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3009 飛燕の後期型は15百馬力級の水冷エンジンを搭載しながら何ゆえ600kmそこそこの
速度しか出せなかったのでしょうか。日本の戦闘機の性能データは全備状態に近い状態のものと聞いたことがありますので、逆にいうとムスタングもその程度の速度だったんでしょうか。
hiro

  1.  三式戦二型のハ140発動機は離昇が1500馬力ですが、高度5750mでは1250馬力になり、それ以上の高度ではもっと馬力が落ちます。
     高度が上がるにつれて空気抵抗も減りますので、馬力が維持できるなら速度も出るのですが、エンジンには全開高度というものがあって、それを超えると空気抵抗の減少よりも馬力の低下率のほうが問題になって速度が出なくなると思ってください(飛行機やエンジンの特性によっても異なりますので厳密には違います)
     つまり、キ61の最大速度610km/h-高度6000前後は、1250馬力ぐらいで出したものだったのです。
     P-51マスタングのV1650-7エンジンは離昇1670馬力、高度19,400フィート(5,917m)で1490馬力です。
     まあ、高度6000前後ですと、三式戦1250馬力、P-51は1490馬力と2割近くP-51の方が馬力が大きいのです。
     これに加えて、P-51は緊急時には更にパワーを搾り出せますが、三式戦でそれは判りませんし、そういう条件では性能を計測してません。
     実際のP-51は650km前後しか出なかったという話もありますし、馬力差を考えたらそんな物ではないかと思います(捕獲したP-51を日本でテストした時は三式戦よりも速かったらしいですし、戦後に米軍が三式戦をテストした時も結構速かったんですが、それでもP-51よりは遅かったと記憶してます)

    SUDO

  2. 2001年11月号『MILITARY AIRCRAFT P-51D(1)』の77ページに同時期の戦闘機より30〜50キロ早いのは、ラジエタ−推力を用いているからだとある。これはPー51の開発に携わったJ・リーランド・アトウッド氏の回想によるもので、ノズル型の空気吸入孔、オーバーサイズのラジエタ−、熱交換された熱い空気を排出するためのシャッターがポイントだそうである。しかしラジエタ−で熱交換された空気の膨張力程度でこんなに推力が得られるものなのでしょうか?ちなみにこの現象の解明のためアメリカで研究が続けられていたが、遂にそれを技術的に解明できなかったとあります。

    ぼん

  3. P-51のラジエーターの効果について、航空ジャーナル増刊『第ニ次大戦の軍用機』P-43~45に、効率の悪いラムジェットとなり、シャッターを開いた時、推力効果が140kgマイナス冷却器の抵抗分ぐらいになった…との記述があり、大雑把に言って、推力100kg程度の補助ジェットが着いていたようなもの、と私は長い間思ってました。ぼんさんの記述のように、この事は結局解明出来なかったのですか?
    APA?TAMA

  4. P-51 のラジエターは小面積のスクープから導入した冷却気をダクトで誘導して大面積のラジエターを通す構造(拡散方式)になっており、ラジエターに当たる流速が機体の対気速度より低いことが特徴です。ラジエターを通過する時間当たりの空気量が同じ(断面積×速度)であっても、抵抗は断面積と速度の2乗に比例しますから、速度が上がるほど P-51 は相対的に有利になります。排熱推力はあったとしても微々たるものでしょう。
    ささき

  5. ぼくが少年のころの「丸」の記事で、戦後土井武夫先生だったか、大和田信先生のどちらかが戦後に語られたこととして、P51はいわずもがな、Me109やスピットファイアなどと比べると、キ−61はラジエターまわりの不良抵抗が多く、プロペラや尾翼は日本機の常として効率が悪いように思うと言うようなことをよんだことがあります。
    細かな技術格差のわずかづつの蓄積によって、総合的な技術の結果としての性能が大きく現れたのではないでしょうか?

    12yo

  6. >2
      遅い書き込みですみません。
      『ミリタリー・エアクラフト』2001年11月号は誤訳だと思います。その元となると思われる記事がJ. Leland Atwood, “An Engineer’s Perspective on the Mustang" (Flight Journal, June 1999) pp.113-114.に載っています。ここではP-51の抵抗減少は、アトウッドがメレディス・レポートの成果を取り入れてラジエータを大きく設計したことによる、としています。原理は、ささきさんが>4で解説したとおりです。普通ラジエータが400ポンドの抵抗を生じるところを30から40ポンドまで減少させたとしています。
      証明できなかったことは(そして現在でも)、同記事では、層流翼が層流境界層を長く維持することだとして、アトウッドはスピットファイアの翼のほうがP-51の翼より抵抗が少ないだろうとしています。
    中年受験生


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