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380 空母、赤城、飛龍は左舷に艦橋がある珍しい空母です。これは運用
上都合が悪いと聞きましたがなぜ左舷では都合が悪いのですか?当
時の艦載機(単発、単胴機)のカウンタートルクの影響でしょうか?
T.I

  1. 左舷がまずいじゃなくて、艦の中央にあるのがまずいのでしょう。艦の前方
    右舷にある「蒼龍」や翔鶴型に比べて、「赤城」や「飛龍」は左舷のもっと
    後方、艦の中央位の場所にあるので、急流の面で着艦する飛行機に悪影響を
    与える、というものだったと思います。艦中央部にあるほうが、煙突とのバ
    ランスをとったり、(ちょっと記憶が怪しいですが、どこかに書いてあると
    思いますが)発着艦などの指揮など飛行機の運用上は得策なはずなのですが、
    着艦時の気流はやはり何にも優先するということでしょうか。

    一応、私の記憶にある通説を書いてみましたが...
    今泉 淳

  2. (設問←)左舷というより,艦橋が煙突と反対舷にあると艦尾気流の点でまずいのだと思います。赤城・飛龍の煙突は右舷にありますが,着艦時に空母は
     高速航行 → 大出力を発生 → 大量の熱煙を排出
    となりますので,この熱煙が着艦コース内に流れないよう若干左舷から風を受けるはずです。その時艦橋が左舷に有ればその後流が丁度飛行甲板・着艦進路上に流れ着艦に悪影響を与えるためと思います。艦橋と煙突が同一舷なら後流が排煙と一緒にコース外に流れ,影響が小さいのでしょう。
    この点,煙突が左右両舷にあった加賀(新造時)は着艦に非常に悪影響があったと思われます。
    (106番にも同様の議論があります)
    isi

  3. 当時のパイロットが着艦に失敗した時、左に逃げる傾向があるから邪魔になる、
    と言う話を読んだけど。
    R

  4. ↑↑訂正。着艦時に空母が高速航行するかは確証がありません。発艦時と違って必要性が低く(帰投時は燃料消費・投弾により機体が軽く失速速度が低い,ワイヤにより減速は容易,高速だと艦尾乱気流が強い等),帰投機も散発的にやってくるので巡航速度のままかも知れません。

    蛇足ですが,単発プロペラ機が機首を振る(偏向)のは回転するプロペラ後流が垂直尾翼に斜めに当たるためで,カウンタートルクとは無関係です。この点は旧旧Ans. Q航空機741で議論されています。現Ans. Q航空機184(二重反転プロペラの効果)でより詳しく議論されましたが,ログの消滅により現在は参照できません。
    isi

  5. 旧海軍の搭乗員(誰だかは失念)の話によると着艦進入時に左に艦橋があるとじゃまに感じるそうです。普通着艦するときには一度空母上空を後ろから抜くようにしてパスし、左回りに第1旋回から第4旋回をしますが、この時に左に艦橋があると第4旋回が終わるまで飛行甲板の全体が見えずやりにくいそうです。
    舞弥

  6. 5.の回答とも関連するかもですが、
    やはり「ほとんどの艦が右側」というのが大きかったと思います。
    たった2隻の例外に合わせて運用を変更するのは、そりゃ面倒だったでしょう。

    また、左旋回については、ものの本で、人間、左右の進路を選択する際、
    左を選ぶ傾向が強いことが心理学的に証明されているとか。
    ほとんどの空母が当初より右舷に艦橋を構えたのも、
    この辺念頭にあったからかもしれません(というか、自然に右舷を選んだのか)。
    勝井

  7. 右回りペラの機体が離陸・着陸時に機首を左に振るのは次の理由です。

    (1) プロペラの反作用(カウンタートルク)
     離陸時はピッチ把柄を最高回転に設定しブーストを一杯に吹かすので、
     プロペラはエンジンが最高回転をキープできる限界までハイピッチに
     設定されます。このときプロペラは強大な空気抵抗に打ち勝って回転する
     ことになりますので、反作用が機体は左に傾ける方向に働きます。

    (2) プロペラの不均衡モーメント(Pファクター)
     機体が迎角を取ると右と左でプロペラブレードの進行に対する大気の
     流入角度が変わるので、相対的に左側のブレードがハイピッチとなり
     機体は左に首を振ります。これは着陸時のアプローチや、離陸直後の
     上昇時に顕著です。

