3693 |
3688/7に関する便乗質問です。 基本中の基本かもしれないのですが…。 この二番目の写真で、よく「音速を超えた瞬間」というキャプションを見かけますが、違うという話も聞きます。 実際どっちなんでしょう?そしてこのとき、正しくはいったい何が起こっているのでしょうか? satoski |
- 回答ではありませんが同じようなものをもう一つ
http://www.airswap.com/images/F_A-18-Boom.jpg
masa
- 動画です。
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/ac/jet.mpeg
これを見ると、3688/7の写真で見られるような雲が広がったあとに、さらに円錐形の雲(マッハコーン?)が広がっています。どちらが突破した「瞬間」なのかは私には分かりませんが・・・
YF−23A
- 機体の中でどの部分が最初に音速に達するかと言うと、まず主翼の中央付近の上面が先に音速になりますが
速度を測るピトー管のある機首付近はその後になります。コックピットでは、その瞬間に音速を超えた事が解ります。
機体の局部的に音速を超えたのか、機体全体が音速を超えたのか違いかと思いますが。
jas1
- >3
機体そのものはギリギリ亜音速領域ですが、周辺の気流が一部音速を突破した微妙な瞬間だと聞いています。
一個の固形物ですから、機体の部位ごとに速度が異なると言うことでは無いのではないではないでしょうか。
どうも
- >4
音速の方が部位によって、その場所場所での気体密度に応じて変化するのです。
片
- 音速超えなくても大気の状態で発生する現象に思いますが。
スジ
- 2001 年 8 月サンノゼ・NASA エイムス研究所(旧モフェット海軍基地)のエアショーで F-16 と FA-18 による「音速一歩手前」のデモ飛行を見ました。海沿いのサンノゼは比較的湿度が高いこともあり両機とも見事に「傘をかぶって」いましたが、機体そのものは音速突破していないので衝撃波は聞こえませんでした。
ささき
- >3
機体がすべて気流と平行な面でできているなら、「任意の機体表面部分(正確には境界層の外)における流速=機速」となりますが、実際には機体の膨らみやへこみに沿って遠回りをしなけらばならない部分があり、ここは機速より早い流れになります。また、膨らみに沿って流れようとする気流は、機体と周囲のまっすぐ流れようとする気流との間にはさまれ、ちょうどくびれた管の中を流れるような状態になります。翼上面中央(あるいは最大厚部付近)等はこの経路がもっとも狭い部分に相当しますので最も流速が高くなり、機体全体より先に音速に達することになります。
>4
空気中の音速は密度にほとんど左右されず、ほぼ絶対温度のみによって定まります。
Schump
- すいません。発言引用番号間違えました。
「>3」→「>4」
「>4」→「>5」
です。
Schump
- >機体は音速以下、翼上面中央は音速以上
似たような事を考察している方のHPですが、ここの図7あたりの状況なのではと思います。
http://www.tk.airnet.ne.jp/hari/text/rikei01.html
jas1
- >10で紹介されている議論を踏まえた上ですが。
>1のF-18は確かに主翼上面とコクピット直後で局所的に気流が音速を超えただけだが、
>2のF-14は、向こうから飛んで来るときに上記の状態になって、
真横を通り過ぎるあたりでは機体先端から衝撃波が生じていて、機体全体が音速を超えたのではないかと解釈しています。
便利少尉
- 機体先端というより、機体全体と言った方がいいな。
しかしこれ、ものすごいソニックブームにさらされたでしょうね、見ていた人たちは。
便利少尉
- > そしてこのとき、正しくはいったい何が起こっているのでしょうか?
蛇足になりますが、もう皆さんが説明されているように、機体まわりの流れの少なくとも一部が超音速流になっています。圧縮性流体の超音速流は、亜音速流と違って、広がっていく流管の中で加速します。超音速ジェット機のエンジンの排気口:コンバージェント・ダイバージェントノズルを思いうかべて下さい。広がっていくところで超音速流が加速されるわけです。
>1の写真でキャノピーのところに霧が立っています。キャノピーを機軸方向に切断して断面を見ると、キャノピーの後端の部分がコンバージェント・ダイバージェントノズルの広がっていく部分の下半分に相当するわけです。この部分で超音速流が膨張流れとなり加速されます。
膨張流れは等エントロピー流れですので、空気流に対し以下の式が成立します。
T1(1+0.2M1^2)=T2(1+0.2M2^2)
(T1, T2, M1, M2はそれぞれ1, 2の点に対する絶対温度とマッハ数)
例として1の点で速度M1=1.0、温度T1=300〔K〕(約26.8℃)の流れが膨張流れにより2の点でM2=1.1に加速されたときの温度を式に代入して求めると、
T2=289.8〔K〕(約16.6℃)
となって温度が低下することがわかります。温度低下にともない飽和蒸気圧が低下し、湿潤な空気流中であれば過飽和の水蒸気が凝結して白く見えるわけです。
翼まわりの雲も超音速流の膨張流れによるものです。>10で引用されているHPの図7で超音速流(膨張流れ)のあとに衝撃波が立っています。衝撃波に入ると、マッハ数が低下し、圧力、温度が上昇して霧が消えるわけです。
参考文献:Bill Gunston『Faster than Sound』(Somerset; Patrick Stephens Limited, 1992) p.102. Ray Whitford『Design for Air Combat』(Alexandria VA; Jane’s, second impression, 1989)p.31.
中年受験生