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大戦中の日本機は、尾輪が引き込み式だったりそうじゃなかったりします。疑問は、同じ機体でも、形式が変わると引き込み式から出しっぱなしになったりしていることです(天山等)。これはどうしてなのでしょう? 空気抵抗などから見ても不利であると思うのですが? Yakisaba |
- 戦闘機以外の機種で尾脚の引込が廃止されるのは、形式によるのではなく、18年中期頃から生産数を極力向上させるための対策が採られ始めたからです。
第二段作戦の失敗が明らかとなり、戦争の長期化が必至となり、そのための対策にまともに取り組まなければならなくなったのがこの時期です。国防上十九年度に必要とされる機体数の試算が行われ、それへ向けてざっと現行の3倍の増産が必要とされることがわかり、日本の航空産業界全体の能力的キャパシティそのものの根本的見直しを迫られます。
このため、大は組立工場の生産方式をより効率の良い方法に転換することから、木材や鋼材などの代替材料の利用、工数の削減、可能な部品の省略など各段階で対策がはかられます。
尾脚の引込廃止も、こうした一環として行われたのです。
片
- 引き込み機構の重量増加があるので、空気抵抗の軽減を見込んでも、引き込み式が固定式より有利になるとは限らない、と伺ったことがあります。
酒匂135
- 理屈の上では酒匂さんのおっしゃるとおりなのかもしれないのですけれど、天山などは魚雷搭載のクリアランスのためにひじょうに長く設計された尾脚をそのまんま出しっぱなしにするような格好で、うっかりすると10kt以上速度低下しているのではないかと思えてしまいます。
一方で、まさにその18年に設計が行われ、紫電に対して大幅な部品点数と工数の削減を設計時点で盛り込んだ紫電改では、尾脚の引込は廃止されていません。陸軍機では三式戦のように尾脚の引込をやめたものもありますが、こと海軍機では零戦、雷電、烈風と戦闘機に限って尾脚引込は残されます。このことから、海軍の技術当局が尾脚引込廃止に伴う空力的ロスの改善について決定的な見識をもっていなかったのではないかと想像できます。
片
- 天山13型(B6N3)は引込尾輪になったし 1式陸攻も後期型になると引込尾輪になったし 銀河も固定尾輪が改造されて引込尾輪になったそうだし.....
戦闘機と偵察機以外は 尾輪引込をやめるというのは建前だけ?
セミララ
- >4
一式陸攻も銀河も最終期には引き込まなくなってますよ。
天山一三型は、まだ引込機構があった頃の機体を使った試作機かも知れないという気が少し。
片
- ええっと、一式陸攻はG4M2の275号機から尾輪引込廃止です。つまり1二二甲型から引込まなくなっているのです。時期的には19年6月製造分からです。
片
- 天山一三型については意見を修正。どうやらすでに引込機構を省略された時期の試作機のようでもあります。
片
- この件、海軍の方針としては、主・尾脚ともに機構を簡素化したものを開発してそれに換える、それまでの間「一時引上機構を廃し後に新しき簡単なる機構にて引揚式とす」というものだったようです。
簡略化した引揚機構の開発自体に裂く人力を欠いたため、尾脚出しっぱなしで終わったということのようでした。
ちなみに、烈風の尾脚の機構は簡素化も何も行われておらず、零戦とほぼ同じものです。「新しき簡単なる機構」というのが多分に観念的な画餅の如きものだったのかもしれません。
片
- 返答が遅れて 申し訳ありません
写真を見てみたところ 一式陸攻の24丁型、34型は 尾輪が出ていました
銀河の場合 尾輪を引込んでいる写真は見たことがないのですが 固定尾輪を引込式にしたという証言があったりしたもので......
ところで 極光はどうなのでしょうか
戦闘機だから引込式なのか 銀河と同じく固定式なのか
極光が引込式なら 銀河もそうなのではないのかという思いが 未だにあります
>ちなみに、烈風の尾脚の機構は簡素化も何も行われておらず
烈風の尾輪は ソリッドゴムタイヤではなく 鋳鉄製のタイヤなのですが これはどうしてなのでしょうか
ただ単に ゴムを節約したいからなのでしょうか
セミララ
- 烈風A7M2生産機用の鋳鋼製尾輪は「特殊尾輪」と呼ばれているのですが、もうひとつ目的がはっきりしません。ゴム節約と考えるのがいちばん良さそうに思います。そうした部品に「換装可能」というふうにも読めそうなのです。いずれにしても引込関係とは関係なくて、これをつけた場合でも引き込んでる図もちゃんとあります。
片
- 極光というか銀河一六型は試作当初尾脚を引込式にするつもりだったけれど、結局固定式で生産されたと、世傑にありますね。もはや戦闘機ではなかったわけですし。
片
- そうそう、銀河自体も量産にともなって、そもそも試作時には引込式だったのをやめてるんです。いずれにせよ、実用化し実戦に投入して現実が見えてくると、わずかばかりの速度増加のために何かを費やす必要も感じられなくなってしまったのではないか、そういう気もします。
片
- 早速の返答 恐れ入ります
烈風の鋳鋼製尾輪は もはや実現の可能性が殆ど無かった空母運用に対しては どうなのでしょうか
木やラテックス、コンクリートの飛行甲板や そこに塗られる分厚い防火塗料を傷めるような気がしてなりません
あと 銀河の尾輪に関してですが,......
銀河は 増加試作機の辺り?から尾輪が固定式になったということですが 現場(第一線)ではこれがものすごく不評で 再び引込めるように改造したという話があるのです
それにしては 私は尾輪を出している写真しか見たことが無いのですが(世界の傑作機は持っていません)
セミララ