3108 |
航空機がレーダーを誤魔化す為に、特別な機動を行うことがあるようですが、 http://users72.psychedance.com/up/renew/imgs/4/20030117/20073611.gif のような機動をした場合、レーダーが一機と誤認することがあるのでしょうか? 祟 |
- この機動は、あくまで観客側から見たときに一機に見えるというだけで、実際は機体と機体はかなり離れています(といっても通常で考えればかなりの密集飛行ですが……。
Sparrow
- 航空ファン2002年7月号(No.595)に載っていました。F−4EJがF−15を、F1がFー16を
”撃墜”した事件です。機上レーダーですが、機数を誤認したようですね。
青いガソリン
- レーダーは、目標を近くで目で見るようにわかるわけではありません。
レーダーの原理は、電磁波を輻射し、その反射波を受信するものであります。
具体的には電磁波のパルスを発射するのですが、そのパルスには幅と奥行きと高さがありまして、パルスを発射した時点では極めて小さなパルスが遠くに行くほど広がります。つまり、角度1度の幅の電波を輻射した場合でも、遠距離になればそのパルス幅はどんどん広くなるのです。すなわち、発射し拡大したパルスの大きさに隠れてしまう程度の距離しか分離していない複数の目標は同一のものとして、つまり、1機の目標として映るのです。したがって、目標となる航空機編隊間の離隔距離が同じ距離だとしても、遠距離では一つの目標が、捜索するレーダーに近づけば近づくほど2機以上に分離・識別される可能性が高くなることとなります。(これをレーダー分解能という)
なお、質問にある、機数誤認=撃墜は理解できません。
友軍との戦闘訓練で実弾を搭載し、かつ発射するようなことは絶対やってはいけないからです。ましてや、目標機数と発射とは因果関係がまったくありません。
原因は、訓練に実弾を使用(携行)し、発射手順を実際通り行ったからにすぎません。
つっち
- 実際に撃墜したわけではないから”撃墜”と書いてあるのだと思いますが・・・。
通りすがり
- なにかの文章で読んだ覚えがあるのですが
翼を接触させた状態で飛ぶと
レーダーをごまかせるとあった気がします。
例えば三機で飛んでて、前に一機、後ろに翼を接触させた2機を
編隊を組んで飛ばせると「大型輸送機とその護衛機」とごまかせる…等。
ホントにそんなことができるのかはわかりませんが(汗
ぴんがー
- かつて、イスラエルがイラクの原子炉を空爆で破壊したときに、サウジアラビア領空を通過する際、密集編隊で飛行し、民間旅客機に見せかけたとの伝説があります。
オンブー
- 皆様、ご回答ありがとうございました。
ある小説でAWACSに接近する為に、ぎりぎりにまで接近した2機2組の計4機が高高度から高速侵入を図り、
あるタイミングで直進する機体と、進路変更しコブラなどの機動を行いつつ垂直降下し低硬度から侵入する機体に分かれると、
うまくいけば降下組はレーダーに見えないという描写があり、果たしてそんなことは可能かと思い質問しました。
接近した複数機が一機に見えることも判りましたので、大変参考になりました。ありがとうございます。
祟
- ゴミレスですが・・・
たしか映画トップガンでも空母が2機ずつの密集編隊しているのをそれぞれ1機と間違えている描写がありましたねえ・・・
カズヤ
- 平時の理論上の可能性としてはありえますが、実戦への応用は限定的です。
迎撃側の通常のレーダ運用では、探知目標が1であること即1機という早計な判断はしていません。↑3ご指摘の分解能については周知であり、目標が複数機である可能性は常に念頭に置かれています。距離・速度・受信波の強さ等を総合的に勘案して推測を試みることはあっても、少なくとも空自ではその結果を絶対視することはないようです。
また、侵入側も密集隊形のままでは機動飛行がままならないという大きな制約を受けます。
