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3187 はじめまして、エルと言います。
3式戦飛燕について教えて下さい。
旧日本陸軍の航空機を試験する部隊に関する本で、「飛燕は1万mで編隊飛行ができる」と言うようなことが書いてあったのですが、飛燕は、他の日本機に比べ高々度性能が良かったのですか?それはなぜなのでしょうか?
(液冷エンジンが高々度飛行に適しているのでしょうか?それとも過給器の性能が良かったのですか?)
よろしくお願いします。
エル

  1.  1万mで編隊飛行ができたのは飛燕二型改のことではないでしょうか?飛燕二型改は一型の性能向上型としてエンジンをハ−140に換装し99機が試作されています。
     飛燕二型改が他の日本機に比べ高々度性能が良かったのは液冷エンジンのためではなく、試作機だったので特に良質な機材を用いられて製作されたこと、陸軍航空審査部で十分整備されていたことが大きな理由だったと思います。

    Type 97

  2. >1 訂正
    「99機が試作」→「99機が完成」

    で、高々度性能を発揮したのは陸軍航空審査部にあった試作機のことです。
    Type 97

  3. 高い整備力故に陸軍審査部の三式戦二型改が高性能を示したのは確かですが、その他にも

    @三式戦の主翼は高高度飛行に有利とされるアスペクト比の高いものだった。
    Aハ-40及びハ-140には原型となったDB-601Aと同じく無段変速機械式過給器(フルカン接手駆動)や燃料噴射装置を装備していた。

    事なども影響しているのではないかと思います。
    T216

  4. T216さん。
    >3の回答、どちらも同意ですが、
    ハ-140と割合に近似の発動機であるアツタ32型を装備した
    彗星12型が夜戦として期待されており、
    彗星のアスペクト比は極端に低い事より
    3式戦の良好な高高度性能の
    主因はDB系列発動機にあるのではないか、と思っています。
    DB系列のフルカン継手や燃料噴射ポンプは言うまでもありませんが、
    液冷の場合、高高度での冷却が容易になることも見逃せないのでは
    ないでしょうか?

    無頼庵

  5. >4.
    >液冷の場合、高高度での冷却が容易になる
     この点は見落としていました。
     無頼庵さんの仰る通りだと思います。
     ソースは忘れましたが、空冷エンジン機は空気の薄い高高度での飛行はエンジンの冷却に苦労したらしいのですが、液冷エンジンではその点がかなり緩和されるのでしょう。
     高アスペクト比の主翼は+αという所だと思います。(2.の@、Aには深い意味はありません)

     ただ、三式戦によるB-29迎撃の話を読みますと、かなりの確率でラジエーターに被弾していますので、液冷も痛し痒しと言うところでしょうか。
    T216

  6.  >4 無頼庵 さん
     >液冷の場合、高高度での冷却が容易になる

     これは如何なる理由なのか御教授下されば幸いです
    セミララ

  7. >セミララさん
    初歩的、大雑把、かつ近似的な回答で御勘弁。
    空気は、熱を伝える媒体です。
    ですので、魔法瓶の外瓶と内瓶の間は真空となっており、
    その部分の真空が熱を遮断します。
    と、言うわけで、高空になって、気圧が下がれば、
    気温こそ下がりますが、放熱は困難になります。
    適切に設計された液冷エンジンでは、
    ラジエーター部の体積に余裕を持たせる事によって、
    薄い大気中でも、エンジンの発熱を吸収することが容易ですが、
    空冷エンジンでは、いくらフィンを細かく切っても、
    所詮エンジンについた「ひだ」。もろもろの兼ね合いで、
    放熱フィンは、体積やレイアウトに制限があります。
    つまり液冷エンジンのラジエーターほど
    「放熱に専念した設計」は出来ませんから、放熱には限界があります。
    なお強制冷却ファンに、大気圧上昇の効果はほとんどありません。


    無頼庵

  8.  実戦部隊でも整備力の充実した処(244戦とか)ではやっていたそうです。
    ぺっか

  9. >244戦隊の飛燕
     この部隊が装備していた飛燕はハ40装備の一型です。
     一型のカタログスペック上の実用上昇限度は10,000m(自重で一型乙より250s重くなっている一型丁も実用上昇限度は同じになっていますが、発動機が同じハ40であることから、個人的には少し疑問)ですが、完全装備の場合は好調な機体でも9,000m前後まで上昇するのが限度だったそうです(一型、特に重装備となった一型丙や一型丁は上昇力があまり良くなかったそうです)。
     このため、244戦隊では防弾鋼板の除去や弾薬の削減(翼内機関砲を撤去した機もあった)した軽量機による体当たり攻撃を主戦法に採用していますが、小林照彦244戦隊長は一型では10,000mまで上昇するのが限度、と日記に書き記しているそうですので、一型でも上がれないことはないでしょうが編隊飛行は極めて困難だと考えられます。

     因みに、ハ140装備の二型やハ112-IIに換装した五式戦のカタログスペック上の実用上昇限度はそれぞれ11,000m、11,500mで、一型と比較して1,000〜1,500m向上しています。
    T216

  10.  >7 無頼庵 さん

     う〜ん、空冷エンジンでも、そういう設計にすれば、高空でも十分な冷却が成されると思うのですが、どうでしょう
     P-47とかB-29とかいう例もありますし
    セミララ

  11. >9
     モチロンI型です、書き入れ損ないました。ゴメンナサイ。
     ・・ココを参考にして下さい・・と格好良くいきたかったのですが、迷子になって居ります。重ね重ねゴメンナサイ。
    ぺっか

  12. > 10
    P-47 や B-29 はターボつきです。
    これらの機体の高高度性能が良いのには冷却性能云々は
    あまり関係ないでしょう。
    よしべー

  13.  過給機とエンジン冷却云々は、分けて考えた方が良い様な気がするのは気のせいでしょうか
    セミララ

  14.  空冷でも液冷でも、最終的に大気と熱交換するので高高度で厳しいのは同じです。ラジエータも高高度では冷えにくくなるんですから。
     また空冷エンジン機の場合、潤滑油が冷却機能のかなりを受け持ちます。言うまでもなく、潤滑油冷却機はラジエータと同様な構造機能を持ってます。
     よって液冷と空冷で、高高度冷却能力はそれほどの差異を生みません。

     液冷で有利なのは、短時間ならば、高出力・高温状態を冷却不十分な高高度でも発揮可能であるという点です。
     これは緊急出力発生時には大きな利点になりますが、巡航や待機等の長時間運転では利点になりません。
     またラジエータの大型化等の冷却機能強化処置を導入しやすいというのも液冷の利点です。
     もし同じだけの技術と手間をかけるなら、液冷の方がより高高度に適したエンジンになります。

     飛燕の事例では、液冷だからではなく、ハ140エンジンの全開高度が比較的高めであり、その上フルカン継手式過給器の特性上、定格高度を越えた後の出力低下が穏やかであった事が最も大きな理由であり、液冷であるかどうかは殆ど無意味でしょう。
     なぜなら、高高度まで緊急上昇して、編隊を組んで敵機を待ち構えるという運動では、液冷の利点である、「冷却能力以上の大出力発揮」が許容する時間を大幅に超過している上に、そのような大出力を、飛燕のエンジンが発揮できないからです。
    SUDO


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