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3351 非常に初歩的な質問ですが、ターボチャージャーは低高度のパワーアップにも効果あるんでしょうか?
たとえば同じエンジン装備のサンダーボルトとヘルキャットでは低高度でのパワーに差はあるんでしょうか?
自動車エンジンをみてるとかなり差がつきそうですがどうでしょうか?
ぽち

  1. 低高度のパワーアップにも効果があるか?と言う事に関して云えば
    自動車の例を御自身で上げておられるように、過給されていればもちろんパワーアップします。
    しかしww2のエンジンはほとんどのエンジンが過給されていますので、この話はすなわち「機械式過給とターボ過給、どっちがパワーがある?」と言う事に集約されると思いますが。
    結論から云えば、機械式過給の方が機械損失があるので多少のパワーロスがありますが、過給圧が同じならほとんど差はないと言っていいと思います。

    サンダーボルトとヘルキャットの低高度のパワーですが、両機がターボ過給器のあるなしだけの違いで「同じ」エンジンか?と言う問題はさておき、
    F6FのR-2800-10Wにも2 段2速機械式過給器は付いているので、過給圧がP47のR-2800-59Wと「同じ」で、59Wがホントに過給機以外は10Wと同じエンジンならば当然ほぼ同じ馬力になります。

    さあR-2800-10WとR-2800-59W、本当に過給器の違うだけのエンジンでしょうか、調べてみましょう(笑
    3号電探

  2.  搭載機 エンジン名 ミリタリー出力@高度 過給機構成

     F6F P&W R-2800-10 2000hp@1000ft、1800hp@18500ft、1650hp@22500ft 1段2速+1段1速
     P-47 P&W R-2800-63 2000hp@1000ft、2000hp@25000ft 1段ターボ+1段1速
    セミララ

  3. >ターボチャージャーは低高度のパワーアップにも効果あるんでしょうか?

    元々過給器は大気圧(高度)自体が大幅に変化する飛行機にこそ必要なものです。
    私の見解では駆動式の加給器のパワーロスは、排気圧タービン式に比べてかなり大きいと思います。自動車の場合は、極低回転からのピックアップが必要ですが(極低回転では排圧が足りずタービンが回らない)、飛行機のエンジンはそんなに回転数を変えないでしょうから、駆動式よりターボの方が良いと思います。パワーを出すためにパワーを使ったのでは元も子も無いですから。
    高高度でパワーを出せるエンジンは、低高度でも同等のパワーを出せると考えて問題ないと思います。セミララ様の出された数値もうなずけますね。
    では何故全部ターボにしないかは問題にされてないので割愛しましょう。

    >たとえば同じエンジン装備のサンダーボルトとヘルキャットでは低高度でのパワーに差はあるんでしょうか?

    (当方飛行機よりもクルマの方が専門です。)圧縮比は高いほど高出力が望めますが、一般論として自動車の場合でも過給器付きのエンジンは過給器なしのエンジンよりも燃焼室容積が大きく、圧縮比が低くなっています。しかし過給器でもともと加圧された混合気が吸入されるわけですから、実際の圧縮比は同等となる訳です。ターボ付きでNA(大気圧加給)と同等の燃焼室容積にすれば良さそうなものですが、異常燃焼の原因となるので限度があるわけです。つまり高高度で2千馬力出せるエンジンでも、低高度では過給圧を抑えなければなりませんので、それより大幅に出力が上がる事はないと思います。あるとすればそれはセッティングが間違っているのです。使用したい高度で、もっともパワーが出るようにセットすべきなのですから。セミララ様のデータで1000ftの値が同じなのはそうした理由でしょう。
    自動車の場合でも同じエンジンであっても、ターボ付きとターボなしとでは内部の部品や、組み付け時のクリアランス(隙間)値は違っているのです。飛行機の場合も使用状況に合わせて同じ系列のエンジンでもかなりの違いがあると想像します。

    >自動車エンジンをみてるとかなり差がつきそうですがどうでしょうか?

