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ジェットエンジンの軸流式コンプレッサーの圧縮する仕組みを 教えていただきたいのです。 手元にある本を読みますと、タービンのブレードのような コンプレッサが何段にも並んでいて、このブレードを通過する ごとに空気はたたみこまれるようにして燃焼室へ送られる と書いてあるのですが、これではよくわからないので、 教えていただきたいのです 工房 |
- おっしゃるよう、空気をたたむのは難しいですね。 そこで、こんな説明はどうでしょう。
軸流式コンプレッサーはタービンを直列に何段にも重ねた物である。また、タービンは、回転させると、その前後に圧力差を作る。
下の図で、縦棒がタービン、上下の横棒はエンジンの内壁、真ん中の横棒はタービンの軸とする。また、(1)が大気圧、(4)を
燃焼室とする。これで3段のタービンによる軸流圧縮装置の断面図ができた。
次に、圧縮に使うタービンは簡単に言うと扇風機の羽であるから回転させて使う。回転させると、上記のようにその前後に圧力差を作
る。ここで1段のタービンの前後で0.25気圧の差圧が作られると仮定する。すると(2)は1.25気圧。(3)は1.5気圧になる。
更にタービンの数を増やすと順次圧力が高くなる。(4)は燃焼室なので動作中は圧力が十分に高く、(4)や(3)の圧力がスコ
スコ逃げてしまう事はない。停止時はスコ、スコ、スコーンと逃げてしまう状態なので、始動には専用の装置が必要になる。
なを、図のように内壁とタービンの間に隙間があると、空気が前段方向に漏れてしまうので圧縮しないと心配するかもしれないが、
(1)から(2)への流量が逆流分より多ければ、その値は小さくても圧力差は厳然として存在する。
ーーーーーーーーーーーーーーーー 内壁
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(1)│(2)|(3)|(4)
┼───┼───┼────── 軸
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ーーーーーーーーーーーーーーーー 内壁
ーーー>空気の流れる方向
Ratheon
- 軸流圧縮器では、高圧側に向けてケーシングの外径を絞っていくか動翼(ローター)ハブを太くしていくかすることで、流入空気経路の断面積を小さくすることで圧縮を行います。ただし、単に「テーパーのついた経路に空気を流す」だけでは、上昇した空気の圧力は出口に向かって加速することで逃げていってしまい、かえって圧力が下がる(空気塊が前後に引き伸ばされて密度が下がる:ベンチュリ管の原理)ことになります。つまり、圧縮行程全体を通して、流速をなるべく上げない、できれば下げる工夫が必要になります。
動翼を並べて回転させただけでは空気流を加速することしかできないので、各動翼の間には動翼とは逆のピッチ(進行方向に対する傾き)を持たせて取りつけた静翼(ステーター)を起き、動翼が前方から掻き込んできた空気の行き足を止めることによってこの段の圧縮を成立させます。このとき、動翼から送られてきた斜め(エンジンの外から見るとらせん状)の空気流に対して静翼が失速してしまうと、有効な減速が行われなかったり空気の逆流が起こったりする(さらには次の動翼に最適迎角の空気流を送れなくなる)ので、流入空気速度と圧縮器回転数に応じて静翼のピッチを変えて常に最高の効率で圧縮を行わせるVSV(Variable Stater Vane;可変静翼)を採用しているエンジンもあります。
Schump
- 可変静翼 初めて聞きました。勉強になります。
JUSCO川口店
- ケーシングとハブの意味を教えてください
工房
- 1.の図で、「内壁」が「ケーシング」、「軸」が「ハブ」です。
kazz
- ご回答ありがとうございました。ものすごく勉強になりました。
工房
- ケーシングは隔壁と称することが多いように思います。
1.さんの絵であれば内壁ではなくアウターケーシング:外隔
内側はハブというよりはスプール、ディスク、ロータなどと呼ぶことが多いのではないでしょうか。
もちろんステータの「ハブ?」は単段ですからディスクと呼びますよね。
燃焼器部分はアウター、インナーにそれぞれケーシングが存在しますのであえてアウターケーシング
と書いてみました。
Square