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T-4 中等練習機のドルフィンスタイル、好きです。でも、エンジンを機体の後ろの方に置いて、大きなエアインテイクダクトでつなげるレイアウトがよく分かりません。 最高速度M0.9だとか500kt以上という数値をよく見かけます。しろうと考え、音速を超えないのなら、あんな大きなエアインテイクダクトはいらないはず、、、でも、飛行条件によっては音速を超えることもあるから付けた、ということなのでしょうか。 ホントはもっと速く飛ばせる、軽攻撃機にする事を考慮してエンジンを後ろに非難させた、カッコ悪くなったら新人勧誘に支障をきたす、、、いろいろ考えてしまいます。 たまげ太 |
- ジェットエンジンの推力は、次の式で表されます。
推力=噴射ガスの質量×噴射ガスの速度×推進効率…@
推進効率=(機体の速度+噴射ガスの速度)/(噴射ガスの速度×2)…A
(ただし、機体の速度≦噴射ガスの速度)
@より、推力を増すには(1)噴射ガスの質量を増やす=空気をたくさん吸入する、(2)噴射ガスの速度を増す=高温燃焼により膨張比を稼ぐ、のふたつのアプローチがあることが分かりります。
しかし、Aから考えると、登載する機体の想定速度に対して噴射ガスが速すぎるのは無駄であり、低速機用には(1)に寄ったエンジン設計を行うのがいいということになります。
そこで、機体の対気速度が同じであれば、空気吸入量を増やすにはエンジン直径(∝エアインテイク断面積)を大きくしてやればいいことになります。
また、Aより、機体の速度に近いところまで噴射ガスの速度を落としてやることができればなおよいので、吸気のうち低速噴射用のファンに回す量(これのエンジンコア(圧縮器〜燃焼器〜タービン)への流入量に対する比を「バイパス比」という)を増やしてやるのも有効です。
ここでT-4用のF3-IHI-30とF-15J用のF100-IHI-220(相当品の同-PW-220)とを比べると、
F3-IHI-30 F100-IHI-220
バイパス比 0.9 0.6
圧縮比 11.3 25.0
直径 0.604m 1.181m
最大静止推力 1.67t 6.618t(A/Bなし)
直径円面積÷推力 0.687 0.662
となり、F3は(1)に寄った、推力のわりにインテイク面積の大きなエンジンであることが分かります(逆にF100の高圧縮比は(2)重視の高速機用エンジンであることの証明)。
さて、T-4のエンジンはエンジンの給気にダクトが邪魔にならないように極力前方に寄せてあり、しかもアフターバーナーがないぶんエンジン本体直後でスッパリとエンジン収納部が終わる構造になっていますね。
インテイクダクト自体も、同級機でもさらに高バイパス比(2.7)のTFE-731を登載したFMA IA63やCASA C-101、AIDC AT-3と比べれば細い部類に入るものです。
Schump
- 早速の解答、ありがとうございます。そう言えば、インテイクダクトのように見える部分には後輪とか収納するんですよねえ。
ただ、いっそのこと、A-6イントルーダーのように主翼あたりにダクトなしでエンジンを置いて引っぱった方が安定性が向上しやしないでしょうか。
でも、そんな練習機は無さそう。、、なぜなんでしょうか。
たまげ太
- >2. 主翼付け根にエンジンを組み込んだ練習機といえば、セスナ T-37 Tweety bird がありますね。並列複座のコクピットも含めて A-6 っぽいです。V尾翼がお洒落なフランスのフーガ・マジステール練習機もエンジン配置は同様ですね。
ささき
- どうも、練習機がレシプロ機からジェット機に移行する時期には、搭載するエンジンも小さく、機体や基本設計の流用などから、エンジンが主翼位置あたりにある機種もあったようですね。
調べてみると、T-37BのJ69-T-25 TJ エンジン長が43.3inch、Alpha Jetのが1187 mm、T-4のがちょっと大きくて1582mmとあったので、性能ほどエンジンのサイズは大きくなってはない(どこからどこまでの長さなのかは?)。
それならば、エンジン位置を前の方においてSTOL性向上をねらってみたり、逆に後ろの方に置いて、なんちゃってホーネットにしてみたり、自由度はもっとあるような気がするのですが。
重ねがさね、アバウトな質問ですみません。
たまげ太
- >4
このクラスの練習機を今パッと航空機年鑑で眺めてみたのですが、ここしばらく作られた練習機は以下のとおりかな。
・BAe ホーク/ボーイング ゴスホーク
・ダッソー/ドルニエ アルファジェット
・K―8 カラコルム
・LAASA IA63パンパ
・アエルマッキ MB339
・アエルマッキ S.211
・CASA C.101 アビオジェット
・AIDC AT―3 自強
・アエロ L―39/―139 アルバトロス
・川崎 T―4
・PZL ミエレツ I―22 イリダ
・MAPO MiG―AT
・ヤコブレフ Yak―130
あと、ちょいと毛色の変わるものとしては
・三星 KTX―2
等がありますが、概ね基本的には浅い後退角/直線翼を使用し、エンジンの大きさや個数でレイアウトそのものは決まっている様ですね、速度性能は比較的遅いものから遷音速性能程度を狙う物までさまざまですが、概ね多国間で採用されるようなもの、評判の良いものはあまり冒険的な設計は行なわないように見受けられます。
まあ、無理をしてSTOL性能を狙う事もなし、T―4なんか700m以下で離陸/着陸が出来ますし、操縦性や安定性が良好で要求性能さえ満たせるなら、STOL性能を追求するとか言うような事は避けるのが普通じゃないでしょうか。
で、エンジン位置なんですが、けっこうバラバラですよ、確かにT―4みたいな配置は多いのですが、もっと後ろに下げてみたりパイプ使ってうまく設計してみたりとね、T―4の場合初期案からいろいろな形を経て結局今の形態に落ち付いたのだと考えて良いんじゃないでしょうか。
ooi
- やっと下がったんで解答できる(笑)
T-4初期原案では、簡易的ながらもオプション付きで対地攻撃可能なようになっていた名残です。前方下部に取り付けるのね。
sorya
- >5
教えていただいた機種を中心に関連ページを見てまわりました。どうもこれらの機の開発には、練習機として、軽攻撃機として、輸出品として、航空機開発技術育成としてなど、いろいろな要素があり、けっこうお国柄とかも出てるような気がしました。
日本の場合、事故や墜落といった事にうるさいので、なかなか冒険的な事は難しいのかな、とチラリと思いました。
>6
そうだったんですか。
そういえば、T-4初期原案のモックアップ写真を一枚だけ見た事があります。
http://www.geocities.jp/syutendoji28110/dolphin03.htm
このなかに武器っぽいものも写っていました。オプションで付けられるという装備がどうのようなのかは分かりませんが、攻撃能力を持たせようとする意志は感じられます。
ところで、”やっと下がった”ってなんのことでしょう。
たまげ太
- 下がったってのは、他ページ選択でやっと見に行ける位置にこの質問が下がったってことです。なお、T-4原案にはPCで言うところのplug&play的な機能も付きそうになったかもしれなかったり。どっちかっていうと分散処理的な付加機能の装備に近いんだけど。だから兵装はFCS付きの航空機よりも高くつきました。専用のコンピュータを積むからね。
sorya