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飛行機の水平尾翼について教えてください。 第二次世界大戦時の戦闘機(零戦やBf109など)の水平尾翼は主翼より高い位置に取り付けられていますが、最近の戦闘機(F−15やSu−27など)は主翼より低い位置に取り付けられているのはどうしてなのですか? ブルーヒップ |
- 零戦やBf109は低翼だけどF-15やSu27は高翼だから...かな?
セミララ
- 大きな迎え角を取った時に、主翼の影に尾翼が入ってしまい、操縦困難に陥る事を抑止するためです。
大戦時の飛行機の多くは、#1でセミララさんが述べた様に低翼であり、また細長い主翼なので、尾翼が、主翼の作り出した乱流に飲み込まれにくいので、そのような対処に大して気を使わなくても良かったのです。
現代の航空機はパワーに任せてかなり大きな迎え角で長時間(といっても数分)飛行することも出来、それを前提とした機動も行い、そして主翼はデルタや後退翼で比較的アスペクト比が小さく、尾翼が影響を受けやすいのです。
SUDO
- 時代区分としては「音速以前・以後」とするのがよさそうです。
#音速以前
低翼機が主流になるまで(概ね1930年代中盤)までは主翼との上下関係を特に気にすることはなく、翼間支柱や胴体突起物等からの乱流をかぶらなきゃいいや、ぐらいに考えられていたようです。
単葉、特に引込脚が行き渡ってきて脚強度や視界、内部容積等の点から低翼が好まれるようになり、しかも高速化してくると、主翼からの吹き降ろし流(簡単に言うと揚力発生の反作用として気流が下に曲がる:多くは乱流)にあたって水平尾翼の効きが悪くなる、あるいは空気抵抗が増える、として、主翼より低いか高低差があまりない位置に水平尾翼をつけるのはよくないということになったといわれています。
また、特に戦闘機の場合、機動中や高々度飛行時の大迎角状態で主翼の後ろに水平尾翼が隠れるような状態になると効きが悪くなることも懸念され、当時の機体の推力重量比でとりうる10〜15度くらいまでの迎角まで効きを確保すべく水平尾翼を高くした例(Me109、キ94II等)もあります。
#音速以後
(1)亜音速(約マッハ0.8〜1)で飛行する場合、翼上面に超音速流が生じ、それが減速する点(おおむね最大厚部)に立ち上がる衝撃波より後方の乱流域に翼面を置いても効きが悪くなります。
(2)音速以上では大きな乱流域は生じませんが、主翼上面側の方が流速が高いため、この後ろに水平尾翼を置くと空気抵抗が大きくなります。
これらを避けるためには、水平尾翼を著しく高い位置につける(MiG-15、B727、F-104等)か、主翼より低い位置に水平尾翼をつける(F-100以降多くのジェット戦闘機)ことになります。低翼機ながら水平尾翼に下反角をつけてまで低い位置にしようとしたF-5やSu-15のような例もあります。
最近は、30度を超す大迎角でも水平尾翼が主翼の影に入らないようにして操縦性を良くするために「低い位置につける」ほうが優勢になっています。逆に高い位置に水平尾翼を持つF-104では、迎角制限のために引きすぎた操縦桿を押し戻す装置がついていたりします。
Schump
- ゴミレスになりますが、HiAOAと尾翼の話になったので紹介します。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、F−15で、垂直尾翼が2枚あるのも、HiAOA飛行に関係があります。F−15のように胴体が平らな機体では、HiAOAで飛行した場合、機軸上に垂直尾翼が1枚ある形態では、これに十分な風が当たらず、ヨー安定を図れません。(過去、所属部署の資料を調べた時、このような記述があった。)このため、現在の位置に垂直尾翼を配置するデザインとなりました。(機種によっては、ベントラルフィンを着けるものもある)
PRCA
- >4. ゴミレス。F-8 クルセイダーはカタパルト射出直後の機首上げ時に垂直尾翼が効力を失って方向不安定を起こす事故が多発し、長いベントラルフィン(腹鰭)を付けて対策しましたね。
ささき