3322 |
よくプロペラの飛行機がエンジンを始動してペラの回転が上がっていく時、回転面にまだらもよう(?)ができて左右に動いたりするのが見えますよね。あれはどのような現象なのでしょうか? まるき |
- 回転が上がっている時にはプロペラの影が逆回転で見え始め、順回転になって消える。(逆かな?)
もう少し経つと、また、逆回転で見え始めるが影の色は薄い。こんな映像ですか。
このプロペラの影が見える時は、プロペラとフィルムのコマ送りの速度がほとんど同期状態に
なっています。 プロペラの動きはムービーカメラのシャッター速度より早いのでプロペラの姿は
見えません。しかし、フィルムの送り速度とプロペラの回転数が整数倍に近くなるとプロペラは
ほとんど止まって見えることになります。少し早かったり遅かったりすると、ゆっくりと順方向や
逆方向に回るように見えることになります。
濃淡が変わるのは、各コマの中で写ってプロペラのブレが大きくなるからでしょう。シャッター
速度次第ですが、このブレのためプロペラとフィルムが完全に同期してもプロペラに書いてある文
字が読めるほどにはなりません。
む
- ありがとうございました!
つまり、フィルム映像でだけおきる現象なわけですね。肉眼で見たときには
どうもちがうなあと、思っていたのですが、疑問が氷解しました。
まるき
- ディスプレーの前で手のひらを開いて左右に振ると同じような現象が見られます。指の残像が見えます。もう少し暑くなったら扇風機で試してみてください。蛍光灯でも見られます。この現象はモアレといったと思います。ひょっとしたら似たような別の現象のことかもしれません。
KM
- つづけてありがとうございます。今、モニタのまえで手をピラピラしたら指が増殖しましたです。…と、いうことは例えばエンジンを起動したとき、天候や光の方向によっては、質問に書いたまだら模様が肉眼でも見えるのでしょうか? 私がプロペラ機に乗ったときは全て雪空の曇天でしたので。引き続き、なにかありましたら、皆様ご教授くださいませ。
まるき
- 試したことがありませんが、高速シャッター付きのビデオカメラでも同様のことが起きると
思います。フィルムもモニターもプロペラの影も光が周期的に変化しています。この「周期的」
な二つの光が同期する事。それがあの映像のキモです。自然光のような連続光では同期するもの
が無いのであの模様はみられません。あれが肉眼で見えるのは、蛍光灯のような放電型の照明が
ある格納庫の中でプロペラを回した場合に限られると思います。
モーター付きのプラモデルで、モーターに可変抵抗をつけてプロペラの回転速度を少し変え
られるようにします。蛍光灯の下でこれを回して速度を変化させると似たような模様が見える
でしょう。
む
- 自然光では起こりません。モニターは静止画でもフィルムがスライドするように画面が切り替わっているので起こります。理屈はうまく説明できません。蛍光灯も交流の周波数の関係で同じような現象が起こるのでしょう。
KM
- 「サンプリング定理」ですね。検索を掛けると色々出て来ます。ちょっと専門的ではあるのですが、興味があればこの単語で検索を掛ければ、解説を読むことが出来ますよ。
桜華雷帝
- ナイキスト周波数(=サンプリング周波数の1/2)以上の高周波成分は再現できない、といったやつですね。
例えば、時計回りに毎秒270度回転しているものを、1秒間に1回サンプリングしたらどうなるかを考えてみてください。
時計の0時の所から始めると、0時→9時→6時→3時…、と反時計回りに毎秒90度で回っているような偽のイメージが生じます。
ちなみにADCなどのサンプリングを行う電子機器では、この手の偽のイメージを排除するため、サンプリング周波数の 1/2 以上の高周波成分をカットするローパスフィルター(=アンチエイリアスフィルター)を前段に設けます。
mikey
- え〜と、この現象は日本語では「ストロボ効果」とよぶことが多いと思います。映像の業界では、「モアレ」は別の意味で使われています。「フリッカー」とよぶものともちがいます。英語ではStroboscopic Effectとよくいいます:
http://mmd.foxtail.com/Archives/Digests/199911/1999.11.30.05.html
定常回転して定常に振動するエンジンのカムなどのタイミングを観測するのに使われたりしたはずです。周波数に同期したストロボ光で照らすと停止して見え、わずかに遅い周波数で発光するストロボ光で照らすと、スローモーション像で見えます。
サンプル定理やナイキスト周波数とは直接関係ありません。(正確にはストロボ効果は完全に定常的な振動でなければ言えば成り立ちませんが、サンプル定理も正確には永久に続く信号でなければ成り立ちませんので、実用上の程度問題です)
