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3179 CB1100R(市販のバイクです)は「フルカウルにより20ps分稼いだ」とのことです。同じように前面投影面積の増大により飛燕から五式への移行は馬力換算何ps分損したのでしょうか。難しい計算を教えてください。
三吾郎

  1. キ61II改 1500HP 3825kg 610km/h 6000m
    キ100  1500HP 3495kg 580km/h 6000m

    速度×重量=運動量 両者の運動量の差を求めて、馬力に換算したらいいのではないか。

    とはいうものの、とりあえず全備重量を書きましたが、速度計測が本当にこの重量で行われたのかどうかが、わかりません。
    それから、重量と最大速度以外の条件は相当抵抗面積以外同じとみなしてますが、本当に同じかどうかも同じくよくわかりません。エンジンは同じ馬力で回っているのか? プロペラ効率の差は?


  2. どなたも書かれないようなので、ひっそりと指摘しておきます。

    >1. 航空機が周囲の空気に運動量の変化を与えている以上、機体が獲得した運動量を比較するだけでは当該の問題は解けません。 

    では、どのように計算するか。 今、一つの仮定として片さんの挙げられた数値をそのまま使って、考察してみます。

    キ61II改 1500HP 3825kg 610km/h 6000m    キ100  1500HP 3495kg 580km/h 6000m
    何れも、翼面積20u、6000mでのエンジン出力→海面高度での定格出力の80%(1200HP)、プロペラ効率0.8を仮定します。
    また、高度6000mでの大気密度ρ=0.06727(kg・s^2/m^4)とします。

    先ず、各機体の、最高水平速度@6000mに於ける、機体全体の抵抗係数 Cdを求めてみましょう。

    キ61II改
     (機体全体に作用する抵抗力)D = 1/2*ρ(大気密度)*V(機体速度)^2*S(翼面積)*Cd (式1.0)

     水平最大速度飛行時には余剰推力=0、即ちD = 推力T ですから、Cd=T/(1/2*ρ*V^2*S) (式1.1)

    T = 1500(BHP) * 75(単位換算、Kg・m/s) * 0.8(プロペラ効率、推定) * 0.8(高度6000mでの出力、推定) / (610/3.6) (m/s、前進速度) = 425.03 kg、
    これら数値を(式1.1)に代入して Cd = 0.0220 を得ます。

    同様の計算をキ100について行うと、水平最大速度580km/h飛行時の推力446.90kg、Cd値0.0256を得ます。



     さて本題。 「もしキ100を、キ61II改と同じ610km/h @6000mで飛ばすには、どの程度の出力が必要になるのか」 を計算してみます。


    準備として、機体全体の抵抗係数 Cdの内訳、揚力の発生に関係しない係数(Cdo)と、関係する係数(K)を次式によって定義します。

    Cd = Cdo + K * CL(揚力係数)^2 (式1.2) (但し揚力係数CL= 2*W / ρ*V^2*S)

    この中で揚力の発生に関係しない係数(Cdo)は機体の表面摩擦抵抗係数*濡れ面積(表面積)/翼面積から求められる定数で、
    キ100の場合, 概算Cdo = 0.022であり、先に求めた580km/h飛行時のCd値0.0256 と、580km/h飛行時のCL= 2*W / ρ*V^2*S = 0.20019 から

    0.0256 = 0.022 + K * (0.2)^2、K = 0.09 を得ます。 以上より、キ100機体全体の抵抗係数Cdは

    Cd = 0.022 + 0.09 * CL^2 (式1.3) と表現できることがわかりました。


    以上の準備を踏まえ、キ100を高度6000m、610km/hで「飛行」させてみます。

    揚力係数CL = 2*3495 / (0.06727) * (169.44)^2 * 20 =0.18096...≒0.181、
    Cd値 Cd = 0.022 + 0.09 * (0.181)^2 = 0.024948..≒0.02495  

    従って機体に作用する「抗力」 = キ100が610km/hで飛行する為に必要な「推力」、は (式1.0)にこれら数値を代入し、

    D = 1/2 * (0.06727) * (169.44)^2 * 20 * (0.02495) ≒ 481.86 (kg) = T

    前出と同じく、6000mでのエンジン出力を海面高度での定格出力の80%、プロペラ効率推定値 0.8 を仮定し、海面高度での定格出力「所要値」HPrを計算すると

    T = 481.86 = HPr * 75 * 0.8 * 0.8 / (610 / 3.6) 、 故に HPr ≒ 1700.56 を得ます。

    以上、「キ100を、キ61II改と同じ610km/h @6000mで飛ばすには、どの程度の出力が必要になるのか」 の一つの答えは、海面高度での定格出力1700hpが必要、というものでした。 但し、高度6000mで出力80%、プロペラ効率0.8等々の仮定は非常に大まかなものですので、御手元に正確なデーターがあれば入れ換えて計算し直すのも楽しいかもしれませんね。 あくまで一つの仮定を基にした結果と御考えください。又、圧縮性の問題は意図的に無視しています。
    あくまで個人的感想ですが、「こんなに差があるのかな、」といった感があります。あるいはキ100のエンジン、海面高度で1500HPは無いのかもしれません。

    みなと


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