ことに戦時では、迎撃側がミサイル攻撃を行えば、侵入側が回避のため編隊散開すればその時点で複数目標と確認され、散開しない場合は回避機動が困難なまま1発で編隊全滅となる可能性が大ということになりますから、密集戦法に大した意味はありません。機関砲等でも弾着散布域を考えれば結果はほぼ同じになります。
>5
投稿者ご本人も疑っておられるとおり、非常に困難です。
半分冗談・半分本気で言えば、むしろ後方の2機が空中接触事故により墜落して結果的に1機になる可能性が非常に大です。分解能に着目すれば翼を物理的に接触させる必要はありませんが。
>6
これについてはサウジアラビアの対イラク弁明用に用意されたもっともらしい話との説が有力ですから、まさに「伝説」ですね。
>7
お説のようなことは限り起こりえません。
侵入側は編隊分割までの経路上において、飛行するAWACSの未来位置を完璧に予見したうえで4機編隊で高速侵入しながら距離以外の相対的位置関係を全く不変に保つ必要があり、現実的にはまず無理です。
>うまくいけば降下組はレーダーに見えない
というからにはAWACSは編隊分割後の高高度直進組を捕捉しており、当然に十分な高度を保っているわけですから、そのルックダウン能力を生かして降下組もほぼ確実に捕捉できます。
はつゆき
- 記憶モードですが、少数の旧日本軍機が帰艦する敵機の後ろからついていき、敵艦隊のレーダーをごまかして攻撃に成功した事があったように思います。また特攻機が単機で同様の攻撃をかけた事があったと思います。
また旧陸軍航空隊の某操縦者の話では、要人救出を単機で行った時は、日本軍の飛行場の上空を日の出後から日の入り前まで制圧している敵機を避けて、敵機の来る日の出直前に着陸し、日の入り前に帰る敵機の後ろに途中までついて帰へったそうです。(これにレーダーがからんでいたかどうかは判りませんが)。これは、救出する要人のいる基地、自分が救出の為に出発する基地、救出後に自分の着陸する基地、敵機の基地、の経度差による日の出、日没時刻の違いを利用した救出だったそうです。
roht
- >7
つまり、それは
1:密集状態で機数をごまかし(2機程度に見せる)て進入し
2:ドップラーシフトを打ち消す(#9ではつゆきさんが述べられたように相対位置を完全固定)機動を行う。
この2点が完全に成功した場合に、分離低空接近を企図した機体は、分離するまでは僚機の影に、そしてドップラーシフトを殺せる範囲までの接近行動においては、AWACSのレーダーを誤魔化せる可能性が、机上では成立します。
ただし、ドップラーシフトしないんだから、相対位置が変わらない訳で、つまり事実上接近は出来ないんですけどね・・・(恐らく、車両等をキャンセルするようなフィルターに引っかかる事を期待してるんだと思いますが・・・)
また、戦域にAWACSというかレーダーが一基しか無いならばこれは成立しますが、他に観測者が居た場合、そちらには特に後者のドップラー打ち消しは通用しないという点を忘れると痛い目にあいます。
またAWACSの機動に完全追随出来ないと、ドップラーシフト打消しは成立しないので、何等かの手段でAWACS機の行動を完全に把握するのみならず、行動予測も出来ないと困難というか無理になります。
観測の方は囮として用いる高高度2機編隊がレーダー観測し、それをデータリンクする事で成立するとは思いますが、行動予測の方は、恐らく長期に渡る観測等で行動パターンを掴むことでしか成立しません(つまり開戦劈頭の奇襲でなら可能性としてありでしょう)
もうちっと、ありそうな話とするならば、襲撃側は何等かのステルス手段をもつ機体で、AWACSの電探を騙すには、そのステルス性能が多少心もとないので、補助手段として、こういった小技を併用するというのは、話としてはアリだと思います。
でも、ステルスがどういうモノで,また電探観測がどういうものかを考えれば、ありそうな嘘(つまり小説)のフレーバーにはなっても以下略。
ま、モノには絶対は無いので、そういう事も考えられるし、対策と言うか念頭に置いておくというのは、#9ではつゆきさんが述べられたとおりです。
SUDO