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アスペクト比の高い翼とは通常の翼と違っていったいどういう利点があるのですか? 初歩的な質問で申し訳ありません・・・。 いえね、今日テレビで鳥人間コンテストを見てふと思ったのですが低高度を飛ぶグライダーに何故高高度様のあの細長い翼をつけるのかな〜と思いまして。。。(自分の中では細長い翼は高高度の飛行機につけるものだと思っていたんで。。B-24やTa152の様に) 鳥避け |
- > 高高度様のあの細長い翼を
> 細長い翼は高高度の飛行機につけるものだと思っていたんで。。B-24やTa152の様に)
B-24と同じ高度を飛ぶB-17はアスペクト比が大きくないですし、低空専用のPB4Y-2は非常にアスペクト比が大きいです
ですから「アスペクト比が大きい=高々度用」というわけではありません
セミララ
- セミララさんありがとう御座います。
私もそういうとこが気になっていたんです。
じゃあその違いはいったい何なんでしょう?
一応今までは「まあ羽は羽だしそれでいいんやろうね〜」みたいな感じで軽く考えていたんですが、ふとテレビを見て真剣な表情の学生たちに同情して考えるとかなり気になってきたもので。
鳥避け
- 過去ログ
http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002483.html
SUDO
- 低速機の場合、全抗力Dt、有害抗力Dp、誘導抗力Diとおくと、
Dt=Dp+Di
=KpV^2+Ki/V^2
(Kp,Kiは定数、Vは速度)となって
有害抗力は速度の2乗に比例し、誘導抗力は速度の2乗に反比例します。
人力機のような超低速機の場合は、全抗力中に誘導抗力のしめる割合が大きいので、誘導抗力減少のため高アスペクト比の翼を使います。
中年受験生
- 揚力 L=1/2CLρSV^2
抗力 D=1/2CDρSV^2
CL=揚力係数、CD=抗力係数、ρ=流体密度、S=主翼面積、V=流体速度
ただし
CD=CD0 + CDi
CD0=有害抵抗係数
CDi=誘導抵抗係数
そして
CDi=CL^2/πeAR
π=円周率、e=飛行機効率, AR=アスペクト比
つまり速度、翼面積、流体密度など他のパラメータが同じであれば、同じ揚力を発生させたときアスペクト比の大きな翼のほうが発生する抵抗が少なくなります。速度が高ければ小さな揚力係数でも機体を支えられますが、速度が低ければ大きな揚力係数が必要となるので、アスペクト比の重要性が大きくなることは 4. で中年受験生さんが述べられている通りです。
ささき
- 低空高速機でも強度的に耐えられる限りにおいてアスペクト比が高いほうが有利になるので、エアレーサーでもF1クラスやスポーツクラスの機体には高アスペクト比の設計をとる機種が見られますし、悲劇のアンリミテッド・レーサー「ポンドレーサー」も双ブームによって中間部分を支えることで強度問題を回避して高アスペクト比を実現しています。
ウォーバード改造機では翼を新造せずに翼面積を削減するため翼端カットを行いますが、その一方で翼端にフェンスを設ける等の翼端渦流抑制処置を行ってアスペクト比増大に代えています。
Schump
- 割り込み質問ですが、よろしーでしょうか(^^;
人力飛行機はアスペクト比が30で揚抗比が凡そ30くらい。
グライダーだとアスペクト比が30弱で滑空比が50弱。
ジェット旅客機だとアスペクト比が7〜8あたりで揚抗比が20あたりで、どうしてだろーと思ってたんですが、
>>有害抗力は速度の2乗に比例し、誘導抗力は速度の2乗に反比例します。
が原因と考えでいいんでしょーか?
魚人間
- 失礼しました。自分で勝手に理解しちゃったので、上の書き込みは無視して下さい(汗)
魚人間
- ちなみに、鳥人間に出てくる機体は、揚力では浮きません。
あの主翼形状は地面効果を得るためのものです。
だからプラットフォームよりも高く飛ぶ機体はないのです。
(アスペクト比の話ではありませんが)
私も参加していたことがあるもので・・・。
ぽとまっく
- 皆様回答ありがとう御座います。
ただいま“理解”の“りか”ぐらいまでわかりましたので、“い”まで解るようにもうちょっと読ませていただきます。。。。
鳥避け
- またまたすいません。。。
ということは低高度でも高高度でもアスペクト比というのは、高ければ高いほど良いということでしょうか? それだけ失速しにくいとか?(ここの過去ログで高高度仕様のTa152が低高度仕様のテンペストと超低空戦を展開して勝ったという記述を見たもので。。。。)
鳥避け
- 自分も超初心者なのですが(汗)
飛行機の性能を計る上バロメーターに、揚抗比(つまり発生する揚力を抗力で割った値)というのがあり、これは人力飛行機のような動力が弱い飛行機の場合極めて重要なようです。
例えば、総重量90キロの人力飛行機を飛行させようとしたとき、機体の揚抗比が30だった場合、機体に必要な推力は総重量を揚抗比で割った数字で、この場合おおよそ3キロの推力が必要、と言う事になります。同様に、揚抗比が10だったら必要な推力は9キロ、揚抗比が50だったら推力は1.8キロといったあんばいです。人間は非力ですので、人力飛行機を長時間・長距離飛行させようと思ったら揚抗比は高い方が断然有利になります。
もう皆さん指摘しておられるとうり、アスペクト比の大きな翼は発生させる揚力に対し空気抵抗(誘導抵抗)が少ない。しかも低速飛行機にとって誘導抵抗の総抵抗に対する比率が極めて大きい。アスペクト比を大きくする事は揚抗比を高める良い方法の様です。
よって人力機が強度的に明らかに無理がありそうな高アスペクト翼を持つのは、パイロットの負担を最小限にして(動力機なら燃料消費を最小限にして)飛び続ける為のものと考えていいと思います。
アスペクト比の高い飛行機というのは、高高度性能を追求しているというより、後続距離と燃費を重視している、と考えた方がいいかも、と思います。世界を無着陸・無給油で一周したボイジャーって飛行機のアスペクト比なんか凄いですよー。まるで翼が棒のようです(^^;
魚人間
- 魚人間さんありがとう御座います。
鳥避け
- >12. アスペクト比の高い飛行機というのは、高高度性能を追求しているというより、航続距離と燃費を重視している、と考えた方がいいかも、と思います。
Ju86P, Bv155などは、やはり高高度飛行を目的として高アスペクト比の翼を使っているのだと思います。以下は私の推測です。
高高度飛行を目的とする飛行機になぜ高アスペクト比の機体があるか、ということですが、これらの機体は目標とする高度で十分な出力のエンジンを搭載できないため高アスペクト比の翼を使っているのだと思います。
>4.で示した式を縦軸D横軸Vのグラフに書けば理解しやすいと思います。高度上昇と共に出力の減るエンジンを搭載する飛行機では、全抗力につりあう推力を出せる速度領域が高度上昇と共に狭くなり、最終的に全抗力が最小となるDp=Diの点の前後にまで小さくなってきます。そこでアスペクト比を大きく取れば(もちろん実際はKpも大きくなるでしょうがここでは無視して)、Kiが小さくなりDiを表す曲線が下に移動し、全抗力が低下し、定常飛行できる領域が広がります。けっきょく上昇限度も向上します。
一方Mig-25やSR-71では高高度でも十分なエンジン推力があるので、低アスペクト比の翼を使っているわけです(これはM2.8〜3.2を出すためでもありますが)。
御批判、御教示をお願いします。
中年受験生