    (3) プロペラ後流が垂直尾翼を叩く(スリップストリーム)
     プロペラから流れ出す気流は捩じれており、この気流が垂直尾翼を
     叩くことによって機体は左に首を振ります。これは機体が低速で飛行
     している時に顕著に出ます。

    (4) ジャイロモーメントの影響(ジャイロスコピック・プレッション)
     これは尾輪式の離陸時に特有の現象です。三点姿勢から尾部を持ち上げる
     ため操縦桿を押し込んで機首を下げると、高速で回転するプロペラの
     効果が機首を左に振る方向に働きます。

    ささき

  8. 誤記訂正。
    (1) 機体は左に傾ける… → 機体「を」左に傾ける、です。
    (2) 相対的に左側の… → 「右側」です。
    (4) プロペラの効果が… プロペラの「ジャイロ」効果です。
    ささき

  9. もひとつ誤記訂正。アプローチ時は機首を下げて降下するのでPファクターは逆に働き、機体は少し(エンジンを絞っているので)「右へ」流れます。
    ささき

  10. 僭越ながら少し補足。

    (1) プロペラの反作用(カウンタートルク)
    >プロペラはエンジンが最高回転をキープできる限界までハイピッチ
    という表現は複数の意味に解釈できるように思いますが、離陸時にピッチ杷柄を最高回転に設定すると、プロペラはローピッチになります。巡航に移ってスロットルを絞った後、ピッチ杷柄で回転を落とすと、プロペラはハイピッチとなります。

    (2) プロペラの不均衡モーメント(Pファクター)
    アプローチ中右向きに働いていたPファクターは、引き起こしを開始して大迎角を作る事によって、再び左機首振りの方向へ働き始めます。ここではプロペラ後流の影響も合わせてかなり大きく左偏するので、右ラダーによる修正が非常に重要になります。着陸ミスで左に外す場合が多いのもこのためです。

    (4) ジャイロモーメントの影響(ジャイロスコピック・プレッション)
    ジャイロ効果が大きく働く例として尾輪式の離陸時が有名ですが、この力はプロペラ機が姿勢を変化させた時にかかります。ラダーによる方向修正の際にも機首上げ・機首下げのモーメントとして働きますし、前輪式・尾輪式を問わず離陸の引き起こしの時には、右機首振りの力が働きます。ただこの時はPファクターによる左機首振りの力の方が強いので、結果的に右ラダーが必要になるわけです。空中においても同じで、例えば左旋回の時には機首上げの力として働きます。

    ささきさん、揚げ足とりのようなレスになってしまってごめんなさい。
    他意はありませんのでお許しを。m(__)m

    MITTU

  11. >MITTSU さん
    いえいえ、私こそ未熟なヒヨコパイロットの癖に知ったようなことを書いてしまいました。
    恒速プロペラの原理については、固定ピッチしか乗ったことがない私には謎なことが多いのです。「最高回転時は低ピッチ」と言いますが、(ものの本によると)ヘリコプタの場合コレクティブを引っ張って上昇する時には「ガバナーによってローターの回転は一定に保たれたままブレードのピッチ角が増して推力が増大する」のですよね?固定翼機の場合でも「プロペラの回転数が一定」ならばピッチは低いより高いほうが推力が強く(これは自明ですよね;フェザーしちゃったら別ですが)、同回転数における出力の違いがブースト圧の差となって現われるのだと理解していたのですが…。
    それともガバナーを「最高回転」にすると、ピッチを立てる余裕がないほどの高回転数によって全馬力が消費されてしまうという事なのでしょうか?しかしプロペラ先端が音速に達すれば意味がないのですから、やはり「ペラ先端が音速ギリギリとなる回転数において、エンジン馬力が供給し得る最大馬力を高ピッチによって推力に変換する」と理解ほうが理に叶っていると思うのですが。
    …うーん、これはヒヨコがゴチャゴチャ言うよりKIYO師匠に聞いたほうが早いかな(汗;)
    ささき


  12. 最初にとりあえず「通説」を書いた今泉です。まず、

    >着艦時に空母が高速航行するかは確証がありません。

    これは、発着甲板上の合成風速で議論すべきですので、強い風が吹いていれば
    母艦自体の速度は小さくても良いですし、無風であれば当然高速で走る必要が
    ありますので、単純に「発着作業時→高速」とする図式には抵抗を感じます(
    すでにこの説は議論が完了したのかもしれませんが)。

