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艦隊戦においてレーダー射撃は当たるのか?一定運動している艦隊ならいざ知らず、回避運動している(未来位置がまったく不明)艦隊に対して「レーダー射撃だから命中する」って話は嘘臭い気がするんですが・・・
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- 議論ボードの大和VSアイオワに語られてホヤホヤの議論あり。でも、私もそう思います。
- サボ島沖海戦で古鷹や吹雪が米海軍艦隊のレーダー射撃で沈んでいるし,スリガオ海戦もレーダー射撃の勝利だから,やっぱ当たるんでしょう(投げやり)
- 確かに不規則運動中の目標の未来位置を完全に予測するのは不可能です。遠距離射撃では着弾までの時間が長いから特にそれが言えますね。ただまんざら不可能ではないのは、フネ(特に大型艦)という物が例えばクルマと違って急激な旋回や減速が行えないという特徴があるからだと思います。
- その上でレーダー射撃が有効な理由は、これが測距能力を持ち合わせている点と米軍の「レーダー」が単なる「電探」だけではなく原始的なコンピュータと結びついたレーダーFCSだった点があるのではないかと思います。後者について言うと、測距儀+方位盤の場合よりも測距してから各砲への射撃諸元の伝達までのロスタイムを短縮できるという利点があるように思います。また戦争末期の米海軍においては、随時リアルタイムで各砲に射撃諸元を送って一斉撃ち方によらず独立撃ち方が可能だった形跡もあります。
- 結論として、いずれにせよ命中が期待できない遠距離射撃はともかく実際に勝負が付く?中距離以下の砲戦に於いてはレーダー射撃の御利益は回避運動中の目標に対してもあったのではないかと考えます(偉そうに書いているがほとんど推測/EOS)
- (おまけ)「敵巡洋艦ノ夜間射撃ノ精度ハ、電探関連射撃指揮装置ヲ有スルモノト推定セラレ、約5000ノ射距離ニテ初弾必中。爾後、連続有効弾ヲ得ルニ対シ、我ハ初弾精度、散布界、斉射間隔共ニ著シク劣勢ナリ」(昭和18年7月5日、クラ湾夜戦における駆逐艦「谷風」の戦闘詳報)
- とは、言っても。スリガオ海峡で勝負を決めたのは駆逐艦の雷撃だし。ルンガやサマールでは「修正」が甘いとの評が出てますから、全てをレーダーに頼った場合、電探の固有精度誤差+砲の精度誤差+外部環境から来る誤差をどうやって修正するのか?の問題が有ります。米軍は散布界を投網と同様に捉えて、誤差すら無視する大量投入で補ってますが>コレが装填次第発砲の各個独立射撃になってる、射撃速度の遅い大口径砲では運用(とうか成果)は難しいと愚考します/SUDO
- レーダー射撃でも刻々と進路を変える敵艦の照準は難しいのでは?、根本的に中距離以上の砲撃戦で、互いに至近弾が来る度に回避運動などしていたらレーダー射撃じゃなくても命中弾など出ません(弾丸の飛翔中に目標が進路を変更した時の未来位置計算なんて誘導砲弾じゃないと無理です)、むしろWW2のレーダ射撃の最大の功績は、射撃の正確さより、夜間や視界不良な状態で、光学照準では射撃出来ない距離から、そこそこの命中弾を出せる点で、実績から言ってもこっちのメリットの方が大きかったと思います。(T-SATO)
- まず最初に書いた事の補足ですが、私見として回避運動をする場合に本当に不規則運動が可能だったのかという問題があります。現代のガスタービン艦ならともかく、当時の蒸気タービンでは急激な加速は不可能なので機関を速度は変えられず、またターンを切り返す際に直線運動(に近い)になるのでできるだけ同一方向へのターンを続けたのではないか?あるいは射撃のために進路は出来るだけ変えたくない、という様な理由から、実は回避運動というのは案外予測可能な範囲内で行われるものだったのかもしれない
- という気がしています。またその範囲内なら米軍の射撃指揮装置なら対応可能、
- で逆に日本軍の方位盤では無理とは行かないまでも厳しかったんじゃないかと思います。
- 「修正」ですが
- (ぶつ切れすいません)米軍は基本的にはレーダーないし工学的手段で着弾観測と修正を行っていたはずです。米軍の射撃が「誤差すら無視する大量投入」するような荒っぽいものだったとも思えません。それから米軍の射撃がしばしば初弾から夾差したり命中弾をだして
- 日本側の度肝を抜いているのも事実です(うへえ、やっとなんとか全部書けた/EOS)
- エラク古い話ですが、T字(「てい」が変換できん^^;;)戦法は「進路変更中の艦船には弾を当てれない」という理論を基に編み出されたものでした。このことからもレーダによる敵影の補足はできても、未来位置までの割り出しはできなかったのではないでしょうか?
