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ベストな状態の誉に二段過給器を取り付けた場合、どれ位の性能向上が見込めるのでしょうか? その性能の推測と簡単な根拠を示してもらえると助かります。 お願いします。 上保 |
- 離昇出力は変わりません。
二段過給器は高空で与圧するためのものですから、
二速全開高度が高くなります。
【NK9H】(一段二速過給器)
1990HP/離昇 3000RPM +500mm
1860HP/1750m 3000RPM +350mm
1625HP/6100m 3000RPM +350mm
【NK9A】(二段二速過給器)
2000HP/離昇 3000RPM +500mm
1880HP/3000m 3000RPM +350mm
1450HP/9300m 3000RPM +350mm
片
- 過給器はブースト圧を上げるための装置ですが、飛行機用のそれは空気の薄くなる上空で出力を維持することが目的であり、地上で全開にさせるとブースト過剰となってエンジンを破壊します。吸気系には過剰なブーストを逃がすリリーフバルブが設けられており、つまり地上付近では過給器は「余分な仕事」をしているわけで、高度が上がるにつれ段々と「余分な仕事」が少なくなります。
余分な仕事がゼロとなる…すなわちリリーフバルブ全閉で全開ブーストが出る高度が「全開高度」です。これ以下の高度では過給器に「余計な仕事」をさせてしている分出力が下がり、これ以上の高度では全開ブーストを維持できずやっぱり出力が低下します。
ターボ過給も三速過給も二段過給も、全開高度の適用範囲を広げる仕組みに他なりません。またハイオク燃料や水噴射機構は全開ブーストの上限を上げるための方法ですが、過給器やエンジン圧縮比をそれに合わせて変化させない限り全開高度における出力は向上しません。ただしそれより低い高度では「余分な仕事」の割合を減らして過給に回せる分だけ出力が向上します。
ささき
- >片さん
細かい突っ込みで申し訳ありませんが、
【NK9H】(一段二速過給器)の1990HP/離昇 3000RPM +500mm
のブースト値は+500mmじゃなくて+400mmじゃありませんでしょうか?(^^;;
P-kun
- パックン、+400mmはNK9H-Bとしての運転制限値です。
出題は「ベストな状態」ですから制限解除してみました。
片
- 回答ありがとうございます。 返信が遅れて申し訳ありません。
NK9Aが二段過給器とのことですが、知りませんでした。
これは試作品?それとも計画のみですか?
それにしても素晴らしい数字ですね。 高度が3000m以上上がって馬力ロスが
200馬力弱で済むのですか?
これがあれば、P51マスタングにも・・・(以下略
上保
- > これは試作品?それとも計画のみですか?
NK9Aは型式記号の最後の「A」から分かるように、当初からNK9シリーズの完成型として開発されていたものですが、試作段階を抜け出すことが出来ず、実戦機に搭載されることはありませんでした。
T216
- >6
「十五試ル号」のNK9Aは二段フルカン過給器で別物です。
1であげたNK9Aは十八試甲戦や天雷改用の「誉改201」または「誉四一型」で、す。
>5
これでも十八試甲戦用としては高空性能が不足するので、酸素噴射で補って1万メートルで1600馬力が出せるようにした「誉四二型」搭載の試製陣風に計画が切り替えられ、さらに最終的に二段三速過給器付「誉四四型」搭載の紫電改をもって代えられています。
四一型は18年4月には試作発動機が完成済み、四四型は終戦間際の20年7月に初号が完成しています。
片
- > 「十五試ル号」のNK9Aは「誉改201」または「誉四一型」のNK9Aとは別物
それは知りませんでした、勉強になります。
T216