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3621 第一次大戦以前、大型の爆撃機や輸送機にも複葉機はありましたよね。
戦闘機なんかと違い、大型機は複葉にする必要はあまりない気がするんですが、何かメリットはあったんでしょうか。
多分、今より速度が遅い当時の機では、大きなペイロードを運ぶのに翼面積を大きくとらなきゃいけなかったのと、翼の材料が今より劣悪なため強度を高める為複葉にせざるをえなかったんだと思ってるんですが、確認する為の資料がありません。よろしければ大型の複葉機について、教えて下さい。
誘導抵抗

  1.  木造骨格+羽布張り構造では主翼の強度、特にねじり強度が確保できなかった事が主要因ではないかと思います。大型単葉機の嚆矢は 1920 年に作られたツェッペリン・シュターケン E.4 四発機(Zeppelin-Staakken E.4/20)だと思いますが、この機体はロールバッハ(Adolf Rohrbach)設計による応力外皮金属構造の主翼を持っていました。

    http://avia.russian.ee/air/germany/zeppelin_e-4.html
    ささき

  2. 解答ありがとうございます。
    ところでちょっと思ったのですが、大きな翼だと重量対揚力の比が悪くなって(体重百キロを超える飛翔動物が、過去の大型翼竜も含めて羽ばたき飛行を捨てた物でもいないのと同じ理屈で)、それで翼を二枚に別けた方がいい……みたいな判断が働いたのもあんたんじゃないかなーと素人考えですが思ったんですけど、そのあたりはどうなんでしょうか。
    誘導抵抗

  3.  確かに「大型ならば翼面積は大きいほど良い」という思い込みのような物もあったようです。強度的には複葉で充分な筈なのに三葉、ときには四葉の機体も試作されています。フォッカー Dr.I のような小型機ならば翼幅を短くしロール運動性を向上するという意味もありましたが、大型機で三葉・四葉にするのは徒に抵抗ばかり増やして揚力にはあまり貢献せず、その殆どが駄作・失敗作となって消えていったようです。
    ささき

  4. えっと、それって『同じ翼面積なら、多葉機の方が軽量で済む』という発想とはちょっと違うんですか?
    誘導抵抗

  5. >4. 多翼機のチャンピオンといえばカプロニ Ca.60 串型三葉飛行艇(1921)でしょうが…ご覧の通り、揚力対重量比とか難しいことを考えて作ったようには見えないです。単に「おっきな飛行機だから、翼も沢山あったほうが良い」と考えたとしか思えません。まぁ、この飛行機は飛べなかった(少し水面から浮いたあとボチャン)ですからネタにしかなりませんが。
    http://www.fortunecity.com/tattooine/farmer/120/houseboat.html

     イギリスのブリストル・ブリーマー重爆(1918)は一次大戦終結によって試作に終わりましたが、大型多葉機として成功した数少ない部類に入ります。手元の本によれば主翼面積 177m^2 に対し乾燥重量 5084kg、全備重量 7484kg(ペイロード 2.4t)、400hp のリバティエンジンをプッシュ/プル形式で4基搭載し 1600hp、翼面荷重は 42Kg/m^2。馬力荷重は 4.6Kg/hp、翼面馬力は 9hp/m^2。これで最高速度 201Km/h です。
    http://www.kheichhorn.de/html/body_bristol_24_braemar.html

     前述のシュターケン E.4 と比較するとこちらは翼面積 106m^2、250hp マイバッハ4基で 1000hp、乾燥重量 8.5t、全備重量 13t とすると翼面荷重 122.6Kg/m^2, 馬力荷重 13Kg/hp、翼面馬力 9.4hp/m^2、最高速度 230Km/h。

     三葉の四発機で 201km/h という数字は立派なものだと思いますが、1.6 倍のパワーを持ちながら一割以上も遅い最高速度しか出せないところで単葉の有利は明らかです。馬力も翼面積も小さなシュターケンのほうが 3t も重いのは単葉だからというより全金属構造だからでしょう。

     おそらく木造羽布張り構造では耐えられる翼面荷重の上限が低く、大型機を作ろうとすると実用上問題があるほど巨大な翼を付けるか、さもなくば多葉にするしかなかったのではないかと思います。そういう意味では「同じ翼面積なら、多葉機の方が軽量で済む」という判断があったのかも知れません。
    ささき

  6. まるほど。親切で細かい説明をどうも有り難うございました。要するに、『金属機を作れないようなら背伸びしてでかい飛行機なんぞ作るな!』って事ですね。参考になりました。お陰様でようやく仕事ができます(謎)

    ところで、串型三葉飛行艇って、実用性はともかくとしてもデザインは結構ユニークで面白いですね(笑)
    誘導抵抗


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