3293 |
零戦の照準機が機体の中心線から少し右にずれているのはなぜですか。 Bf109もそうでしたよね。 質問ばかりでごめんなさい。 ふくろう |
- 右目で狙うから?
セミララ
- 機械式照準器(メタリック・サイト)では照星・照門・目が一直線に並ばなければなりません。僅かでもずれると、その角度だけ照準線がズレます。照星と目の間隔が 30cm だとして、視点が 1cm ズレると deg(tan(1/30))=1.9(度)のズレが生じ、これは 500m 先で atan(rad(1.9))*500=16.6m ものズレにつながります。
光像照準器には照星がありませんが、これは光学的処理で並行光を投影している為です。すなわち、頭を動かせばそれと並行して投影像も移動するので角度差が生じず、1cm の視点のズレは 500m 先でも 1cm のズレにしかならない(原理的に)からです。
しかし人間には二つの目がありますから、投影ガラスの幅が両目の間隔(通常 7〜9cm くらい)以上ない限り、どちらか片方の目にしか十字パターンは映らないことになります。
私は投影ガラス幅が約 9cm の米海軍 Mark8 投影照準器を所有していますが、投影ガラスから約 30cm の位置で完全な投影像が映るように覗くと、利き目(右目)には完全な投影像が、左目には十字線の左側半分くらいが見えています。しかし、左目に映る不完全な像は無意識のうちに排除しているので不自然さは感じません。これを左目に十字線が映るよう調整して両目を開くと、投影像が二重に見えて不自然に感じます。
ささき
- ↑tan, atan の表記が逆になってました(^_^;)
ささき
- ありがとうございます。
アメリカ軍の戦闘機は、ゼロ戦に比べてこの点では不便だったということでしょうか。体を少しずらさないといけなかったのでしょうか。
ふくろう
- 頭を 5cm ばかり傾ければ済むことなので、特に不便という事はなかったでしょう。
ささき
- そうですか。 ありがとうございます。
今まで頭に引っかかっていたことなので本当に助かりました。
ふくろう
- 当初の話題である「オフセットさせた理由」ですが、いろいろな機種のコクピット配置図や写真を見てみると、
・直前方視界の確保
・他に真ん中に置きたい計器(旋回傾斜計、コンパス等)がある
・中心線上に風防のフレームがある
といった点を配慮して照準器の位置を決めているようです。
ジェット機時代になっても「枠が視界の邪魔なのでHUD固有のガラスをなくして前面防弾ガラスに投影(F-14A)」とか「計器盤に基部を置く余裕がないので上から吊る(MiG-21、C-130J等)」といった手法がみられます。
Schump