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3440 B−52について2つ質問があります。初飛行から50年も経った今でも現役なのはなぜですか?しかもあと40年くらい第一線で活躍するのはなぜですか?タイプが違うとはいえ90年も使える機体は稀有ですね。
ぱるぱる

  1.  試作型 YB-52 の初飛行が 1952 年 4 月 15 日、最後の量産型 B-52H が空軍に納入されたのが 1961 年 5 月 9 日〜1962 年 10 月 26 日だそうです。

     1994 年には B-52G が退役しており、現在空軍に残っているのは B-52H だけのようです。H 型の生産数は 102 機、B-52 全タイプ 744 機のうちわずか 13% を占める数に過ぎません。

    http://www.af.mil/news/factsheets/B_52_Stratofortress.html
    http://www.boeing.com/defense-space/military/b52-strat/b52_50th/timeline.htm

     B-52 はもともと、ソ連との全面核戦争に備えるべく製作された戦略核爆撃機です。本来ならば ICBM の登場によって、または冷戦構造の終結によって不要と化はずの機材でした。しかし B-52 には無給油で 12000Km に達する長大な航続距離と 30t を超える兵器搭載能力という他に類を見ない能力を持っていました。これにより以下のような任務で活路を見出すことになります。

    (1) ALCM(空中発射巡航ミサイル)の発射母機。
     ICBM, SLBM/SLCM を補完するオプションとしてアメリカの核戦争能力維持に貢献。

    (2) 通常爆弾を使用した面制圧爆撃機材による戦術支援機。
     比較的低防御の地上目標に対し圧倒的な破壊力を持つ。ベトナム戦争で有効性を実証。

    (3) レーザー、GPS 誘導爆弾などの精密誘導兵器による戦術支援機。
     航続距離と爆弾搭載量を別の方向性で活かせば、一回の出撃で十数箇所の重要目標を破壊することができる。湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争で有効性を実証。

     現在「世界の警察」を自認するアメリカには、世界のどこにでも即座に制裁攻撃をかけ得る能力を欲しています。それには航空母艦と艦載攻撃機という選択肢もありますが、空母が必ず紛争地帯の近くに居るとは限りません。また海軍にライバル意識を持つ空軍が自らの存在価値を主張する道具としても、B-52 のような長距離重爆撃機は有効です。

     B-52 はその核戦争能力によって存在価値を維持しつつ、精密誘導爆弾や局地戦争・対テロリスト戦争など変わりつつある兵器や世界情勢に合わせて柔軟に運用を変えてきたことが長寿の秘訣だと思います。また B-52 は少々古い設計ゆえ多少過剰に頑丈に設計されており、またその特性上荒っぽい飛び方をしないことも長寿の理由でしょう。

    http://www.fas.org/nuke/guide/usa/bomber/b-52.htm

     B-52 の後継機としては B-58 超音速爆撃機がありましたが、能力を核戦争に特化したが故に他に応用の効かない機材となってしまい、ICBM の実用化とともに退役しました。

     その後「ある程度の汎用性」を備えた高速核爆撃機として可変後退翼を持つ B-1B が開発されました。B-1B はソ連のレーダー網を超低空飛行でくぐり抜け、重要目標を通常ないし核爆弾で破壊することに特化した機体でしたが、
    冷戦構造の崩壊によって存在価値を失いかけています。飛行機としては B-52 より優秀な性能を持ちますが、後退翼機構などによってコスト高となってしまい、機体寿命も B-52 の半分以下です。
    http://www.fas.org/nuke/guide/usa/bomber/b-1b.htm

     B-1 のコンセプトをより発展させた機体としてステルス爆撃機 B-2 が開発されましたが、登場より早く冷戦が終わってしまいました。B-2 は B-52 では侵入できない重防御目標攻撃にも使用できる機材ですが、何せ値段がとんでもなく高価なうえ機体の整備に専用の機材や施設が必要なので、安易には使いづらい機材になっています。
    http://www.fas.org/nuke/guide/usa/bomber/b-2.htm

    >しかもあと40年くらい第一線で活躍するのはなぜですか?
    http://www.fas.org/man/dod-101/sys/ac/b-3.htm

     後継機の B-1 や B-2 が耐用年数の短い機材で、しかも冷戦終結による予算縮小のため生産数は多くなく、その退役時期が 2040 年頃に集中しています。寿命の長い B-52 には次世代の爆撃機が開発量産されるまでの穴埋め的役割が期待されているのでしょう。

    ささき

  2. 端的に言えば、長射程精密誘導兵器の発達によるものです。
    それによって、わざわざ目標に接近して爆弾を投下する必要がなくなり、
    敵の防空圏外から巡航ミサイルを発射して目標を破壊することが
    出来るようになりました。

    そのため、敵のレーダー探知を回避するステルス能力や
    防空戦闘機をかわすための超音速飛行能力は必要ではなくなり、
    ペイロードが爆撃機に求められる第一条件になったのです。
    そのため、B-52が結果として生き残ることになったというわけです。

    ちなみに、有力な防空システムを持っていたユーゴスラビアを
    相手にしたコソボ空爆の際には、
    初期の空爆はB−2によってなされています。
    トマホークでの攻撃では精度及びハードターゲットの破壊能力が
    十分でないと判断されたようです。
    このことからもわかるように、爆撃機の兵力構成は、
    今後どのような敵を相手にすると想定するかによっても
    変わってくると思われます。

    このあたりのことは、近藤重克、梅本哲也編『ブッシュ政権の国防政策』
    (日本国際問題研究所、2002年)の中にある
    「情報RMAと国防変革構想」という章で分析されています。
    ポトマック

  3. お二人が指摘されていないことで自分的に重要だと思うことがあるのでひとこと添えさせていただきます。
    実はB-52のような「大きな搭載量を持った亜音速の爆撃機」の分野では技術的な革新がほとんど起きていないので、今の技術でもB-52とスペック的には大差ないものになる可能性が高いのです(もちろん多少はよくなると思いますが)。
    そのためわざわざ新しい機体を開発するよりB-52を使い続けるほうが安上がりであるという判断が働いたという面もあるものと思われます。
    酔鏡

  4. >3. B-52 と似り寄ったりの新型機を作っても仕方がないので、

    a) もっと大きく (コンベア YB-60)
    b) もっと速く (コンベア B-58, ノースアメリカン XB-70, ロックウェル B-1A)
    c) より高い隠密性(ロックウェル B-1B, ノースロップ B-2)

    など、何か一芸を持った機体が開発されています。ただ、その「芸」も B-52 を置き換えるほどの価値を持たなかったようですね。
    ささき

  5. >4.もっと大きく (コンベア YB-60)
    YB-60はB-36をジェット化したものでB-52にトライアルで敗れた機体ではないですか?
    酔鏡

  6. >5. そうでした。うろ覚えで書いてしまいました(´Д`;)
    ささき


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