- ここのリンク集にもある「艦船のページ」(http://avse.bpe.agr.hokudai.ac.jp/~kohta/ship.html)の「方位盤射撃システム」の項目がかなり詳しいのですけど、ここに書いてある的針的速盤(相手の進路と速力を測る)の的針(標的艦の針路)計測では、旋回している敵艦の未来位置を円運動の終点として計算出来るのでしょうか?、なんか直線どして計算しちゃう様な気もするのですけど・・・(あれ、質問だな?/T-SATO)
- 的針的速盤は測距した時点での「敵艦速」「敵艦の進路」がわかるだけです。つまり、次の瞬間敵艦が更に10°変針した場合等はまた最初から測り直しとなります。(もちろん測距側が敵艦の変針に気づいた場合のみ)よって、この装置での未来位置予想はあくまで測った時点のまま敵艦が航行した場合のみ有功となります。
- ↑(補足)単純に一定の円運動してるだけならば、予測はできます。(当たり前ですね^^;;)
- なろほど、これでは直線運動の目標にしか対応できませんね。
- 修正の件ですが、遠距離で水柱を見分けることが出来るのかってのも有ります、大抵は友軍の水柱も林立するし、例の乱射ではフィードバックは困難でしょう。基本的に公算射方は定められたタイミングで発砲する事で、弾着タイミングを制御し、結果として弾着観測を行いやすくし、観測結果から射撃緒元を修正する方法です、一次データを光学にするか電探測距にするかを別にすれば、両者は基本的に同じです。ならば、定まったタイミングで射撃しないかぎり、適正な修正は困難になります、反対に言うならば、弾着観測さえできるなら、別にレーダーなんぞ無くても全然構わないのです>陸戦では地図と無線機で射撃しますよね、誰かが観測して、その結果を砲に伝えれば良いのです、WW2での米軍の射撃は「夾叉」したアトに行う弾丸の大量投入をハナから行ってます、これは弾着観測をしていない、つまり修正もしていないことの状況証拠だと思います/SUDO
- 「修正」ですが、米軍の場合レーダーと光学的手段を併用して水柱観測を行っています。初期(1942年頃)は水上レーダーで距離と方位を測定した目標を目視によって標定後射撃、修正は測的手による目視。その後方位盤とセットになった射撃用レーダー(例えばアイオワ級でいえば主砲射撃用のMk38方位盤についたMk8、5インチ砲用のMk37についたMk27)が実用化されて着弾修正に威力を発揮しました。もちろんこの時点でも目視は併用されていますが、米軍の戦闘記録を見る限り多くの場合レーダーの方が有効だったようです。
- 射撃レーダーが光学的手段による
- レーダー観測が有利な点は、気象や昼夜に左右されないこと、遠距離での確実度が高いこと、自艦や目標の発砲煙等に影響されないこと等が挙げられます。「集中射」の問題はレーダー射撃であるかどうかに関係なく起きる問題ですが、米軍が光学的手段も併用している理由の一つもそれではないかと思っています。それから米軍の射撃速度が日本軍のそれより速かった事は明白ですが「乱射」は余りに不適当な表現です。記録を見る限りでは、一般的に米軍の射撃は日本より正確です(EOS)
- 問題の「回避運動に対する射撃」に関してですが、従来の方位盤射撃が「目標と自艦が等速直線運動をしている場合のみ有効」だとして、では米軍のレーダー管制射撃がどうだったのかというとまだよく分かりません。どうやら距離、的針、的測、自艦の運動値のデータの他に、目標を指向する射撃レーダー付射撃盤の旋回速度の変化率を入力する事によってより正確な未来位置の予測が可能、といったところらしいのですが(EOS)
