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日本陸海軍航空隊機の主翼前縁に塗られた味方識別塗装ですが、18年春にお達しがあったと記憶してるんですけれど、なにか「これは塗らないとイカンな(汗)」と認識された特別な誤認事件でもあったのでしょうか?ビルマなどでそれよりかなり早い時期から空中での敵味方識別には結構苦労しているようなんですが・・・ MB |
- いえ、17年です。4月にドーリトル空襲があり、その夏、味方識別について陸海軍で合意に至り、「軍用機味方識別に関する陸海軍中央協定」として、10月から実施と定められています。陸軍機については、満州及び中国を飛行するものを除いては、努めて9月15日から実施することとされていました。
片
- 片さん、いつもありがとうございます。
なんだかミョーな記憶違いだったようで失礼しました(汗)。なるほどトーキョーレイドの後からでしたか。こればっかりは陸海軍両者合意だったんですね。(ビルマ方面で両軍ともに同士討ちがかなりあったようなので、味方識別が気になって質問したのでした。)
MB
- 17年の協定で注目するのは、国内を飛ぶ練習機や実験機(試作機)を全面黄色に塗ることが定められている、ということがあり、ドーリトル空襲の影響が感じられるのです。
もちろん、それだけが理由ではなく、こうした軍用機の味方識別に関する陸海軍中央協定は15年6月にも出ていますし、対米英戦の開始以降陸海軍で戦域の重なったため、味方識別を厳にする必要があったから、ということもあると思います。ビルマだけでなく、あちこちで誤射は発生していますから。
陸軍機では12年2月に日中戦争の戦訓から胴体側面の日の丸は射撃の標的になりやすいからという理由で廃止されていますが、これもこの17年秋の協定で復活しています。
片
- > 国内を飛ぶ練習機や実験機(試作機)を全面黄色に
なるほど。ドーリトル隊を迎撃しようとしたキ61試作機が、同じく米機を迎撃にあがったはずの海軍機から敵対行動をとられた、ってな話もありましたっけ。それにつけても目視による空中での敵味方識別はなかなかむずかしいものなんでしょうね。
ありがとうございました。
あと主翼前縁は黄橙色とともに、当初は赤く塗ったのもあったようですが、赤ではやはり視認性が悪かったんでしょうかね。
MB
- 識別帯の規定を通達する文言では「赤」または「黄」なんです。
四角い日の丸も同協定で定められたものですがこれも四角い日の丸が基本で白フチの日の丸も可とも読める内容になっています。赤い識別帯と白フチが廃れて行くのはその後の迷彩塗装の導入と関係しているのだと思います。
海軍機の迷彩塗粧に関しては内令兵42号で定められたものが基本となり、その後この規定を改訂する形で終戦まで実施され続けています。
導入の背景としてはド−リットル空襲よりもむしろ南方作戦での陸海軍航空兵力の協同作戦に重点があるように思えます。
BUN
- 訂正 廃れるのは「赤い識別帯」と「四角い日の丸」ですね。
BUN
- 片さん、私はその理由を知らないのですけれども
>陸軍機では12年2月に日中戦争の戦訓から胴体側面の日の丸は射撃の標的になりやすいからという理由で廃止
「胴体につけなくても良い」とした陸普第四七五号の通達理由はそうなのなのでしょうか?
BUN
- 陸普第四七五号の通牒文書で、昭和2年改正を改める理由として
「一.番号製作年月及名称を大書明記するは防諜上不利なり
二.胴体両側の日章は射撃目標となる不利あり」
としているものがありました。
陸軍機の胴体日の丸、一部では17年5月には復活してるみたいですね。
片
- たしかに「戦訓」とは書いてないですけど、時期的にそう判断しました。その点、明記しておきます。
片