豪腕少年タイフーン
- むーん。わしらの世界では、映像であってもエイリアス問題と言ってますけど。
sorya
- >10:soryaさま、レスありがとうございます。「エイリアス問題」とは、映像のどのような問題なのか、とても興味があります。機会がありましたら、具体例などご教授頂ければ幸いに存じます。
1)モアレとは、もともと布を重ねたときに生じる模様のことで、最後のeの上にヒゲがのっているフランス語です。ですから、動画にだけ特有に生じる現象ではなく、一枚の静止画に生じる現象です。たとえば、もあれ柄:
http://www.ebisu3.com/kiji/moaregara/moaregara.html
のような表現からきているのですが、服飾業界は全く知りませんのでどなたか助けてください。転じて、複数の周期的な図形が重なると、新たな模様が生じることをモアレと言うようですので、目で見える数学の演習などに利用されています:
http://www.shirakami.or.jp/~eichan/java/java22/moare.html
映像の業界では、走査線や撮像素子のピッチと周期的な模様の被写体のピッチがずれて、新たな「うねり」が見えることをいうようです。
2)高速で周期的に振動する物体を観察するためには、超高速映画(ビデオ)で、直接スローモーション撮影をするのが王道ですが、超高速で長い時間の観察が難しいのと、強い照明や高感度フィルムが必要なのと、ビデオではまだ高解像度での超高速撮影が難しいのと、リアルタイムでスローモーション像を観察できないことなど、欠点も少なくありません。被写体の振動周波数よりも、少しだけ低い周期のストロボ光で照明すると、リアルタイムでスローモーション像が見えます。この手法を「Stroboscopy」と言いますので、検索していただくと、たくさんの市販品のストロボスコープなどが見つかります。声を出しているときの声帯振動をスローモーションで観察する喉頭ストロボスコープは、各国で色々と売られています。
http://www.laryngograph.com/products/digivid.htm
は、ファイルが大きいですが、超高速撮影とストロボ効果によるストロスコピーの比較やその原理をパワー・ポイントで解説されています。
3)う〜ん。「映像であってもエイリアス問題」って、やはりよくわかりません。動画に特有の問題だと思うのですが、サンプル定理でのエイリアス問題とは、実用になるかどうかの程度問題ですので、ストロボ効果との関連がピンときません。以前、ローパスフィルター(=アンチエイリアスフィルター)をきっちりかけたサンプルを、分析前の窓掛けするのに、窓関数をいじくっていて、ナイキスト周波数以上のパワーを増やしてしまい、とんでもない「エイリアス問題」をおこした前科があるのです。
豪腕少年タイフーン
- ↑の2)のパワーポイントのファイルは:
http://syllabus.syr.edu/SPP/Coltonr/Spp565/VImaging.ppt
にのっていました。上にのせた同じメーカーからも、少し原理のあるコンテンツ:
http://www.laryngograph.com/products/prestrobe.htm
があります。ストロボ効果へのご理解の一助になれば幸いにぞんじます。
豪腕少年タイフーン
- ↑↑の1)何度も自己フォローで申し訳ございません。
とんでもなく間違ったスペルのサイトを紹介してしまいました。ゴメンナサイ!
「モアレ」の語源は仏語で「moiré」ですので:
http://dic.yahoo.co.jp/bin/docsearch?p=snj30995344&check=c&word=moire
英語では「moire」と、ヒゲなしでつづることが多いようです:
http://education.yahoo.com/reference/dictionary/entries/97/m0369750.html
しかしながら、英語圏では「moire」とつづると、上記辞書の発音サンプルのように直接英語式発音をしてしまい、「モアレ」とはかけ離れた発音をされる場合も多いようですので、このように辞書にもあんな発音も載っています。
ちなみに、知ってか知らずにかはわかりませんが、普段「モアレ」と発音している米国人が「moare」と元の発音にあわせたスペルで書いたのを見たことがあります。わざとではなく、単に無知によるスペルの間違いだったのだと思います。(毎度のことながら、大変お騒がせして申し訳ございませんでした)
豪腕少年タイフーン