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誠に下らない疑問で申し訳ありません。 左右のエレベーターをエルロンの様に非同期で操舵可能な航空機というのは存在するのでしょうか?(同期、同調?表現に苦しみますが) 本当に思いつきなので、諸先輩方どうかお気を悪くなさらないでください。 天馬 |
- 最近のフライ・バイ・ワイヤー(FBW)操縦系を採用した飛行機の場合、必ずしも操縦桿/ペダルの操作と舵面の操作は対応しません。各舵面はサーボで駆動され、コンピュータがその動きを統括しています。FBW を採用したジェット戦闘機では運動性を少しでも上げるため、高度・速度・姿勢に応じて FBW コンピュータが各舵面を最適(と計算された)角度に設定するので、エルロンやエレベータの差動角が左右で異なることは珍しくありません。特に高速ロール時には主翼エルロンを使わずエレベータ差動で行う機体が多いようです。
可変後退翼機、たとえば F-14 の場合は主翼最展開時はスポイラーによって横操縦を行い、主翼後退に伴ってエレベータの差動比率が大きくなり、主翼最後退時にはエレベータ差動のみによって横操縦を行うという凝ったことをやっています。
旅客機の場合も、FBW 採用機はエルロン故障時のバックアップとしてエレベータ差動による横操縦機能を持っている機体も多いです。
FBW 以前の機体の場合、デルタ翼機などの無尾翼機ではエレベーターとエルロンの機能を同じ舵面で実現しており(エレボンと呼びます)、操縦桿の操作によって左右独立して動きます。
ささき
- 懇切丁寧なご回答ありがとうございました。
軍用機はともあれ、旅客機までとは・・・常識だったのですね。お恥ずかしい限りです。
質問者
- 1> 旅客機の場合たしかに左右で独立したエレベーターの操舵が出来る機体はありますが、通常はコントロール・コラムの下部がトルク・シャフトで機械的に結合(ただし車のクラッチのような感じで、思いっきり左右を逆に動かせば解除可能)されていて左右連動して動いているようです。じゃー何で左右独立した操舵系統を持っているかと言うと、何らかの原因で片方のコラムが動かない時に機械的結合を解除してもう片方のエレベーターを生かす為に左右分離されているそうです。エルロン故障時のバックアップという話は私は聞いた事がありません。多分やろうと思えば出来ない事はないとは思いますが。
ただし上記の文はFBW機でも従来の操縦桿を持つ機体の話で、エアバスA320のようなジョイスティック採用機だとささきさんの話が正しいのかも。
jas1
- >3. 私の話の元になっているのは、加藤貫一郎氏の著書でFBWの利点について「エアバスのようにエレベータをエルロンの代わりに使うなど操縦系を多重化できる…」という記述に由来しています。
ささき