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大東亜戦争当時の航空機エンジンの馬力について少々気になる事があります。 ソースが手元になくて恐縮ですが、私が以前読んだ特攻隊の生き残りの方の本には、(栄と推定されます)「通常は750馬力程度が限界で、1100馬力を出せるのは10分間(?ちょっとうろ覚え)程度。」と記述がありました。 要するにここで皆さんが言われている栄1100馬力とか、誉2000馬力とか言うのは、いざ戦闘になったら突入時か離脱時の1回だけ短時間しか使えない限界値だと思うのですが、通常68%しか発揮できなくて、全開10分というのはちょっと酷いと思うのですが、これは精度の問題なのでしょうか? そもそもそういう設計なのでしょうか? 米軍のエンジンはどうなっているのでしょうか? どうも |
- > そもそもそういう設計なのでしょうか?
そういう設計です
日本のエンジンでは、高力、公称、常用最大等の段階があり、高力状態は忘れましたが、公称出力では30分制限が付きます(常用最大は連続運転可能)
つまり、常用最大の回転数、ブーストに設定すると、その状態をずっと続けられますが、公称状態の回転数、ブーストを設定すると、その状態を30分しか続けてはならないという制限があるのです
> 米軍のエンジンはどうなっているのでしょうか?
アメリカのエンジンの場合、"War Emergency(5分制限)"、Military(30分制限)、Normal(連続運転可)等といった段階があります
> 全開10分というのはちょっと酷いと思うのですが
自動車のエンジンでは、全開で10分間回る前にエンジンがダメになるでしょうね
セミララ
- なるほど。
思いっきり簡単に言うと、エンジン本来の性能は750馬力で、一時的に加給圧や空然比を高めて無茶をさせれば1100馬力出せるよって言うことでよいのでしょうか? 高力というのはさらに目一杯無理させればそれぐらいは何とか出せるよってことですよね?
それにしても30分なのに10分ってやっぱ酷くないですか?
30分要求されてるなら、設計では300分以上のマージン取るはずです。
(30分の性能しかなかったら本当に30分で壊れる。)
どうも
- > それにしても30分なのに10分ってやっぱ酷くないですか?
これって、"1100馬力を出せるのは10分間(?ちょっとうろ覚え)程度"と"公称出力は30分制限"という事から仰っているのだと思いますが、1100馬力というのは、公称出力ではなく高力状態での出力です
> 30分要求されてるなら、設計では300分以上のマージン取るはずです
そうなの? そこまでやるとは思えないのですが...
それでも、軍用エンジンなので30分ちょうどでダメになる、という事はないと思います
セミララ
- 零戦32型以降に主要された栄21型は、離昇、公称、常用の3モードがあり、それぞれブースト圧と回転数を制限します。
一般に言う最大出力は離昇出力で(栄21型だと1130馬力)名前のとおり離陸時に使う瞬間最大性能。
公称とは米軍で言うミリタリーモードに相当します(栄21型ですと低空1100馬力、高空980馬力)
よって、10分制限とは離昇モードでの話では無いでしょうか。また大戦末期には米軍の緊急出力に相当するようなモードが存在したかもしれません。
SUDO
- 離昇は「1分間出力条件」ではなかったでしたっけ。
発動機の耐久試験では、1分間出力条件のもとで5分間連続運転し、それを間歇的に数回繰り返すというふうにテストして実用性を確認しました。
30分間出力条件である公称運転での耐久試験は300時間くらい行います。
片
- >1 「自動車のエンジンでは、全開で10分間回る前にエンジンがダメになるでしょうね。」
…自動車のエンジンはそんなに弱くは無いです。
全開で100hrとか200hrとかの各種耐久確認をするそうです。(市場走行10〜20万km相当??)
その場合の回転数は航空機用の3倍程ですから、単純に考えれば航空機用エンジンの300hrとか600hrに相当する繰り返し入力を受けている筈です。
(工学的には10の7乗回の入力に耐えられれば、疲労破壊は起きないと云う根拠から来ている時間かとも思います。)
そもそも航空機用エンジンに緊急出力等があるのは、過給をしているからそんなモードが設定できるんでしょうね。
車でもターボエンジン等では加速の瞬間だけ過給圧を高めにコントロールしたりしていますが、NAエンジンにはできない芸当です。。。
緊急出力に時間の制約があるのは高温&高圧によるメタル・シリンダー・ピストンリング等の耐久性も問題でしょうが、
過給圧を高くした時の制爆剤に水メタノール等を使用していれば、その容量からも制約があるのでは??と思います。
車のアクセルはもっと安心して踏んでも大丈夫!壊れませんが、免許証が大丈夫では無いでしょうね…
papanambu
- どうもさん
10分と言う時間がどの位の時間か考えてみましたか?