    それから、

    >当時のパイロットが着艦に失敗した時、左に逃げる傾向があるから邪魔になる、
    >と言う話を読んだけど。

    や、

    >旧海軍の搭乗員(誰だかは失念)の話によると着艦進入時に左に艦橋があると
    >じゃまに感じるそうです。

    などについては、個々の搭乗員の感覚からすればあり得る話かもしれないです
    ね。ただし、それをしてすぐに艦橋が左舷→右舷とされたとする根拠とするの
    は早計に過ぎる感じがします。ただし、前者に対しては、

    >右回りペラの機体が離陸・着陸時に機首を左に振る

    という理論的裏づけがあるならば、それはそれで

    >左に逃げる傾向があるから邪魔になる

    の説明にはなっているのだと思います(理論的な側面については私は残念な
    がら詳しくないもので)。

    しかしながら、そこまでのことを理由に「左舷→右舷」にしたとする既存の
    資料の説明は、少なくとも私の狭い知識や経験の中に見出すことができませ
    ん。

    当時の航本なりどこかの実験によって、搭乗員の心理的側面や着艦する飛行機
    の左への偏向性の観点から、艦橋の位置を変更したとする説がどこかにあるの
    ならば、そのようなことを示唆する資料を見てみたいと思います。

    私が見たのは、福井静男さんなりあるいは艦艇研究家の著作でして、そこには
    おきまりのような文言(ほぼ私が書いた内容)が並んでおりまして、それを無
    条件で受け入れることを強要する意図を私自身が持っているわけではないです
    が、もし既存の「気流悪化」問題以外のことが当時問題になったかどうかを調
    べるのであれば、最もオーソドックスなのは、やはり当時の航本(もしかした
    ら艦本かもしれないけど)のその手の研究や実験、あるいはその結果などを直
    接調べることかとも思います。

    どんなもんでしょうかね?

    今泉 淳

  13. >>着艦時に空母が高速航行するかは確証がありません。
    >これは、発着甲板上の合成風速で議論すべきですので、
    >単純に「発着作業時→高速」とする図式には抵抗を感じます

    発艦時は合成風速15m/s以上を得る原則ですが,着艦時は15m/s以下のときでも増速しなかったかも知れない,というのが訂正の主旨で,「発着艦時は必ず高速」という意図はありませんでした。
    isi

  14. ゴミです。
    いっそ翔鶴か瑞鶴のどちらかも左舷艦橋にしてしまうべきだったのでは?
    真珠湾の南雲艦隊を上空から見下ろす図がカッコよくなる、それだけの話ですが。
    FIX

  15. 12.少々方向性がずれているように思います。問題になっているのはあくまで多くの空母はなぜ右にあるのかという点です。
    赤城、飛龍の場合は(前後方向の意味で)中央に置こうと思ったら煙突が邪魔なので「止むおえなく」左に艦橋を持ってこざるをえなくなったからで、煙突と一体化する手法を避ければこれしか方法はありません。その上で両艦の艦橋配置が失敗とされた要因は3つに分類されると思います。第1に艦橋が中央部に置かれた点、第2に煙突と同側配置でなくなった点、それから第3に艦橋が左側にある事自体による要因。その中でここで問題になっているのは3番目の点であってこれは旧日本海軍の空母に限らず各国の古今の空母に共通する問題なのです。
    舞弥

  16. ついでに私の「左周回説」について補足すると、パイロット側だけでなく艦側においてもやはり艦橋は右にあった方が便利です。艦橋に陣取るのが艦長か航空長かわかりませんが、右側艦橋なら彼らは左舷方向を見ているだけで周回中の飛行機も飛行甲板上の飛行機も一目瞭然ですが、左艦橋だと360度の回転運動を要求されてしまいます。

    で、たぶんこれも含めて理由は出尽くしていると思います。あと福井静夫氏が先輩造船官に同じ質問をした時の答え「多くの人は右利きなので艦橋が左だとぶつかりそうな気がするから(だったっけ?)」とか万馬券狙いで「みんなそうしているようだからなんとなく、、」を加えればほぼ完璧だと思います。理由は一つでなく複数あってどれも当たりだと思いますよ。
    舞弥

