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P−3オライオンは、主翼より前方にウエポンベイを持っていますが、 兵装搭載時と投下時の重心移動は問題ないのでしょうか。 似たような位置に前方爆弾槽を持つB−29は、後部爆弾槽と交互に 爆弾投下する事で重心移動を最小限にとどめていたようですが。 ひとみ |
- ベイの容量が1.8トンですから当然重心移動はあるが、実際に落ちないで飛んでいるの
だから大きな問題になっていないということでしょう。
私も昔から変な所にベイがあるし。増槽がやたらに前に付いていたりで「変だなぁ」と
思っていたのです。しかし、何が変なのか考えたことがありませんでした。ひとみさんが
おっしゃるとおり、重心が変なのですね。
透視図等を見ると低翼の旅客機を改造した弊害で、重心位置付近に主翼関係の構造材が通り、
他にベイを作る場所が見当たりません。
魚雷で潜水艦に対応する時には、主翼の後ろに積んであるソノブイを投下するので少し緩和
されるのしょう。Mk46魚雷ならベイに8本搭載で、48本のソノブイチューブがありますから
魚雷1本にソノブイ6本の割合で消費することになります。実際にそんな事になrかどうか、、、。
しかし、機雷布設作業にはバランスを取るものが無いから困ります。
Pー3は、原形のエレクトラの機首を切り少し短くしてあるので、そのままだと少しテール
ヘビー気味になるはずなのです。だから、あの位置に重量物を搭載すればバランスが取り易い
だろうと思います。フル搭載時に少しフロントヘビー気味、全弾投下後に少しテールヘビー気味、
その気味の部分はトリムタブでごまかす。こんな条件になっているのでは、、、。
Ratheon
- 一般に、旅客機のような大型航空機は、揚力中心より前方に重心位置を設定します。
すると、機首を下げる力が発生しますが、そのままでは困るので、尾翼に対して下向きの力がかかる設定にして、バランスを取ります。(マイナス浮力をかける)
なぜ、そんなことをするかと言いますと、揚力の中心と重心が一致していると、効率はよいのですが、内部でちょっとした移動があると、たちまちバランスが崩れてしまうわけです。(あるいは、尾翼付近の気流が少し乱れるたびに激しくピッチングするような安定性の欠如につながり、旅客機・輸送機向きでない)
P3Cは、原型がロッキード・エレクトラという旅客機ですから、搭乗者や貨物など荷重条件が一定でなく、内部で人も歩き回る前提ですので(たいした重量じゃないですが)安全率も見込んで重心位置を前に置き、尾翼の調整能力を高めているものと想像されます。
(そのぶん、主翼の揚力が無駄遣いされるので、速度や燃費には悪影響が出ますが、飛行安定性が向上し、荷重移動に強くなります。)
これらのことから、爆弾倉が機体前方についている理由の一つは、
(1)もともと重心は少し前にあるので、それほど異常なことではない。
(2)主翼パイロンの兵装が、全体の重心を後ろに下げてしまうので、機体内の可変重量物は重心点より前に置きたい。
といった点も考えられるのではないか、と思います。
なお、昔の航空機のように浮力の無駄を省きたいとか、戦闘機のように安定性より運動性を重視したい機体は、揚力中心と重心が近い位置に来ますので、重量物の搭載も翼近辺しか選べなくなります。
クリスティー
- 便乗質問になります。
同様に重心位置よりかなり前方に爆弾を搭載するMe210/410やMe262などは、投弾直後に激しいピッチアップを起こしそうですが、大丈夫だったのでしょうか。
オンブー
- オンブー様。
「大丈夫だったか」と聞かれたら、「まあ、良くはないけどなんとか飛んだんでしょう」という事だと思います。
Me262の場合は、まず、あの後退翼は第1目的としては高速性能のためでなく、重心が後ろに寄る傾向があったので、揚力中心を後ろに下げたかったためだとのことです。
頭にエンジンが無いので、テイルへビーになりがちだったのでしょう。
燃料タンクの位置や、30ミリ機関砲弾の位置を見ると、(これらはなるべく重心近くに置くのが普通なので)見た目以上に重心が前に寄った機体であることがわかると思います。
爆弾の装備位置は、たしかに前過ぎる感じですが、胴体下面の構造を見るとわかるとおり、他に装着位置が無かったのではないでしょうか。(ランディングギアで場所を取られている)
さらに、Me262の水平尾翼は、全体が動く「取付角可変式」です。
これは、重心位置が変わった場合に、翼全体の向きを変えてバランスを取るための物と思われます。
重い機関砲弾や大量の燃料を積む機体ですので、爆弾無しでも重心位置は変わったのでしょう。
Me210/410は、爆弾の位置がそんなに前だとは思えません。
エンジンがかなり前方に突き出すように作られているのは、視界確保上は不利なので、やはり重心位置を前にずらしたいための方策と思います。
エンジン自体主要な重量物なので、エンジン位置近くに爆弾を置くのは、重心の都合上異常なことではないと思います。
また、Me210/410の場合、爆弾の代わりに機関砲を装備するほうが主眼であったと思われますので、機首近くに可変重量物(爆弾か機関砲弾)の装備位置を作ったのでしょう。(それで、機種自体は短くなっている)
クリスティー
- あ、言葉が全然足りてない・・・
「Me262は、テイルヘビーだったので、重い主翼取付部や機関砲を前に置いて重心ををずらした結果、翼で見るのイメージよりは前に重心がある」
「Me210は、爆弾の代わりに、20ミリ機関砲×4や30ミリ×2などを換装できることを意図したので」
という言葉を補ってくださいませ。
この種の機体に、爆撃性能を要求したヒトラーに対して、設計側が「まあ一応は」対応した結果の苦肉の策といえるかも。
クリスティー
- クリスティーさんの解説で、エレクトラをP−3に改造する時のストーリーが見えてきました。
「ウェポン・ベイを作る所が無いぞ。」
「主翼前に作ろう。」
「それだと元々前寄りの重心が前に行き過ぎるなぁ。」
「少し機首を切ってしまえ。」
「重心が少し後ろになりすぎるんじゃないかな。」
「運動性が上がるから、それで良いよ。」
「そうだね、その方針でやりましょう。」
Ratheon
- クリスティー様>便乗質問に回答ありがとうございました。
そうですねえ、いずれも爆撃は専門外というか、もともと考慮の外にあった機体ですから、取敢えず場所さえあればといった感じなのでしょうか。もしかすると投下後の引き起こしが自動的に行われることも考えていたりして・・・
最近発表された「烈風改」の増槽といい、少しぐらいの無茶も大丈夫なようになってきていたのでしょう。
オンブー