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米軍はベトナム戦争以降輸送機改造のガンシップを多用していますが、wwIIでも似たような地上部隊への持続的な火力支援を行うための機体は無かったんですか?Ju52とか九七式大艇とかを改造すればいい感じになりそうですが・・・ みどり |
- 輸送機改造のガンシップは強大な火力を持ちますが、鈍足鈍重のうえ防御力皆無です。対空火器や戦闘機を持つ正規軍相手に持ち出しても返り討ちになるだけでしょう。Ju52 や二式大飛艇がでかい顔して飛びまわれるということは、制空権は完全に奪取されたうえ敵対空砲火も制圧されており、即ちそれは勝ったも同然の状態を意味しています。わざわざ専用機を作って送り込む必要はありませんよね。
もちろん、サイパン・硫黄島・沖縄などの島嶼争奪戦では制空権奪取・重花器沈黙後も日本陸軍は降伏を拒み、頑強な抵抗を続けて米軍を悩ませています。では、こういう戦場にガンシップがあれば役立ったか?と言えばそれも疑問。上陸作戦初期には戦場のすぐ近くに空母が遊弋して艦載機を送り出しており、飛行場奪取後は陸軍の戦闘爆撃機がすみやかに進出して火力支援を行っています。通常の航空兵力による支援が十分に受けられるならば、ガンシップのような奇策に頼る必要はありません。もちろんあればそれなりに役立つかも知れませんが、無くても別に困らないでしょう。
ささき
- ベトナム戦争以降ガンシップが活用されるようになった要因のひとつに「普通の攻撃機」が高速化しすぎたことがあります。
歩兵/ゲリラや軽車両のような地上を低速で移動する軟目標に対する索敵や攻撃は、これらがセンサーにかかりにくい(熱放射もレーダー反射も少なく、地形や障害物に隠れやすい)ため、低空低速から粘り強く行う必要があります(現用AC-130のFLIRや低光量TVとて長距離探知は苦手)。これは高速で消費燃料当たりの滞空時間が短いジェット機には不向きな作業なので、プロペラ機、特に低空低速での操縦性が良いSTOL戦術輸送機の出番となります。むろん、こうした機体の使用には制空権の確保が大前提です。
朝鮮戦争でも山岳地帯に潜んで移動する北朝鮮軍を攻撃する場合には、T-6レシプロ練習機改造の目標指示機が滞空監視を行うことで燃費の悪いジェット攻撃機が索敵のために長時間飛行をしなくていいようにする戦法がとられていますし、F4UやAD-1のようなレシプロ攻撃機が活用されたのは御存知のとおりです。
WW2レベルでのガンシップといえば…飛んだのは1947年になりますが、ソ連でTu-2軽爆撃機の爆弾倉にPPShサブマシンガン88丁を下向き装備する機体が試作されましたが、地上軍に撃ち負けるのが明らかなので量産には至っていません。
Schump
- むかーし読んだ本に、富嶽の地上掃射型が計画されていたとか何とかあったような記憶が…。
爆弾槽に数十挺の20ミリ機銃を、斜め下向きに装備するというような奴が。
記憶違いかもしれませんが(汗
satoski
- 銀河なら。
片
- ええ銀河なら。
BUN
- 拙著「白菊特攻隊」に銀河特攻「烈部隊」の見出しで、同期生古小路君の手記を
収録しております。これによれば、攻撃405飛行隊では、銀河に20ミリ機銃
を20挺装備し、対地攻撃の訓練をしたそうです。
http://www.warbirds.jp/senri/
蒼空
- 銀河ガンシップは「長時間上空に張り付いて持続した火力支援を行う」というより、「一撃離脱攻撃においてなるべく広範囲に被害をもたらす」ことが目的ですので、のちの米軍ガンシップとは少々性格が異なるかと思います。
>3.
富嶽ガンシップは対地攻撃というより、敵の超重爆(B-36)を迎撃する超重戦闘機(!)としての構想だったと思います。
ささき
- >3
「さらば空中戦艦富嶽(光人社)」によると、機銃大量装備の富嶽は二種類あって…
・翼端援護/邀撃機
・掃射機
前者はささき様の言う構想で、96挺の20ミリ機銃をハリネズミのように(ホントにハリネズミのように)装備した異様な機体です。飛来した重爆500機編隊を10機で全滅させるそうです…。
後者は爆弾倉に400挺(!)の7.7ミリ機銃を下向きに並べ、秒間6400発(!)の弾雨を降らせる、火葬に近い飛行機です(一挺あたり1000発装弾)。「必勝戦策」によると、これを編隊で飛ばして対艦攻撃し、防空/指揮能力を喪失させ、後続の攻撃を容易にするそうな…。
両方とも「一航過のうちに大量の弾丸を浴びせる」ようなので、「低空・低速で長時間制圧」とは違うかも知れません。そして、富嶽は完成していません。
桜華雷帝
- 「月光」がフィリピン戦の時に、下方銃を使って魚雷艇狩りをやったそうですが、変則装備の機銃で地上目標を攻撃する機体は、「ガンシップ」の範疇に入るのでしょうか。
吉祥寺のアクマ使い
- 実は第一次大戦時、機銃2〜6挺を下向きに付けて塹壕に沿って飛ばして掃射する「トレンチ・ファイター」という機種がありました。それが何故廃れ、何故また復活したのかは航空機の兵装ペイロードや速度、爆弾の破壊力、戦闘の形態などの変遷と重ねて考察すると面白いのではないかと思います。
ささき