  17. >その中でここで問題になっているのは3番目の点であって

    なるほど、それはわかりました。ただ、最初の質問からそれを見ぬけというのは
    やや苦しいと思います。すなわち、質問者がどこまでのことを把握しているかが
    見えないですから。

    さて、以下日本海軍に一部限定して書きます。

    >ついでに私の「左周回説」について補足すると、パイロット側だけでなく艦側に
    >おいてもやはり艦橋は右にあった方が便利です。艦橋に陣取るのが艦長か航空長
    >かわかりませんが、

    発着艦配置のときのことですよね? 基本的に、艦長は羅針艦橋に位置するのが
    通例でしょう。あと、「航空長」ってのは、大正時代にあった科長配置だった
    と思いますが、これは「飛行長」に変わりまして、発着艦配置の際は飛行長は
    (艦橋のある空母ならば)艦橋後部の発着艦指揮所でしょう。

    >右側艦橋なら彼らは左舷方向を見ているだけで周回中の飛行機も飛行甲板上の
    >飛行機も一目瞭然ですが、左艦橋だと360度の回転運動を要求されてしまい
    >ます。

    ここは私もご教示いただけたら嬉しいのですが、上空で収容を待っている飛行機
    とかは、必ず左舷側で待っているもんなんでしょうか? 私は今まで、艦橋の位置
    にかかわらず、艦の右舷側を通過して艦の前で第一旋回をして、続いて第二旋回、
    第三旋回、第四旋回で着艦パスに乗るもんだと勝手に思っていましたが、右舷に
    艦橋がある艦だと、飛行機が右舷側を通過しないかのように上記は読めるのです
    が、そのような解釈をして構いませんでしょうか?

    >理由は一つでなく複数あってどれも当たりだと思いますよ。

    これはある意味で賛意を表します。ただし、少なくとも日本海軍では、建造中の
    「翔鶴」の工事進捗状況にもかかわらず艦橋の位置を変更したわけですよね。そ
    こには一定の理由がちゃんと存在するわけで、公式にどのような理由があったか
    を論じるのが一義だと思うのです。もちろん、当時の操縦員の感想や福井さんが
    言っていることは当たっているんだとは思いますが、それらを総合的に科学的視
    点から論じた上で、艦橋の位置を変更したのかという議論をすべきではないかと
    (赤城や飛龍を引き合いに出しているのならば)思うのであります。

    元に戻りますが、

    >各国の古今の空母に共通する問題なのです。

    については、なんらかの科学的検証の存在を個人的には期待するものであります。
    今泉 淳

  18. いやいや突っ込み恐れ入ります。航空長云々の部分は私のアバウトな部分が出てしまったもので申し訳ありません。実は私はNIFTYでミッドウェーの6空(だったか?)に関する議論をされていた頃からの今泉さんのファンでして、今回の突っ込みも「あおー来た来た」という感じでにんまりしてしまいました。実は今まで結構、司令官や司令長官の区別とかは今泉さんの目を意識して気をつけていたんですがボロ出しましたね。
    進入時のフライパスについては陸上基地の飛行機が滑走路上空をパスするので艦載機もそうだろうと思ったものなのでたいした根拠はありません。

    >>各国の古今の空母に共通する問題なのです。

    >については、なんらかの科学的検証の存在を個人的には期待するものであります。
    同感ですね。対象を日本空母だけに限らずに広げれば糸口はよりつかみやすいと思います。

    舞弥


  19. >いやいや突っ込み恐れ入ります。

    いやいや、こちらこそ。

    >航空長云々の部分は私のアバウトな部分が出てしまったもので申し訳ありませ
    >ん。

    些細なことだとは思うのですが、常々自分に対してもできる限り正しい用語を
    正しく遣いたいと考えていますので、一応目についたところは、自分の知識が
    間違っているかどうかを他の方に指摘していただきたいという意図も込めて、
    正しいと(自分が)信じる言葉遣いを{する,指摘する}ようにしております。

    航空長云々について書けば、日本人で初めて着艦をした吉良俊一大尉が当時
    鳳翔の航空長だったような話を読んだ記憶もありますね(永石正孝さんの
    本だったかもしれません。事実かどうか確認できませんが)。

    航空科が飛行科にいつ変わったかを調べないと厳密には分かりませんが、航
    空長って名前はそれほど長く続かなかったんじゃないでしょうかね。赤城と
    か加賀に「航空科」がおかれていたかどうか...

