵部で砲煩−中小口径砲架20基、魚雷発射管並びに空気圧搾喞筒各10基、
    電気−150万円分、
    航海−艦底嘴、艦底管、短艇羅針儀、光学−中小型測距儀、望遠鏡、架台及び托架あわせて80万円分
    という生産能力をもつ予定でした。

    ちなみに海軍の未成海軍工廠として、仮称S廠が山口県室積に建設予定で、
    17〜18年度に建設予算成立。
    生産能力は大型潜水艦年に2隻半、大型潜水艦用主機年産10基(半分はS廠用、もう半分は他の工廠への配給用)、
    さらに艦隊補充交代期には一般修理の一部を実施可能、というものでした。
    要するに典型的潜水艦造船施設です。

    大神も潜水艦を同時4隻建造可能ですし、海軍は豊後一帯に潜水艦の一大生産施設を有する計画であったことがうかがえます。

    以上の出典は、戦史叢書「海軍軍戦備2」です。
    勝井

  2. 架空戦記ものでよく話題になりますが、
    旅順や高雄あたりに海軍工廠造る計画はなかったのでしょうか?
    それともやはり日本の国力では、大神で精一杯だった?
    勝井

  3. 遅くなりましたが、詳細な報告、ありがとうございます。
     さて、これはうる覚えなのですが、軍縮条約では太平洋の一部特定地域の軍事施設強化を制限していて、台湾もその中に入っていたような……。しかもこれにはおまけが付いていて、特定地域の範囲のすぐ外にシンガポールがあって、そのおかげでここの軍事施設は立派な物が作られたとか。この条項はアメリカがフィリピンを足場にするのを防ぐための物で、おかげでフィリピンの軍事施設はさほど強化されなかったとか。
     もうひとつ。旅順は位置的にさほど重要ではないのでは。あんな所に前進基地を設ける必要は日本にはありませんから。だとすれば、租借地にわざわざ大金を投資するとは思えません。そこを租借したのも、ロシアに使わせないようにするという、経済原論で言う過剰設備としての意味があったように思えます。
     
    tomo

  4. >軍縮条約では太平洋の一部特定地域の軍事施設強化を制限していて
    それはワシントン条約ですね。
    日・米・英の三国が対象で東経110度以東にあらたに軍事施設を
    建設しない(日本本土・ハワイ・オーストラリア等はのぞく)という内容でした。
    なお東経110度というのは、インドシナ半島のすぐ東、
    ボルネオ島の西の端、ジャワ島のほぼ中央のラインになります。
    弥空

  5. 適切なフォローに感謝。
    tomo

  6. ありがとうございます。
    しかし、僕が話題にしたのは「工廠」=「造船施設」であり、
    軍事基地には該当しないのではと思うのですが。
    実現性はおいといて。
    勝井

  7.  工廠は造船施設と言うよりは、いわば造艦施設と言うべきで、兵器工場に当たります。また、修理施設としての側面も持っていることも考えると軍事施設に当たるのではないかと思います。
    tomo

  8.  発言の趣旨は理解しておりますが、「工廠」の言葉の意味から言って「工
    廠」=「造船施設」であり軍事施設ではないという言い方はかなり無理があ
    ります。ワシントン条約の原文があるといんですが、探してもみつからなか
    ったので、一般的な言葉の用法を日・米で調べてみましたが、やはり、どう
    調べても工廠の本来の意味は兵器工場です。やはり、言葉は正しく使わない
    と・・・
     記憶で申し訳ありませんが、新たに軍事施設を作らない範囲に入っていた
    トラック諸島ではワシントン条約期限中には財政的な問題もあったかとは思
    いますが、一切軍港のための工事はしていなかったようです。しかし、非立
    ち入り区域だったため、合衆国は信用せず偵察を画策していたと言われてま
    す。例の女流飛行家遭難事件に関しては、南洋諸島のスパイ行為が目的だと
    考えた日本軍に処刑されたという説さえ唱えられています。
     やはり、戦闘艦艇に狭い意味での軍事物資を補給(当然、補修も含む)で
    きる恒久施設は軍事施設と呼ぶべきでしょう。

    tk

  9.  民間の造船所が進出するという選択肢もあるとは思いますが、当時の台湾はまだ完全に安定したとはいえません。したがって、民間資本が危険を冒してまで進出することはないのではないかと。また、その後の造船不況などを考えるとその余裕もないのでは?
    tomo


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