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空気の流れを良くするためのカバーについて質問なのですが、 どれも似たような形なのに呼び方が色々あって混乱しています。 航空機でよく聞くもので、「カウル(カウリング)」「ナセル」「レドーム」 ロケットで聞くもので、「ノーズコーン」「フェアリング」 プロペラ機のプロペラの中心にあるものは「スピナ」しか聞かないので納得しますが… 単に言語の違いだけなのでしょうか? (→ 例えば「カウル」は英語、「ナセル」はフランス語といった感じ。) 呼び方の違いによる形状などの違いはありますか? 土佐凧 |
- 慣例と語義からいえば、以下のように使い分けています。
「カウル/カウリング」
特に後者については、「発動機覆い」の意味に限定して使います(「カウル」は航空機ではあまり使わないような…)。なぜ発動機覆いだけを特別扱いするかといえば、機体の構造強度を分担することがまれであり、点検・発動機交換作業のために開閉・分解できるような構造をもち、冷却・放熱に有利な形状や内部構造をしていることを意識させるためです。
「ナセル」
ひとつの構造的・空力的まとまりを称する名前です。たとえば「エンジンナセル」といった場合、エンジンそのものを包む「カウリング」だけでなく、その前後につながって一体の流線型をなす部位をまとめて指すことになります(当然、中にはエンジンだけではなく、降着装置や燃料タンク、武装などが格納されます)。
また、「ナセル」と呼ぶことで、乗員・乗客・積載物を載せるメインの胴体とは別の構造体であることが意図されている場合もあります。
「レドーム」
レーダーアンテナを覆っている構造体の、特に外皮を指します。航空機だけではなく、船舶や車両、建築物においてもレーダーアンテナを保護するための覆いは「レドーム」です。
レーダーアンテナを格納する以上、材質は電波を透過するもの(プラスティック、木材等)でなければならないので、「ここは金属ではない」ことを強調するという点にも「レドーム」という名前の意味があります。
「ノーズコーン」
先端の円錐(コーン)状の部分を指します。ロケットに限らず、飛行機だろうが自動車だろうが進行方向に向かって尖った先端を持っていれば「ノーズコーン」と呼ばれます。
「フェアリング」
単純には「空力覆い」または「保護覆い」ですが、中身を意識した呼称です。よって「アンテナフェアリング」とか「油圧作動筒フェアリング」といったように中に入っているものの名前を冠して使われることが多くなります。
Schump
- カウリング(cowling)
(主としてレシプロエンジンの)エンジンカバー。語源は cowl。もともと「修道士の頭巾」の意味で、それが「煙突先端の通風筒」「自動車の最前面」「エンジンカバー」などの意味になった。
ナセル(nacelle)
エンジン収容庫。主に多発機でエンジンを胴体・主翼から離して装備したものに対し、そのエンジン部分を(カウリングも含めて)指す。語源は「気球の吊籠」。おそらく 1910〜1920 年代の飛行機で、エンジンを支柱で主翼からぶら下げて(あるいは持ち上げて)装備していた形態に対し、そのエンジンを気球の吊籠に例えて命名されたもの。
フェアリング(fairing)
fair の動名詞で、「整形する(もの)」という意味。航空用語としては主に、流線型のカバーをかぶせて出っ張りを覆うことを指す。
レドーム(radome)
radar-dome をくっつけた造語。radar はレーダー(電探)、dome は「丸天井」「半球」の意味で、レーダーアンテナの覆いを指す。地上にある気象観測レーダーの球形カバーも、AWACS の背中に付いている皿状カバーも、戦闘機の機首先端にある円錐状のカバーも全部「レドーム」である。
ノーズコーン(nose cone)
nose は「鼻(機首)」、cone は「円錐」。読んで字のまんまの意味で、ロケットや音速ジェット機体などの機首最先端の円錐状カバーを指す。戦闘機ではノーズコーンがレドームを兼用していることが多い。
こんなところで良いでしょうか?
ささき
- ロケットのノーズコーンは、シュラウド(shroud)とも呼んでいるようですね。
原義は「経帷子」ですが。
便利少尉
- それから土佐凧さんの言われるスピナ(spinner)ですが、
これは「回転するもの」ですから、空力的な多いよりは回転の中心と意識された呼び名ですね。
便利少尉
- (ゴミ)
P-38のような双胴機の中央胴体を「コクピットナセル」と表記している文献もありますが、ちょっと違和感がありますね。
Schump
- Schump さん、ささき さん、便利少尉 さん わかりやすい回答をありがとうございました。
呼び方の違いにより使用箇所に違いがあることがわかりました。
H2ロケットの先端(衛星が格納しているトコロ)がフェアリングで、固体補助ロケットの先端がノーズコーンと書き分けられている理由もわかりました。(航空機ではなくロケットを例に出してスミマセン(^-^;ゝ
スピナについても勉強になりました。
「シュラウド」や「コクピットナセル」という言葉は初めて聞きました。
「コクピットナセル」は、ナセルの語源である「気球の吊籠」が関係してるような気がしないでもないですが...
みなさん、ありがとうございました。
土佐凧
- 戦闘機のノーズコーンは、電波の透過性を考えてプラスチックなどでできているとしたら、
空力加熱によって、材料がダメになってしまうのでは、、、と思いました。
戦闘機(音速で飛ぶもの)のノーズコーンはどのような材料でできているんでしょうか?
土佐凧