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ハリヤーとスキージャンプ式滑走路ですが、過去ログで検索してスキージャンプ台の使用でペイロードが25%かせげ、滑走距離の65%が削減できる事は解ったのですが、その理由がよく解りません。 ハリヤーの場合は推力・重量比が当然1を超えるわけですから、主翼の揚力に頼らなくとも失速して滑走路端からストンと落ちることはないとは思いますが、あの離陸速度ではペイロードを余分に稼げる揚力を主翼が発生してるとは思えません。 私が想像できるのは、空気抵抗増加をもたらす動翼にたよらず機種上げの姿勢を得られる事と、ひょっとしたら排気ノズルの効率が後方に向いた時の方が良い事位なのですが?またこの場合水平・垂直方向の推力の振分はどのくらいで離陸していくのでしょうか? DORA |
- 過去ログの
http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002427.html
の2番目のささきさんの答えが、DORAさんの質問に対する答えにもなると思います。
これを私流に思いっきり乱暴に言い換えると
「加速力があれば放り出してでも浮いたもん勝ち(ただし放り出し時に十分な高度を満たすこと)」
と表現させていただきます。落っこちながらでも加速はできますから。
まぐまぐマグロ
- 飛行機は門外漢ですので、回答になるかどうかは分かりませんが、ブルース・マイルズ著「ハリアー戦闘機」(1982年原書房刊)に次のように記されています。
ハリアーは元来がホバリングできるように設計されているので、翼の揚力で飛行できるようになる速度は、通常の固定翼機よりかなり小さい。そこで、その速度までに加速するまでの時間、空中に留まらせておければよい。このため、イギリス海軍のダグ・テイラー技術少佐が考え出したのがスキー・ジャンプである。上方に放り出されたハリアーが元の発進点まで落下してくる頃には翼の揚力で飛行できる状態にまで加速されていると言うのである。しかも、ハリアーの場合、充分な加速力と失速速度以下での運動能力を有している。
つまり離陸速度が問題なのではなく、落下するまでの時間が稼げるかどうかが問題のようです。水平飛行に遷移するにはジャンプ台の頂点でノズルを水平から下方に約50度向けるだけだそうですが、このノズルの向きを変えるのは空中軌道の頂点でもよいそうです。この場合、傾斜が20度の場合、滑走開始から400メートル先と言うことになります。勾配がない場合の離陸距離が180メートルですので、「滑走距離は2倍になるが、その半分以上は空中にあるのだ」とダグ・テイラーは言っているそうです。
ハリアーは揚力の大きな翼を持っているため、短距離での滑走によりペイロードは垂直上昇より大幅に向上します。具体的には30cmの滑走で3kg、風力が1ノット増えると30kgも増えるそうです。スキー・ジャンプ勾配が20度の場合、滑走距離が半分になり、同一滑走距離での比較では900kgものペイロードの増加が可能だそうです。
なお、艦船に搭載する場合、ピッチングを気にしなくてもよいと言うのも大きな利点だそうです。通常、甲板が3メートル以上上下に運動している状態で固定翼機が発進すると、機体が降下して波に叩かれる恐れがあるそうです。しかし、上向きに20度で放り出された場合、60メートルまで上昇するので、水平に放り出された場合の高度の4倍の高さを稼げるからだそうです。
hush