セミララさんが車を引き合いに出されてますが
おっしゃるとおりで、大体10分間も全開で走るシチェーション自体探すのが難しく
長い直線で有名なルマンのユーノディエールでも6km
レースマシンなら全開で1分ちょっと、乗用車でも2分くらいでしょう
車の世界の例が適当かどうかは分かりませんが。
空戦の間で緊急出力を使うのはまぁ状況にもよるとおもいますが
10分連続で緊急出力を使う状況はあまり無いと思われます、
といいますか10分って結構長いですよ。
ちなみに敵に追われて(追って)全開、時速600kmで飛んだとします
10分すると100km飛んでます。
これをどう考えます?さあ実際にこんなに深追いするものなのでしょうか、。
3号電探
- 補足訂正(ちょい話題それるので半分ゴミとして・・)
確かに普通の車が10分全開でエンジンブローは無いとは思います。。
がレースマシン、どうなんでしょう。10分全開、場所自体無いですから
インディ500でさえ今はコーナー部全開で回れないようですし。
3号電探
- > #4 SUDOさん
> また大戦末期には米軍の緊急出力に相当するようなモードが存在したかもしれません。
金星43型等は、常用、公称、高力の定義が、それぞれ地上(高度0m)と全開高度での値が載っているのですが、金星62型等は、高力が消えて高力の高度0mに相当する離昇のみとなっています
って事は、昔は存在した"米軍の緊急出力に相当するようなモード"が、途中から無くなったのかもしれません
> #5 片さん
> 離昇は「1分間出力条件」ではなかったでしたっけ。
何種類かエンジンの資料を見ただけですが(陸軍機の資料だけですが)、離昇出力での制限時間はエンジンによっても、また地上と高空(全開高度?)によっても違っているみたいです
> #6 papanambuさん
> …自動車のエンジンはそんなに弱くは無いです。
> 全開で100hrとか200hrとかの各種耐久確認をするそうです。
う〜ん、それってブーストも全開で100hやら200hやらやるのでしょうか
例えば、回転数を8000rpm、ブーストを+2.5kg/cuにして、その状況で100hや200hなのでしょうか
どうも車の場合、アクセルペダルをめいいっぱい踏んでいても、回転数はそれなりの値にはなるが、ブーストは全然、という思い込みがあるので...
セミララ
- 過去ログで「末期の日本陸海軍機は、離昇出力に相当する運転を連続で10分間使えるようにチューニングされていた」というレスを見ました。米軍がテストした零戦五二型(栄三一甲型搭載)も「戦闘時緊急出力」での性能が測定されたようです。高度三千m弱で1210馬力、この時の上昇率は3340フィート/分であったと。主計器板の左端にある銀色の丸いノブが離昇運転用のレバーなんだそうです。
フッフール
- >9
海軍の栄の取説上の使用制限では、離昇運転は使用限度「1分以内」の規定です。
片
- > 例えば、回転数を8000rpm、ブーストを+2.5kg/cuにして、その状況で100hや200hなのでしょうか
ターボ時代のF1か、何でもありのチューニングカーでない限り、+2.5も過給することはないと思いますが・・・(^^;
(市販車だと、+0.5〜せいぜい0.9くらいだと思います)
> どうも車の場合、アクセルペダルをめいいっぱい踏んでいても、回転数はそれなりの値にはなるが、ブーストは全然、という思い込みがあるので...
クルマの場合でも、アクセルめいいっぱい踏んでいれば、設定された過給圧までブーストはかかると思います。
勿論、市販のノーマル車で+2.5かかりはしないでしょうけど。
はら
- 発動機の運転制限は後期になると緩和される傾向にあり、取扱説明書上の制限を超えて離昇出力時の運転条件で10分以内といった米軍式の「戦闘馬力」が制式となります。この場合のチューニング条件などが各発動機ごとに定められているのです。この「戦闘馬力」の制定は各機種の性能計測値には反映されていません。
BUN
- >9. 2.5Kgf/cm2 は日本式表記で +1800mmHg ですね。誉の離昇運転でも +400mmHg(0.54Kgf/cm2) が上限とされています。米軍表記では 100inHg, これはもうリノ・エアレースの世界ですね(笑)。V-1670-7 マーリンの緊急運転ブーストは 67inHg(1.3Kgf/cm2)で「5 分以上使うと壊れる」とされており、スロットルレバーの針金を切らなければ使えないようになっています。
ささき
- >10
「計器板左の丸いノブ」は超過ブースト管制把手で、それ自体は瑞星搭載の試作機時代からすでについていたはずです。
米軍の鹵獲機性能計測は、基本的に日本機各機種にすべからく「Takeoff」「Normal」「Military」の3段階で行われており、離昇出力は海面上で、戦闘出力は公称高度付近で試されています。二速過給器の場合は一速公称と、二速公称の両方で。鹵獲機性能測定に関する限り、「Military」の定義は公称高度で離昇条件のブーストをかけることだったのじゃないかな、と思います。
零戦二一型も、離昇940HP、戦闘955HPで測定されていますしね。
片
- あ、失礼。
零戦五二型の場合は、もうひとつ上の緊急出力「War Emerg.」のデータも取られてたんですね。