- ん?「単純な円運動なら可能」、、、、確かにそうですね(よく読めよ俺/EOS)
- 乱射を「適当にばらまいて」との意味で使ったのでは有りません、一般の公算射方で行われる、慎重な観測を併用する射撃に対して、タイミング合わせも無しに流れ作業的な射撃で有ることから「乱射」と書きました、確かに不適切な表現かもしれません、すいませんです/SUDO
- でもって、修正ですが、先に述べたように、なんらかのカタチで射撃>観測の時間を交えないと、十分な修正は難しいと思います、ましてや夜間では観測ソノモノが不可能でしょう、こうなるとレーダーとFCSが表示する数値に従って、盲目的に弾丸を撒くコトになると思います>勿論、光学観測が不可能な状況での戦闘能力には絶大な効果があるモノですが、光学照準に基づく公算射方が相対値を求めていくモノであるのに対して、絶対値追求型のフィードバックレスが中遠距離で有効な武器になるとは思いがたいのも事実です。ベストは電探+フィードバックなんだけど、データ流し込みの「連射」では先に述べたように「不可能」です>いつの、どの緒元に基づく水柱がどの結果をもたらしたのかを知るのが不可能ですから>それこそ全部の弾丸の履歴を記録しておかないと難しいですね>コンピュータが必要だ。それが出来ないから斉発と言う方法が使われていたのです、光学観測でも数千mでの戦闘ではフィードバックなんぞ無くても「見えれば」当たります、レーダーはそれを「見えなくても/SUDO
- あ、すまんです、修正中の文章上げちゃいました、最後の数文字が切れてます。「レーダーは「見えなくても」撃てるのが最大の利点だったのでしょう」が最後の一文です/SUDO
- 戦艦級が遠距離でレーダー射撃をした場合、水柱を見分けられるなら「斉発」することで、フィードバックが可能ですから、早期に夾叉を得られるのではないかと思いますし、光学観測よりも有利だとは思います。しかし、単艦でないと水柱の見分けってどうやるんでしょうね?日本軍では色付けてましたが、レーダーだと無意味ですよね、そうなると、1920年代に日本で問題になった射撃集中による観測精度の低下が出てきそうですし>もっとも、そうなっても精度の高いレーダーで「だろかん」射撃が可能なので大きな問題と認識していなかったのかもしれません/SUDO
- 米海軍のレーダー射撃は相対値的な
- 思うに米艦がレーダー射撃で早期に挟差可能な最大の理由は測的能力(特に測距)自体が高いからだと思います。だから初弾も比較的正確でその後の修正も少なくて済む。また修正自体も方位と遠近を同時に修正が容易だから、と(EOS)
- 「的針的速盤」で円運動している敵艦の未来位置を計算できるか,は疑問です。機械式の計算機ですから,計算するには「定常円旋回中の標的の未来位置を,現在の速度・進路・変針率から計算」するカムや歯車装置を製作する必要があります。変針率の測定法が無い上に,90度の変針でも30秒程度で終わり,測的・計算・弾着する頃には直線運動に戻っているでしょう。舵を破壊されて円旋回しつづける敵艦に遭遇したときしか役立たないものを,わざわざ造らないと思います。
- 「相手が見えない状況」というのは案外広い範囲にまたがるようです。もともと光学照準だと光学機器や操作員の能力で大きく左右されますが、例え晴天状況でも(特に遠距離の場合)相手の発射煙やわずかの大気の揺らぎで「見えなく」なってしまう事も多いようです(EOS)
