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180 空母の飛行甲板は空母が全速で航行することによって、理論上、例えば使用可能甲板長170メートルが実際何メートルになるか、むずかしい計算をどなたか教えてください。

  1. それは飛行機によって変わると思うので、一般式を出すのはちと無理では?(N)


  2. そうです。無風状態で空母が30ktで走れば離艦する機体への合成速度は一律に+54km/hなんですが、機体の方の加速力や離艦可能速度がまちまちですから、何m延びるかは一概には言えないでしょう。


  3. その機体が離陸できる対気速度まで空母の速度や向かい風まで利用して、飛行甲板上での速度が必要以下でも離陸に必要な対気速度する距離を得ることで「助走」する距離を短縮する訳です。計算というような問題ではありません。BUN


  4. しかし、170mというと、帝国海軍の特設空母のポテンシャルを心配する憂国の士であるのかな?心配無用、大鷹クラスは護衛空母ではなく立派な艦隊型空母ですぞ(計画上では)。BUN


  5. 「海鷹」なんかでも昭和18年中ぐらいまでは戦力として期待していた様ですが。運用的には「大鳳」の様な装甲空母を含む主力機動部隊の後方に置いて、攻撃機を軽荷状態で発艦させ搭載機は少ないけど生存性は高い本隊の装甲空母を補う「艦隊決戦用の補助空母」みたいな思想だったらしいですが。


  6. 機の加速力さえ分かれば甲板上の滑走所要時間が分かり,その間の艦の前進距離分だけ滑走距離が伸びます。しかし加速力は資料にないので推算してみます。速度により変化するはずですが(空気抵抗やプロペラ効率により),簡単のため等加速度とすると 加速度[m/s2]=推力[N]/機体質量[kg]です。が,レシプロ機の推力はデータにないので次の推算をします(この計算が一番怪しい)。速度50m/sで飛行中のプロペラ効率を60%(低速・全開なので低め)と仮定すると推力[N]=0.6×軸出力[W]/50[m/s]です。


  7. 止まっていた機体が甲板前端に達する滑走時間[s]は(2×甲板滑走距離/加速度)の平方根です(等加速度の場合)。したがって飛行機が海面に対し滑走した距離は 甲板滑走距離+艦速[m/s]×平方根(2×滑走距離/加速度) で計算できます。(この距離は機体が甲板を離れてから前端に達するまでの飛行距離も含みます)


  8. 設問の場合,甲板滑走距離170mとし艦速15m/s(29.1kt)とします。零戦は出力940hp(700,540W),総重量2,336kgだと加速力3.60m/s2なので,滑走時間9.7s,実滑走距離は316m。97艦攻は970hp(722,900W),3,700kgで2.34m/s2,加速時間12.0s,実滑走距離351mです。翔鶴クラスで甲板滑走距離220mとすると零戦で11.1s,386m,97艦攻で13.7s,425mです。甲板滑走距離の2倍前後です。


  9. 風もある場合は下の計算式の艦速を「艦速+風速」に置き換えます。ただし通常航海中は艦速+風速=15m/sとなるよう艦速を調節します。風速が15m/sを越える場合は錨泊したまま発艦させることもあります。


  10. ご苦労様です。ところで便乗質問になりますが、合成風力が15m/s以上だとまずい理由があるのでしょうか?


  11. も一つ便乗質問ですが、東京空襲のときB−25がホーネットの甲板から飛びたてたのが信じられないのですが、これについて軽算(?)できますか。


  12. ↑軽算は計算間違いです。


  13. 着艦の時は同条件で着艦できるようなるべく同じ対気速度にすると思いますが,発艦の場合は15m/s以上でも構いません。ただ風が強いか高速航行中でないと必要な合成風速15m/sが得られないので,得られるまで増速します(それ以上でも良いが燃料が無駄になる)。「錨泊したまま発艦」は風が強いと停泊したままで発艦できるという意味で,航行していた艦がわざわざ止まって発艦させるという意味ではありません。


  14. (訂正)下の計算は「既に艦速まで加速した機体」がその後滑走する距離でした。滑走距離は停止→艦速への加速に要する分だけ長いことになります(零戦で+38m,97艦攻では+58m)。これを考慮した「無風状態・停止からの地上滑走に相当する距離」は「L+(Vs+Vw)×(2L/A)^0.5+Vs^2/(2A)」<式2>です(艦速Vs[m/s],向い風速Vw[m/s],甲板滑走距離L[m],加速度A[m/s2])。またプロペラ効率は速度計算の結果50%が妥当そうです。再計算では甲板長170m→零戦で367m,97艦攻で425mです。


  15. (↑B-25)B-25の重量・出力(2基合計,1hp=745Wで換算)を調べ「A=0.5P/50M」<式1>で加速度を計算し(出力:P[W],機体重量M[kg]),ホーネットの甲板長・艦速を調べ,向かい風を推定して<式2>に入れれば計算できます。その値がB-25の離陸滑走距離と大差なければ発艦可能でしょう。


  16. (↑B-25)失速速度まで加速できるか計算する方法もあります。向い風分失速速度は低くなり,最初から艦速分の速度を持ち,滑走による加速量が加わります。さらに飛行甲板から海面までの高度差を(下り坂の自転車と同様)速度に換えられます。滑走と海面すれすれまでの降下により得られる対気速度[m/s]は「Vw+{Vs^2+2Vs(2AL)^0.5+2AL+2GH}^0.5」<式3>です(甲板高:H[m],重力加速度:G=9.806[m/s^2])。これがB-25の失速速度以上なら発艦可能でしょう。



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