片
- えーと、その、なんです、要するに云いたかったのは、日本側では公称高度で離昇ブーストかけた数値を「性能」として表していない、ということです。
片
- > #11 片さん
> 海軍の栄の取説上の使用制限では、離昇運転は使用限度「1分以内」の規定です。
ハ26Iとハ102の諸元を見ましたが、離昇出力での制限時間は、地上で30秒、高空で1分でした
> #13 BUNさん
> 離昇出力時の運転条件で10分以内といった米軍式の「戦闘馬力」が制式
米軍のWar Emergency Ratingは、離昇出力より回転数やブーストが上なんです(泣)
> この「戦闘馬力」の制定は各機種の性能計測値には反映されていません。
って事は、最大速力は相変わらず公称出力で測定するということですね
> #14 ささきさん
ロールズ・ロイス マーリンのある型は、15分制限の出力で、ブーストが+31psiです(日本機式では+1604mmHg、自動車式では+2.18kg/cu)
アリソン V-1710のある型では、5分制限のWar Emergency Ratingで、ブーストが100inHgです(日本機式では+1780mmHg、自動車式では+2.42kg/cu)
> #15,16,17 片さん
> 鹵獲機性能測定に関する限り、「Military」の定義は公称高度で離昇条件のブーストをかけることだったのじゃないかな、と思います。
> 零戦二一型も、離昇940HP、戦闘955HPで測定されていますしね。
日本側の栄12型の出力は、離昇940hp、公称950hpですから、日本機エンジンに対するMilitaryは、日本での公称に相当するものではないでしょうか
そしてフッフールさんが挙げられた「高度三千m弱で1210馬力」との事から、日本機エンジンに対するWarEmergencyが、全開高度で離昇状態(回転数・ブースト)をかけるものでしょう
> 公称高度で離昇ブーストかけた
公称高度ではなく、全開高度とした方が宜しいかと思います
以下は、2種類のエンジンの、各状態におけるブーストの値です
御参考までに >all
アリソン V-1710-39 TakeOff-45.5in WarEmergency-56in Military-42in Normal-37.2in
パッカード V-1650-7 TakeOff-61in WarEmergency-67in Military-61in Normal-46in
セミララ
- 要は、三式戦二型のハ140とP-51のマーリンを同馬力の発動機として比較することや、日本側の計測値を米側の計測値とそのまま比較することは難しい、ということでしょう。日本側の運転条件の設定も流動的ですから何がどの条件で何分間と固定して考えるのも注意しなければなりません。
BUN
- >14. ささきさん、ゲージ圧力と絶対圧力がごっちゃになってますよ。
みなと
- >18
いや、もう、いじめんといて下さい。
ちょっとした気の迷いというだけです。
片
- >20. アメリカ式は水銀柱インチ表記の絶対気圧表記(海面高度大気圧で 29.92inHg)、日本式は水銀柱ミリ表記のゲージ気圧表記(海面高度大気圧で 0mm)なんですが、自動車の Kgf/cm2 はどっちが標準なんでしょう…。
ささき
- >22
日本国内で一般的(というか私が知ってる範囲)では、自動車のKgf/cm^2は大気圧を越えた分です。
1kgfは735mmhg相当だそうです。
よって
水銀柱740mmhg(大気圧)は
日本軍航空機では±0mmhg、自動車では0kgf/cm^2で表記され、大気圧以下では、水銀柱の値を表示するのが一般的です。
よって#14の+2.5kgf/cm^2
絶対値2577mmhg 日本軍式では+1837.5mmhg 米式104inになります。
また#14の100inHgは絶対値1780mmhgですから、日本軍式では+1040mmhg、自動車式では+1.4kgf/cm^2に相当すると思います。
SUDO
- >23
ああ、いけね
>よって#14の+2.5kgf/cm^2
>絶対値2577mmhg 日本軍式では+1837.5mmhg 米式104inになります。
は計算ミス
よって#14の+2.5kgf/cm^2
絶対値2577mmhg 日本軍式では+1837.5mmhg 米式131.4inになります。
米式での計算間違えてました。すんません。
ちなみにこの再計算は、ささきさんの作ったツールによるものです(#23のは電卓で適当)ので、今回、もし計算間違いがあっても、ささきさんに被せます(ぉぃ
SUDO
- 寝ぼけたまま書くのは駄目ですね>私。
#22の
>水銀柱740mmhg(大気圧)は
あほですね、760です・・・。
ああもう、計算は各自でお願い・・・。しくしくしく。
SUDO
- >12
>市販のノーマル車で+2.5かかりはしないでしょうけど
それが、ダイハツのストーリアX4はロールアウト状態で、+2.5かかる個体もあるようです。友人のストーリアは新車の状態で2,5のブーストメータ振り切ってましたが。
Cz75
- 飛行機のエンジンのように、ブースト+2.5kg/cuで30分維持をやってほしいものです
セミララ