    自動車は兵器ではありません。ターボ付きとターボ無しでパワーが同じだったら買う人は嫌でしょう(笑
    あれは差別化なんですよ。既成のエンジンをパワーアップしたいならターボがよろしいでしょうが、ゼロから設計するなら、必ずしもターボが良いとは限りません。
    高度が大して変わらない自動車にとってのターボの利点は、実はエンジンの小型化にこそあるのです。
    ねんど

  4. >本当に過給器の違うだけのエンジンでしょうか
    それは気づかなかったです。なるほど。R2800という名前で同じものと思ってました。
    >(当方飛行機よりもクルマの方が専門です。)圧縮比は高いほど高出力が望めますが、一般論として自動車の場合でも過給器付きのエンジンは過給器なしのエンジンよりも燃焼室容積が大きく、圧縮比が低くなっています。しかし過給器でもともと加圧された混合気が吸入されるわけですから、実際の圧縮比は同等となる訳です。ターボ付きでNA(大気圧加給)と同等の燃焼室容積にすれば良さそうなものですが、異常燃焼の原因となるので限度があるわけです。つまり高高度で2千馬力出せるエンジンでも、低高度では過給圧を抑えなければなりませんので、それより大幅に出力が上がる事はないと思います。あるとすればそれはセッティングが間違っているのです。使用したい高度で、もっともパワーが出るようにセットすべきなのですから。セミララ様のデータで1000ftの値が同じなのはそうした理由でしょう。
    ふんふん、でもそれは「スーパーチャージャーなし、ノーマルアスピレーション」と「スーパーチャージド」のエンジンの比較ですね。ヘルキャットの場合も機械式スーパーチャージャーはついてるのでその例はあてはまらないですね(自分も元バイク屋です)。前にカナダでサイクロン(?)のカッタウェイをみたらターボなしですがピストンの頭はへっこんでました。
    デトネーション対策ですね。
    りょうほうとも「スーパーチャージド」なんですよ。

    なぜこの質問したかというと以前読んだ本で「P47が低高度でのパワーをいかしてうんぬん」という記述の気づいたんです。
    ずっと気にしてなかったんだけど「ほんとにそんなに違いでるんか?」と思ったんです。

    低高度と高高度で加給圧はどんなふうにコントロールしてたんでしょう?機械式ならインペラーの回転速を変えてコントロールしたんですか?「二段二速」とかをそう解釈してますがいいんでしょうか?
    ターボはどうやるんでしょう?エンジン回転数は高度は関係ないような気するし高度に応じてリリーフバルブで加圧コントロールしたんでしょうか?

    ご存知の方お願いします。
    ぽち

  5. 元バイク屋さんでしたか。釈迦に説法でしたね。くどくど失礼しました。

    >ヘルキャットの場合も機械式スーパーチャージャーはついてるのでその例はあてはまらないですね。
    〜りょうほうとも「スーパーチャージド」なんですよ。

    でーあるからこそ1000ftに於ける出力が両方とも同じなんではないでしょうか?もしヘルキャットがNAだったら当然サンダーボルトの方が高出力でしょうけど。
    そして高高度になるほどヘルキャットが不利になるのは、高い過給をかけようとしたときの駆動式のロス分(単純にパワー損失の事ではなくて、ロスを勘案した過給器の選択の違いという事)ではないかと言いたかっただけです。
    実圧縮比の説明はそこまで知ってらっしゃるなら完全に不要でしたね。自動車を引き合いに出されていたので、趣旨を少し誤解しました。失礼しました。
    ねんど

  6. >4. 航空用ターボにはガバナーが付いていて、waste gate と呼ばれるバルブを開閉し排気を逃がして回転数を一定に保っています。

    過給圧(manifold pressure)は別の系統で安定化されています。可変ピッチプロペラ(厳密に言えば恒速プロペラ)の機体ではエンジン回転数をピッチ・レバーによって設定し(これがプロペラ・ガバナー(調速器)に伝わり、ピッチを変化させてエンジン負荷を増減する)、スロットルの開閉によって回転数は変わらずエンジン負荷が増減し、その値は過給圧として現われます。すなわち過給圧の安定系はスロットルに組み込むことが可能です。