    >実は私はNIFTYでミッドウェーの6空(だったか?)に関する議論をされていた
    >頃からの今泉さんのファンでして、今回の突っ込みも「あおー来た来た」という
    >感じでにんまりしてしまいました。

    あー、NIFTYですか? あそこには、2,3年位前に数週間しか顔を出したことは
    なかったはずなんですけどね。そもそも、6空の話題だったかちょっと私も覚
    えがないですし... 十三試艦爆が機動部隊(第三艦隊)に供給された話はし
    たようなおぼろげな覚えはありますが。

    >実は今まで結構、司令官や司令長官の区別とかは今泉さんの目を意識して気を
    >つけていたんですがボロ出しましたね。

    どこぞの掲示板でそのようなことを申した記憶が鮮明にありますが(笑)、
    多くの方に比べて多分私が特殊なんだと思いますね。だって、私は兵器
    とか武器とか全然分からんのですから。(^^;)

    官階についてはそれほど変に扱われることはないですが、職とか配置名
    については人によって随分まちまちですね。

    >進入時のフライパスについては陸上基地の飛行機が滑走路上空をパスするので
    >艦載機もそうだろうと思ったものなのでたいした根拠はありません。

    私にしても、別段公式文書などに基づくものではないので、強い主張をする
    ものではありません。ただ、母艦の艦橋の位置によってどっちを通過するか
    が違っちゃうってのはやや考えにくいもんでして、大田和達也(だったよな)
    さんが丸メカニックに書いた記事には、そんなことまで気にするような記述
    はなかった気がするので(もっとも、赤城とか飛龍に乗組んだことがなけれ
    ば、そんなことを気にすることのないかもしれませんが)。

    だから、私ももうちょっと気にかけて留意してみます。

    >対象を日本空母だけに限らずに広げれば糸口はよりつかみやすいと思います。

    日本海軍が搭乗員の心理的側面まで考えて位置を変更したとは考えにくい
    のですが、もし搭乗員がそのようなことが気になるのであれば、科学的検
    証(後年の別の国であっても)があっても良いように思いますね。

    今泉 淳

  20. 勉強させていただいています。
    ところで、空母に着艦する機体は右舷側前方で第一旋回を
    行なうものなのでしょうか?

    陸上飛行場に降りる機体は滑走路の真上を通過してその延長線上で
    第一旋回し、第二旋回で滑走路の左側を逆行するコースにのり、
    第三旋回、第四旋回を行なって着陸パスに乗るように記憶しております。

    たかつかさ

  21. ↑の件です。私が一応の根拠としているのは、上記のように太田和達也「九七艦攻の操縦法
    と雷・爆撃の秘訣」(丸メカニック No.47 合併号、昭和59年)の記事です。そ
    の記事に依れば、

    「…帰ってきた飛行機隊を水平線上に発見した空母は、艦首を風にたてて収容
    準備にかかる。
    左先頭単梯陣の編隊が、空母の右舷近くを通るころには、艦橋の信号用マス
    トには『航空』(赤字に白丸の長旗)とB旗(赤色の燕尾の方旗)』が揚がってい
    る。(中略) 1番機から順々に誘導コースに入った艦攻は、適当な間隔をとって
    単縦陣となり、反航する空母が左真横にきたところで左旋回し、空母とその後
    方1000メートルに後続する護衛駆逐艦との中間に機種を向け、スピードを殺し
    ながらフラップを降ろす。
    最終の第4旋回点の前から、赤青の指導灯が見えており、ちょうど駆逐艦上
    空で旋回することになる。」

    すなわち、母艦上空で左先頭単梯陣の編隊は、右舷側を通過して各機が第一旋
    回、第二旋回をして単縦陣になり、母艦の真横で第三旋回、駆逐艦上空で第四
    旋回となります。ちなみに、記事には母艦上空での編隊の各機のコースも図示
    してあり、各機が編隊から単縦陣になる際の母艦との位置関係が良く分かりま
    す。逆に、母艦の艦橋の位置がどっちだからどっち舷側を通過、なんてことも
    書いてないのですよね。

