3307 |
基本的なことで申し訳ありません。 ヘリコプターの、実用上昇限度、ホバリング高度地面効果内、地面効果外とは、それぞれどのような意味でしょうか。 御願いします。 吉野 |
- http://www5b.biglobe.ne.jp/~dmbpilot/sinan06.html
SUDO
- ヘリコプターでも固定翼機でも、実用上昇限度は最大上昇率が100フィート/分(0.5m/s)の時の高度を採ります。 宮田先生の50フィート/分というのは、恐らくタイプミスなのだと思います。 ヘリコプターの場合もやはり最大上昇率を得る前進速度は、高度(大気密度)の上昇に伴い通常緩やかに減少しますが、一般的には90〜60ktといったところでしょうか。 又、ヘリコプターの地面効果(Ground effect)については、ローター径と地面からのローター高さの比こそ重要な変数であるものの、マニュアルに記載する「"ホバリング地面降下内"高度に於ける全備重量値(Gross Weight)グラフ」で言うところの高度は、地表5フィート(5’AGL、地表1.5m)を採る場合が一般的に思えます。 反面、"地面高度外"とは、ローター直径Dより十分大きな (h >1.2D程度) 対地高度h 以上の高度に於ける性能を示し、これは機種により異なった対地高度をもって地面高度外とする場合が多いようです。
みなと
- 高度の上昇(大気密度の減少)、ですね。
みなと
- 2> すみません、噛み砕いてお願いします。
質問者
吉野
- 例えば、ある重量及び大気条件下に於ける実用上昇限度が5000m、ホバリング高度地面効果内3000m、ホバリング高度地面効果外1800mの機体があったとします。 実用上昇限度5000mとは、高度に伴い減少してゆく上昇率の数値が、高度5000mで最大上昇率100ft/minであったということ、この最大上昇率を得る為の対気速度(前進速度)は機種固有ながら概ね60〜90ノットの範囲にある場合が多い、
また、前進速度ゼロのホバリングについて、地面効果外(地面から十分遠い)であるなら1800m高度までしかホバリング出来ない(これ以上の高度ではエンジン出力がホバリングの所要馬力に満たない)にも関わらず、山岳地帯等、高度3000m弱の高地まで、地面効果が十分作用する対地高度(通常、対地高度1.5mに於ける性能で表示)内であればホバリングを維持できる、ということです。
みなと
- もうすこし簡単に
(みなとさん、間違いがあったらビシビシ指摘して下さい。)
「実用上昇限度」
航空機が上昇を続け「最大上昇限度」に近づくと、まだ上昇は可能なもののそれ以上の上昇に多くの時間がかかるようになり、より高い高度でその航空機を運用することが実用的でなくなります。航空機が、まだ実用的な上昇力(100フィート/分)を維持できる最高高度が実用上昇限度です。
「ホバリング高度」
ホバリング高度はヘリコプターが空中で停止していられる高度です。
前進しているヘリコプターは機体自体が揚力を発生するので、その揚力で高度を稼げますが、停止状態のヘリコプターは、ローターが生み出す揚力しか使用できないので、実用上昇限度よりホバリング高度は低くなるのが通例です。
「地面効果」
ヘリコプターのすぐ下に地面があればローター下面の空気が圧縮され揚力が増大します。これが地面効果。すぐ下に地面があればホバリング可能な高度が「ホバリング高度地面効果内」、すぐ下に地面がない状態でのホバリング可能な高度が「ホバリング高度地面効果外」となります。当然地面効果内の方が高度が高くなります。
カンタニャック
- >5、6
離着陸はホバリング限界高度以下で行なうと、単純に考えてしまってよいのでしょうか。
質問者
吉野
- >6. ありがとうございます。1.でSUDOさんから御紹介のあった宮田先生の解説は非常に優れたものである為、ほんの捕捉のつもりで書き込んだのですが、単独で読むには説明不足だったかもしれません。
>7. 基本的にはそう考えて構いません。ヘリコプターの離着陸は通常、地上5フィートの高さでホバリングし、(リフトオフ、といいます)必要に応じて誘導路の移動等を行ったのち、離陸に移行します。着陸も同様で、逆の手順を踏むわけですが、ホバリング上限高度(地面効果内)以上ではこのリフトオフ操作が出来ません。では全く離着陸できないかと言えば、向かい風を利用するか、固定翼機の様に前進速度をもって離着陸すれば可能ではあるわけですが、このような運用は行わないのが普通です。(離陸を例に取れば、前進速度を得るためにローターを前傾させた際のグラウンド・クリアランスが問題になりますし、スキッド/タイヤが地上の障害物に躓けば、即ちに前転してローターを打ちつけてしまいます。) 従って、ある条件下でホバリング上限高度(地面効果内)以上にあると判っている場合には、燃料・搭載物等の重量を減らすか、大気密度が比較的高い、気温の低い時間帯に飛ぶ等の措置を採ることでしょう。
みなと
- 皆様、ありがとうございます。
良くわかりました。
質問者
吉野