    ささき

  7. >3、4
    セミララさんがデータを出されていますが、P-47も機械式過給機が付いてます。
    一段一速がそうですね。
    http://rwebs.net/avhistory/opsman/geturbo/geturbo.htm
    ↑真ん中辺りの断面図に"internalsupercharger"がエンジンにマウントされた図がありますのでご参考に。
    ルージュ

  8. >ルージュ様
    資料有難うございました。英語は読めませんが、図が参考になりました。

    >ささき様

    便乗質問させて下さい。
    何度読んでも私には難解なのですが、飛行機の場合「ピッチレバー」があるという事は、ピッチが任意に決められて、スロットルは自動という事なのでしょうか?私は今までスロットルに合わせてピッチが自動で動くと思っていたのです。それとも「ピッチ・レバー」は「ピッチとレバー」なんでしょうか?
    ルージュ様に教えて頂いた図を見るとキャブレターにスロットルバルブのようなものがありますが、パイロットが直接操作するのはピッチですか?スロットルですか?
    またウェイストゲートは排気圧を検地するレギュレーターによって開閉されているように見えますが、そこから更にブーストコントロールなるレバーのような物があります。まさかパイロットはウェイストゲート(が開閉を始める排気圧値)をコントロールし、スロットルもピッチも自動…なんて事は無いですよね?それともキャブにスロットルバルブなんてはなっから付いてないのでしょうか?

    んー…なんか頭が混乱してきました。
    ねんど

  9. >8.
    ピッチレバーは(名前に反して)プロペラピッチを決めるものではありません。これはガバナーに対してプロペラ回転数を設定するレバーです。パイロットはブースト計を見ながらスロットルを、回転計を見ながらピッチレバーを操作します。

    例えば巡航時 1800rpm/40inHg に設定する場合、まずピッチレバーを引いてプロペラ回転数を 1800rpm に合わせ(このときプロペラピッチは回転抵抗を増大する方向…低→高に動く)、次にスロットルを引いてブーストを 40in に合わせます。

    ここで敵機発見!戦闘出力!というときはピッチレバーを押し込んで最高回転(例えば 2600rpm)に設定します。ピッチは回転抵抗を軽減する方向…高→低に動き、負荷の軽減したエンジンは同ブースト下で回転数を増大します。

    次にパイロットはスロットルを押し込んで戦闘出力(例えば 60inHg)に設定します。エンジンは更に高回転で回ろうとしますが、プロペラガバナーがそれを検出して回転抵抗を増大する方向…低→高にピッチを変化させるため、回転数は変化せずブーストが増大し、高ピッチによるプロペラ効率の向上で推力が増大して機体は加速します。

    ここで敵機が急減速した場合、パイロットはスロットルを引いてブーストを落とします。回転数は落ちそうになりますが、プロペラガバナーがそれを検出し
    回転抵抗を軽減する方向…高→低にピッチを移動させるため、回転数は変化せずブーストが減ります。低ピッチプロペラによってプロペラ効率が低下して推力は低下、プロペラ正面面積増加による空気抵抗増大のブレーキ効果も加わって機体は減速します。

    >ブーストコントロール
    タービンはエンジン側の回転数/ブースト条件と無関係に回っており、しかもかなりの慣性を持っているので、例えばエンジンを急激に絞ったときは空回りして過剰な量の空気を送り込んでしまうことがあるようです。ここで言う「ブーストコントロール」は、過給圧が過剰なときにタービン圧縮気を逃がすバイパス・バルブを制御するものではないでしょうか。