    ただ、この記事の記述における「右舷近くを通る」云々も含めて、厳密なこと
    なのかどうかは量りかねる部分があることも事実でして(例えば、母艦上空に
    戻って来たときに常に左先頭単梯陣だったかとか)、正規の誘導コースが「滑
    走路(母艦)の上空」とするほうが、考察としてはある意味で安全かもしれない
    ですね。というのは、考えてみると、母艦と陸上の飛行場で着陸(艦)の流儀に
    違いがあるのもこれまたあまり宜しくない気がしますし(非常に感覚的な解釈・
    表現で、うまくニュアンスが伝わらないかもしれませんが)。

    この種の記述は、あっさり「母艦上空を通過して」なんて書いてあって(こう
    いう記述は確かに多く見られる)、それ以上細かいことは良く分からないので
    すが、たしかに仰るとおり「母艦直上を通過」ととりあえず考えておくのが妥
    当かもしれませんね。というか、大田和さんが書いたものが嘘じゃないにしろ、
    厳密に規定されたものではなくて、あくまでも「一例」的な位置づけで解釈す
    べきかもしれません。

    元々強い主張をするものではないので、先に書きました通り、以後も留意して
    みたいと思います。



    今泉 淳

  22. ↑10 の私の書き込みをもう少し補足します。

    (2) プロペラの不均衡モーメント(Pファクター)
    訂正 大迎角を作る事によって → 迎角を徐々に増やしていく事によって

    迎角が増えるほどPファクターも大きく働きます。引き起こしを開始してから接地するまで、特に失速速度に近い不安定な低速で大きな迎角を作っていく接地直前に、一定ではなく急速に大きくなっていく左機首振りの力を、正確に足を使って修正しながら降りなければならない、という所に難しさがあります。上にも書きましたが、修正をミスした場合は大抵左に外します。右に外せるほど右ラダーを使える操縦者なら、それほどミスをしないからです。(左からの強い横風があったりすると、又状況が違いますが。)

    私はこの設問に関する史料的なところは分からないのですが、飛行機側からの考察をしてみます。

    艦橋と煙突が同じ側にある空母の場合、熱煙を避けるために若干の横風成分がある可能性も含めて、左側にビルのような障害物(艦橋)がある滑走路に右からの風で降りるよりも、左からの風で右に障害物がある滑走路の方が、万一の場合を考えても、操縦者にとっては幾分使いやすいのではないかと思います。

    それと第一旋回についてですが、陸上の空港なら地上目標によって第一旋回開始のタイミングがつかめるのですが、海上では母艦しか目標がありません。真上を通過しようとした場合、はるか手前で母艦が自機のカウリングの下に隠れてしまい、その後は第一旋回を終了する位置まで母艦が見えません。ですから左向きにパターンを作るなら、母艦の右舷側にコースをとって、目標を左側に視認しながら行うのが自然ではないかと思います。

    この場合、右舷に艦橋があってもやはり360度の見張りが必要になりますが、着艦する機体が第一旋回を終えた後、パターンを回ってファイナルから着艦するまでの重要な部分を、艦橋から飛行甲板と同じ側に視認出来るのは、大きなメリットだと思います。

    MITTU

  23. >11
    ささきさん、どうもです。(^_^)

    ここの設問から少し外れますが、恒速プロペラについて。
    恒速プロペラのピッチは、車や自転車の変速に似ています。発進や加速などの大きな力を必要とする時は、効率良く力の伝わる低いギア(ローピッチ)、高速で安定走行する時には高いギア(ハイピッチ)を使います。
    固定ピッチの機体の場合、スロットルでエンジンの回転数をコントロールしますが、恒速プロペラの場合はスロットルでマニフォールド圧(ブースト)、ピッチレバーで回転数をコントロールします。そして、それぞれの回転数に対するマニフォールド圧の制限が、機種によって定められています。

    例えば、エンジン2300回転の時のマニフォールド圧制限23インチの機体が、2300回転の20インチで飛行中の場合。ここからスロットルを足してマニフォールド圧を23インチまで上げると、回転数はそのままでピッチだけが高くなり、速度が増加します。しかし更にスロットルを足して25インチまで上げると、回転数を保つためにピッチが増大しますが、プロペラの抗力が大きくなりすぎて逆に効率が落ち、しかもエンジンにダメージを与えてしまいます。ですからパワーを大きく足す時には、スロットルに先立ってピッチレバーを高回転(ローピッチ)に調整する必要があるのです。

