QQCCMMVVGGTT
302 世界の艦船別冊、「日本航空母艦史」によるとミッドウェー海戦後、
航空本部が「短期間に建造できる15500型空母」を提案したが
却下されたとあります。
この航本空母はどのような要目のものだったのでしょうか?
また、検討はどの程度進められたのでしょう?
たかつかさ

  1. 当時、航空本部総務部長だった大西少将の作成した補助航空母艦計画要求概案にあるものだと思いますが、艦戦24、艦攻24、艦偵6を搭載した飛鷹の艦橋煙突デザインを採用し、秋月型駆逐艦の主機を利用した他、他の艤装を極端に切りつめた超戦時仕様の空母案なのですが、コンセプトはあるもののフネ的には詰めの足りない計画だったようです。長門や山城の空母改造試案が出たのもこの時の航空本部です。
    BUN

  2. 便乗質問

    この空母と雲龍型との関連性は無いのでしょうか?

    SUDO

  3. 「航空母艦整備方針ニ関スル意見」ということで出てますね。
    主要要目は既にBUNさんが書かれた通りですが、その他「居住
    区ヲ飛行甲板直下ニ設ケ特ニ通風ヲ良好ナラシムルト同時ニ区内
    ニ於ケル爆弾爆発ノ逃避ニ適セシムルノ外居住諸施設ハ極度ニ簡
    単化ス」とか「居住甲板下ニ一段ノ飛行機格納庫ヲ設ク」などト
    あって、従来の日本海軍の母艦とは随分異なることもわかります。
    なにせ魚雷は原則的に搭載しないし、載せる場合も格納庫の側壁
    に24本格納架を設けるとか、かなり思い切ってますね。ちなみに、
    こいつは昭和17年7月7日付らしいですが、例の戦艦や巡洋艦の
    空母改装の件は、記録としては昭和17年8月ということになって
    いるようです。

    今泉 淳

  4. > この空母と雲龍型との関連性は無いのでしょうか?

    何をもって関連とするかの問題があるように思いますが、この意見書
    は、「今後実施予定ノ商船其ノ他ノ空母ヘノ改装ニ当タリハ本型補助
    空母ニ対スル思想ヲ成ル可ク適用スルヲ適当ト認ム」などとあって、
    雲龍型については語るところが手元の資料にはなく(原文にはもしか
    したら何か有るかもしれないけど)、この空母と雲龍型とでなんらか
    の共通する部分はなくはないと思いますが、直接的な関係がどこにあ
    るかについてはなんとも言い難い気がしますね。

    今泉 淳

  5. 大西案の影響のようなものが見受けられる空母は雲龍型よりも伊吹ではないでしょうか。高角砲の廃止、島型艦橋等多少は大西案を意識した部分もあるのではないでしょうか。

    ただ、日本の空母の脆弱性の本質は乗組員の人数不足だと思います。米空母の日本空母より五割かた多い乗組員数が結果として応急対策の充実に寄与しているのではないでしょうか。
    艦の構造や、飛行甲板の修復手順、訓練が全くなされていなかったこと等も重要ですが、最終的には被弾損傷時に復旧に当たれる人数が無いことが決定的だったのではないでしょうか。
    こうした点で、かなりの極論ではあっても、所詮空母は脆弱なもの、と割り切った大西案はいいところを突いていたように思えます。
    BUN

  6. いやね
    雲龍の建造へ何らかの影響を与えているのだろうかと思ったのですが
    そこらはどうなのかなと

    結局、航本空母のねらいは
    早期に空母戦力の強化をすることなのであって
    その際、個艦性能は切り捨てるって事ですよね

    伊吹は、限定条件下で可能な限りの戦力を詰め込む
    まさに日本的方法論と設計思想を感じます
    つまり、表面的なところは
    簡略化などに影響を感じることがあったとしても
    本質的なところでは、純和風空母なのでは無いでしょうか
    翻って雲龍は
    数量確保により大きな努力をしているように感じます

    性能面で言うなら
    防御構造でも島型環境でも高角砲でもなく
    駆逐艦主機の採用が最大のポイントだと思います
    これはまさに、1隻でも多く造る為では?

    それを思うと
    飛龍の簡略化船体に駆逐艦主機搭載、雲龍型三番艦「葛城」こそ
    航本への艦本からの解答だったのではないかと想像したのですが

    たぶん、また、飛躍しすぎてると思う(;_;)

    SUDO

  7. みなさま回答ありがとうございます。

    ところで、SUDOさんの回答から派生して質問させてほしいのですが、
    雲龍級各艦の工数は飛龍に比してどの程度減少していたのでしょうか?

    どうも日本の空母と言うと工数が多い(特に瑞鶴、翔鶴)
    と言う印象が強いのですが、「戦時空母としては複雑」と言われる
    雲龍級においてはどの程度の工数削減が計られていたのでしょうか。

    たかつかさ

  8. 線図が飛龍と共通である以上、艤装以外の工数は変らないと考えて良いのでは。
    また、艤装面から見ると、各艦ごとに程度は異なりますが、雲龍、天城、葛城あたりまではさほど簡略化はされていない様に見受けられます。笠置以降の艦はかなり角張った戦時色の強い印象を受けます。
    飛行甲板が木甲板でなくなった分は確かに工数削減には寄与していると思いますが、定かではありません。

    おまけ。福井氏の著作集を拾い読みしていたら、以前問題になった補用機について翔鶴型から分解格納ではなく、そのように格納庫自体も設計されていたとの記述を見つけました。
    そうすると雲龍型も補用機搭載スペースを持っていたということになるのかもしれません。


    BUN

  9. 予算要求の基礎となった艦種別単艦金額内訳から数字を拾ってみると(大和、武蔵両艦、翔鶴型が同年度、信濃と雲龍が同年度なので大和と信濃の単艦金額で物価上昇がある程度推測できるとして)
    総額で比較すると、

    大和 98,000,000円 信濃 130,000,000円
    翔鶴 90,850,000円 雲龍 101,175,000円

    小型の雲龍がさほど安い買い物ではないことが推定されると思いますが、船体だけで比較してみると、

    大和 37,596,430円 信濃 50,139,488円
    翔鶴 30,220,297円 雲龍 42,632,879円

    やはり雲龍の単艦金額は戦時量産型の中型空母の価格としてかなり割高な印象を受けます。
    設計の新しい翔鶴型の方が実はコストパフォーマンスが良好で戦時建造に適していた、などという妄想も生まれて来かねませんね。

    やや自信の無いデータですが、御参考まで・・・。

    BUN

  10. ん、ん、ん! どこか不安で自信の無い理由が判った!
    ゴメンナサイ。 この数字、こりゃ多分、大鳳の数字だな。
    別の意味で参考にして下さい。お恥ずかしい。

    いかん、もう寝ます。
    BUN

  11. 雲龍の単艦金額は、恐らく87,039,000円 高いか安いかは明日考えるとして、これで眠れる・・・。
    BUN

  12. 翔鶴型の補用機格納所とされているのは中央エレベーターの左右の部分だけですごく狭いです。具体的な面積は学研の「翔鶴型空母」に載ってました。配置図上で見る限り、特別な補用機格納所があるのは翔鶴型だけでした。
    ハリコフ

  13. みなさま、回答ありがとうございました。
    得られた情報を基にいろいろと考察して、
    また勉強しようと思います。

    たかつかさ


Back