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アメリカの戦略爆撃機B52が、あと40〜50年間、第一線で使用される という話は本当なんでしょうか? 金属疲労などの可能性は無いのでしょうか? MTSG |
- 以前に回答したのですが、何処にあるのか出てこない…
とりあえずココの B-52, B-1, B-2, "B-3" を一通り読んでください。必要なことは全部書いてあるはずです。
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/ac/index.html
ささき
- >1
英語わかりません…
ろい
- #3440 です。上の「他ページ選択」から No.590 あたりを引いて当たってみてください。
(しかし、何で番号ズレるんだろ?時間があったら cgi 見直してみよ…)
基本的には B-1, B-2 などの新鋭機のほうが B-52 より先に機体寿命を迎えることが予想されているため、次世代爆撃機が量産配備されるまでの場繋ぎの役割を B-52 には期待されているようです。B-52 は若干設計が古い為少々過剰な強度設計がなされており、また B-1 のように派手な飛行を行わないため疲労の進行が遅いようです。しかも「B-52」と一言で言っても現在残っているのは最終生産型の B-52H だけで、G 型も含めそれ以前の生産タイプは既に退役しています。
ささき
- >金属疲労などの可能性
当然あります。ただし、40〜50年間使うからではなく、機体を運用していれば、ついてまわる話です。だから、定期点検で、X線をあてたり、超音波でき裂発生有無を見ているわけです。
割れが発見されたならば、修理が行われます。また、それが頻発するのであれば、構造に対する補強(全機に対し)も行われるのではないでしょうか?(ただし、コストの絡みがあり、一概には言えない)
また、構造を破壊する終局荷重が大きなものでも、小さな荷重が繰り返し作用し、応力が残留し、ついにはき裂に至るのが、疲労破壊(かなりおおざっぱな説明ですが、針金を一発で折ることはできなくても、何度も曲げを繰り返すと折れるのは、この原理)というものでありますので、安全率を大きくとっていても油断はできません。しかし、これに対しては、たぶん、あくまで経験からの想像ですが、疲労破壊に対する解析プログラムを米空軍が行っているんじゃないかと思われます。
PRCA
- >金属疲労
これは想像なのですが…
B-52の場合飛行時に変形する事を前提として設計されているので、繰返し応力が疲労の蓄積がほとんどない(応力が十分小さい場合疲労は蓄積されないはず)程度に抑えられているのかもしれません。
酔鏡
- >金属疲労
私なんかが、記入することではないのですが、初めての方もおられると思いますので、
鉄以外の金属では、小さな力でも必ず疲労の限界があり、破壊を起こします。
機体において、鉄で出来てない部分は、必ずいつか破壊を起こします。
鉄はと言いますと、何故かは知りませんが、疲労限界と言って、ある荷重以下であれは、破壊しない荷重がありまして、
之以下の荷重であれば、破壊は起こしません。
飛行機でも、重要部分では寿命を決めていて(交換する前提で設計する)、簡単に交換出来るようになっている部分が、あるそうです。
危ない部分だけ、交換しているのではないでしょうか?
交換できない場所で重要な部分に寿命が来たときが、リタイヤのときなのでしょう、
与圧によって掛かる荷重が(有名な日航機の事故原因)、一番始末に終えないはずですから、この辺りの傷が補修できない場所に発見されたときは、
まちがいなくリタイヤになると思います。
青江
- 初めて書き込みさせてもらいます.
>飛行機でも、重要部分では寿命を決めていて(交換する前提で設計する)、簡単に交換出来るようになっている部分が、あるそうです。
寿命を決めている重要部分が寿命になる=>機体寿命です.一般の旅客機等では予圧されている胴体部分,主翼桁が重要部品になります.通常想定されている寿命は2万5千飛行時間とか5万飛行時間です.これは地上=>高空=>地上の1サイクルで1飛行時間となり,その時の応力パターンをGAGパターン(グランド・エア・グランド)といいます.胴体は地上では内外の圧力が等しいため,基本的には応力が生じず,高空では外気圧と予圧の差だけ応力が発生します.材料力学の教科書を見れば書いてありますが半径の大きな円筒に内圧が作用したときの円筒部分に生じる応力(フープ応力)は相当大きなものになります.航空機の場合はそこに窓やらドアやらの切欠きがありますから応力集中によってさらに高い応力になり,そこからき裂が発生します(世界発の実用ジェット旅客機コメット号の事故はアンテナ取付部の穴からき裂が発生・空中分解しました).主翼桁は地上では重力,高空では揚力が作用するので,GAGで上下に曲げ応力が繰り返されます.胴体,主翼桁ともに交換は可能ですが,それはコストとの兼ね合いになり,通常は交換しません(C15の調達機数が減じたためC5の主翼桁を交換し,寿命延長をはかった例もあります).
>疲労限界と言って、ある荷重以下であれは、破壊しない荷重がありまして、之以下の荷重であれば、破壊は起こしません。
疲労限界もしくは疲労限ですね.この場合は一千万回前後の応力繰返しに対して疲労破壊しない応力ですから,数万回の応力繰返しに対する設計では通常は関係ありません.また,疲労限度の状態でもき裂は発生して,その成長が停留しているだけの状態ですから条件によってはき裂が再成長しはじめて破壊を生じます.
>B-52 は若干設計が古い為少々過剰な強度設計がなされており、また B-1 のように派手な飛行を行わないため疲労の進行が遅いようです。
B52の設計年次から考えるとFale Safe設計(損傷箇所を想定し,致命的損傷となる場所に対しては多重構造などを導入する等の設計概念)ですので,重要部分は想定寿命内に統計的なばらつきも含めて疲労破壊しない設計=>少々過剰な強度設計のはずです.一方,B1,B2は損傷許容設計(F111でFale Safe設計では想定していない箇所での疲労損傷事例があったことから導入された設計概念)ですので,重要部分は常に検査をして疲労損傷を計測,モニタリングしているため,B52よりシビアな強度設計となっています.
>疲労破壊に対する解析プログラムを米空軍が行っているんじゃないかと思われます。
自衛隊のF4EJの寿命延長プログラム等もそうですが,少々過剰な強度設計である初期設計値に対して計測される実際の損傷を比較して機体寿命の推定し,寿命の実質的な延長を行っているはずです.
以上,少々長くなりましたが,疲労の研究を生業とする者として気になったので.
Dr.K