    戦闘機(に限らないと思いますが)の空戦前諸元に、増槽の投下や機銃の装填と並んで「プロペラ低ピッチ固定」という項目があるのも、これが理由です。

    ヘリコプターについては、幾分事情が違うようです。ヘリ出身のパイロットから、初めて恒速プロペラの機体の同乗訓練を受けた時、ヘリの発想で離陸前にピッチレバーをハイピッチの方に入れようとしてしまった、という体験談を聞いた事があるのですが、私はヘリについて無知なのでその理由が解らないのです。ごめんなさい。(^^;)

    MITTU

  24. 「日本空母物語」に翔鶴級の艦橋位置変更に関する技術会議の抄訳
    が掲載されています。
    それによれば、赤城の艦橋位置決定と翔鶴級での再変更(左舷から
    右舷)は以下のような理由だそうです。
    赤城の艦橋位置決定について航本から、
    1、発艦には距離が必要だが、着艦には長い距離は不要
    2、発進準備の指揮には中央に艦橋が有った方が好都合
    3、将来、逆着艦を実施する場合有利である。
    という提言があり。赤城改装に先立ち、赤城艦上に実物大の仮設艦
    橋と仮設飛行甲板(前方に延長)を造り、実験を行ったそうです。
    その結果は、特に問題がない。ということで艦橋位置は左舷中央に
    決定された訳です。

    が、就役後に運用した結果、右舷艦橋の加賀と比べて不都合が生じ
    て来たらしく。また、「航空機の急速な発達」により、「着艦距離
    が従来よりも長くなる」事等から、翔鶴級の艦橋の位置は前方の方
    が良いのではないか。という意見が出ています。
    ちなみに、翔鶴級の後は大鳳(級)に以降する予定だったので、艦
    橋位置決定に関する逡巡は取り敢えず建造中の翔鶴級をどうするか
    ということになります。
    で、またまた赤城で、延べ450機程「多種多様」な航空機を用い
    て発着艦実験し同時に横風の影響も調べたそうです。
    その結果、
    着艦は問題ないが、接艦時に接触したのが2機有り(1機海中へ)。
    横風の影響を受け易い(横風の影響を受ける範囲が大きい)。
    という事が判明し。結局、翔鶴級の艦橋位置は途中で右舷側に変更
    になった様です。

    これに関して、情けないことに、先に(赤城改装時)行った実験の
    結果の判定を誤った。とその会議上で指摘されています。

    以上ですが。ここで疑問が‥‥
    煙突は何故右舷側、となったんでしょうか??
    イギリスの模倣?

    takukou

  25. >「日本空母物語」

    これって、福井さんの本ですよね。そうかー、ちゃんと読んでなかった
    なー。ご教示ありがとうございます。家に帰って、読み直してみます。
    今泉 淳

  26. そうです。が、あくまでも上の方で書かれた
    17番の
    >これはある意味で賛意を表します。ただし、少なくとも日本海軍では、建
    >造中の「翔鶴」の工事進捗状況にもかかわらず艦橋の位置を変更したわけ
    >ですよね。そこには一定の理由がちゃんと存在するわけで、公式にどのよ
    >うな理由があったかを論じるのが一義だと思うのです
    の回答でしかありませんで、
    16番の
    >旧日本海軍の空母に限らず各国の古今の空母に共通する問題なので
    す。の回答にはなってません(^^;

    ただ、空母の開祖ともいえる英海軍では色々と実験を行い、アーガ
    スやイーグル、ハーミズ等を建造しており(後者の2艦の運用実績
    は良かったようですから)。当時の我が海軍は、かなり詳細なその
    実験あるいは運用結果を入手して空母の建造に役立てたらしいです
    ので、各国はともかくとして、「古今の空母〜」のルーツは英海軍
    にあるのではないか?という気がします。
    英空母の事情は「世界の艦船」1991/9(だったと思う。特集「イギ
    リスの空母」号)に掲載されており、筆者は当時の航空機の「首振
    り」にも若干ながら言及してます(筈)。

    しかし、左舷煙突、左舷艦橋というのが何故否定されたかは、私の
    及ぶところではありません。
    状況証拠としては、「首振り」なのでしょうが?

    takukou


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