- ↑その瞬間での速度ベクトルの延長線でしか未来位置は予測できない、、、うーんじゃあ最初のが正しかったのか、、、死んだ(EOS)
- 速度より方向だよ、、、、我ながらポカ多すぎ、、、疲れた。修行して出直してきます(EOS)
- 「的針的速盤」「射撃盤」そのものでの回転運動している敵艦の未来位置は測れないかもしれません。しかし、それ以外にも汎用計算機(タイガー計算機等)も積まれてるはずですから、普通の物理計算から未来位置は予測可能です。あとはこのデータを入力すれば各装置での未来位置は予測可能と思われます。(もちろん、こんな場面にあまりお目にかけないと思いますが)
- 下で「的針的速盤に円運動の未来位置計算機構はないだろう」と書きましたが,有りました。「大和型戦艦」(学研)のp.84に射撃盤の概要図があり,的針的速盤のすぐ横に「変角率盤」「変角率修正盤」が有ります。的針的速盤上に上から見た敵艦の体勢が表示されているので,この時間変化により変角率を計算するようです(変角率盤と変角率修正盤の違いはよく分かりませんが)。(↑続く)
- (↑続き)大和の場合,檣楼上に測距儀と一緒に「98式的針・的速測定盤」があり,測定値がここから継続的に的針的速盤へ送られ,的針はリアルタイムで計算されているようです。リアルタイムの的針が分かれば変角率と,円軌道上の未来位置が分かりますね。
- 98式射撃盤の図を見て思ったのですが、「変角率」というのは「変距率」とセットになって「的速」を割り出すために入力するものじゃないでしょうか?つまり変角率というのは的針の変化率ではなく、方位角(自艦と目標の相対角)を左右経過図記録盤の表示に基づいて入力する物ではないかと思います。
- (↑訂正)「方位角(自艦と目標の相対角)」→「方位角(自艦と目標の相対角)の変化率」でした。
- 「計算機屋かく戦えり」って本で、太平洋戦争での日本の射撃指揮装置の機械式計算機について当時の技術者の人が語ってますが、想像以上に高度な代物でした(小学生程度の算数能力の小生では理解不能^^;)。是非、ご一読あれ。(当時の技術屋の人がここの書き込み見たら笑われるかも^^;)(T-SATO)
- 計算尺とかの機械式計算機はどこか神秘的で魅力的なのですが、電卓の登場で一瞬に工業高校の研修過程などからさえ一掃されてしまいました。次元が違うのです。
- でも今の関数電卓で出来る計算は当時での機械式計算機でも出来るんだから、たいしたもんです(でも大きさが段違いだけどね。しかも専用機だし)、まあ電子計算機の時代と比べちゃいけませんって^^m
- というか機械式が今のコンピュータと同じ機能を持つなんて誰もいってないのでは?
- 便乗質問で申し訳ないのですが”計算機屋かく戦えり”は入手入手可能でしょうか。出版社を教えて下さい。
- ↑新しい本だから大きな本屋なら置いてあるでしょう(「著「遠藤 諭」 アスキー出版」です)。ただ、内容は今に至る日本の計算機屋の先駆者達の歴史の本なので、戦時中の射撃盤の話(暗号解読器の話もある)なんかがメインでは無いです(戦時中の話は450ページ中30ページ程度)。まあ、立ち読みでも十分かも。(T-SATO)
- ↑ありがとうございました。さっそく書店で探してみます。
- 回避運動下ではレーダー射撃の方が有利だと思います。回避運動をすれば観測値ははかり直しになるわけで、その場合観測の速度が早いレーダーの方は一定の確率で命中弾を与えられることなるからです。
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