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旧日本海軍の「紫電改」には"鋼製"という構想があったと聞きました。 鋼製にするに当たり、工夫した点(どの程度まで構想が進んでいたのかによるでしょうけど)で具体的な話をご存じの方いらっしゃいますか? 勝手な想像ですと「アルミ→鋼による重量増加を如何に構造・形状の工夫で回避するか」だと考えているのですが。 また、その辺の情報が書かれている書籍などご存じの方いらっしゃいませんか? さらに、他の一部機種には木製(疾風など?)も検討されていたと思いますが、代替材として鋼だったり木材だったりと、何か選定理由はあったのですか? 戦闘機同士で、かたや鋼、かたや木材、が なぜ?と思いました。 よろしくお願いします。 Micht |
- > 戦闘機同士で、かたや鋼、かたや木材、が なぜ?と思いました
キ84にも木製機型のキ116の他に鋼製機型のキ113が計画されています。
T216
- > 1.
訂正です。
誤:木製機型のキ116 → 木製機型のキ106
キ116は発動機をハ45からハ112-IIに換装した型でした。
あと調べた限りでは鋼製紫電改は計画のみの存在で、胴体などを鋼製化するつもりだったようです。
計画を含めて海軍機では鋼製機はかなりみられるのに木製機が見られないのは、空技廠が試作していた木製機「明星」がなんだかの影響を与えていたのではないかと想像します。
T216
- 代用材料の採用では、まず木製化が検討され、次に鋼製化が本命となっています。
木製化が鋼製化に移行する大きな理由のひとつには金属製機を木製化する場合、設計変更の度合いが大きく重量も嵩む傾向にあったことが挙げられます。九九練習用爆撃機木製化案=九九式練習用爆撃機二二型(空技廠設計で全木製化したが事実上別機となったもの。この機は「明星」にあらず)や一式陸攻木製化案=結局別機となった「東山」/「大洋」などと終戦間際の第一線機の鋼製機計画を比べるとその事情がわかると思います。
BUN
- 「アルミ→鋼による重量増加を如何に構造・形状の工夫で回避するか」というのはもちろんですが、それ以前に、軽合金ならお手のものの航空機メーカーではあれ、薄板スチールの物理データの持ち合わせがありません。川西では、その辺の整備から始まって、全鋼製機の設計が可能な段階以前に終戦になってしまったようです。
片
- 「木製機は既製機の生産を低下させない為に生産計画が後手に回り、同じく既製機の生産を阻害しないという理由で一流メーカーに木製機計画を担任させなかった事で技術面からも木製化計画は停滞してしまった。今後は一流メーカーと木製機関連技術者の動員に力を入れなければならない。
鋼製化計画は試作は見通しが立つものの特殊鋼そのものが不足している為に量産の目途は全く立たない。」
昭和20年6月時点で陸軍航空本部総務部はこのようにまとめています。
鋼製化計画さえもまた絶望的見通しだったようです。
BUN
- みなさまありがとうございました。
気になっていたことが、ほとんどクリアになりました。
試作のみの事情など残っていないかと思っていたのですが、みなさまよくご存じですね。
鋼製機と木製機の事情、鋼製においては物性の把握不足や資材不足なども、原因のうちにありそう、などなど。
勉強になりました。ありがとうございました。
Micht