    ささき

  10. >ささき様

    有難うございました。定速と言ってもいつも同じ回転数な訳ではないのですね。
    「ピッチレバーで回転数を設定」の意味が理解できました。

    最後の部分ですが、(クルマの知識ベースですが)タービンの回転数はブーストはともかくエンジン回転数の影響はマトモに受けると思います。いや、EG回転数が上がれば、単位時間あたりに排出される排気ガスは多くなるわけで、一方排気管の太さなどは変わりませんから、流速が増えない限り排気管が破裂してしまいます。排気の流速が増えれば、フライホイル効果による時差はあるでしょうが、当然タービンの回転数も上がります。(回転数が上がれば過給圧も上がります。)模式図を見る限りブーストコントロールはやはりウェイストゲートが開くタイミング(排気の圧力がある一定になったら開放、逆に言えばそこまではブーストが上がる)を制御させている(クルマの場合と同じ)ように思います。ウェイストゲートは排気側をバイパスするものですから、やはりターボの過給圧もパイロットが操作できたのではないでしょうか?
    急激にEG回転を落としたときの吸気側の過剰ブーストは吸気マニフォールドに設けたある一定の圧力で開放する弁(クルマ屋はブローオフバルブと呼びます。)を付ければよいと思うので、特にパイロットによる選択が不要な気がするのです。
    それもこれもあの図の「boostcontrol」がレバーだったらの話ですが。
    ねんど

  11. あ、「ウェイストゲートによって、エンジン回転と無関係にタービンが回るようにしている」と言う事でしたね。
    ねんど

  12. ということはサンダーボルトやライトニングが減速すると「ぱっしゅーん!」と音がするってことですか!なんかすげー燃える!
    ぽち

  13. ゴミですが以前竜ヶ崎に零戦とムスタングを見にいったとき生まれて初めてレシプロ戦闘機の音、ってのを聴いたんです。
    零戦はワーゲンみたいなばさばさ音立ててムスタングはインラインらしいシューンという音立てていたのにすごい感動しました。
    いままで情報を仕入れてた雑誌や戦記じゃ音まではわかんなかったですからね。

    去年護衛艦の5インチ砲の発砲音初めて聴いてやっぱ感動いたしました。「ばちっ」て音でしたよ。

    ほんとにしょーもないゴミでした。
    ぽち

  14. >零戦はワーゲンみたいなばさばさ音立ててムスタングはインラインらしいシューンという音
    インライン(V12)だからじゃなくて、水冷だからじゃないですか?
    便利少尉

  15. >13
    一般に液冷 V12 エンジンの排気管は短く、しかも排気ポートからほぼ等しい長さで開口しているため、これが独特の甲高い爆音を生むようです。空冷星型の場合、分散推力排気管でもカウリング内を引き回してから開口しているため、その取り回しによって爆音の印象が変わるようです。

    またチノの零戦は老齢の栄エンジンをいたわっており、極力低ブースト・低回転で飛ばしているのも「ばさばさした」音になる一因でしょう。

    ささき

  16. 排気管のとりまわしもありますね。なるほど。
    疾風の戦記読んでて単排気管のほうが推力排気管より静かでいい、といった記述があったのを思いだしました。
    ということはターボ付きのエンジンはもっと静かってことですよね?
    ぽち

  17. 理屈から言っても、ターボ付きエンジンの方が排気音が静かです。
    なにしろ排気のエネルギーをタービンで回収しているので、大気中に放出されるエネルギーは、
    ターボ付きの方が低いはずですから。
    実際レーシングカーなんかでは、NAの方が豪快な排気音ですね。
    便利少尉

  18. >分散管と集合管
    確かに同じ R-2800 でも、集合管の F4U-1 と分散管の F6F-3 では爆音が違います。F4U が「ギューン」という感じなら、F6F は「バルルルル」という感じ。

    また、星型 9 気筒の R-1820 を積んだ FM-2 は「プルルルル」という感じの長閑な爆音で飛びます。AT-6 テキサンはプロペラ軸を減速していないのでエンジン回転数の割にプロペラ回転数が高く、ペラ先端が遷音速に達して発する「パゥーン」という騒々しい音が特徴です。

    >排気タービン
    たしかに、P-38 や P-47 は押し殺したようなトーンの低い爆音がしますね。
    ささき

  19. >12
    ぽち様
    飛行機にブローオフがついてるかどうか分かりません。またついていたとしても車のように突然全閉付近になる事もないでしょうか「ぱしゅーん」とはならないと思いますが。誤解なきよう。分かってるとは思いますが念のため。
    ねんど

  20. だいぶ脱線してしまいました。
    また後日違う質問のときおねがいします。
    ありがとうございました。
    ぽち


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